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雪の日に見える、小さな世界。

雪が降った朝。外に出ると、世界が小さくなっていた。

普段は見える遠くの山や、その先にある町の風景。それが全部、雪雲に隠れて見えない。すると、今住んでる町しか見えなくて、なんだか世界がここしかないような気持ちになった。

私の住んでいる町。いつもはその先まで見えていたから、世界はどこまでも続いていると思っていたけれど、そんなことなくて、実は世界って、ここだけなんじゃないのだろうか。

そうだよ。冬はね、みんなが体を寄せ合って、お家にこもってしまうから、世界はいつもより小さくなるの。

そんな声がどこからか聞こえた気がした。まるでファンタジーの世界に入り込んだような不思議な気持ちに襲われる。これも雪が魅せるマジックなのかな。

でも夕方、晴れた景色を眺めれば、そこにはいつものように、遠くの山と、隣の町と、広い空が見えている。そうか、やっぱり世界は広いんだ。

とはいえ、今朝見たあの小さな世界も素敵だったな。小さな世界に息づく自分と、この町にいつもより一体感を感じたあの感覚。

また今度、雪が降ったら世界は小さくなるのだろうか。寒いのは苦手だけれど、その日が少し待ち遠しい。