【 3日目 -職人と娘- 】 DIY超初心者の山小屋再生プロジェクト
愛知県のとある山奥に存在する山小屋(通称:お亀山荘)を再生させるプロジェクト、名付けてOSP。
この記事ではお亀山荘が劇的BeforeAfterを遂げるまでの軌跡を追う。
3日目は相方の代わりに職人の父が参戦。
何職人かというと、和菓子職人だ。
豊橋市で今年70周年を迎える和菓子屋、お亀堂にて和菓子を作っている。
お亀堂HP→ http://www.okamedo.jp
お酒は食前酒で酔っ払うので飲まない。
その代わり甘いものが大好きでプライベートでも和菓子やパフェを好んで食べる。
天職だと思う。
ちなみに私は生まれた時(?)から餡子が苦手で、
親不孝者と言われてきた。
パフェは大好きだ。
さて、今日父が参戦した目的は大きく2つ。
・水源の確保
・自家発電機が使えるかの確認
ライフラインである水と電気を生き返らせる。
●先人の知恵
到着して作業着に着替えていると、父が川に向かって石を投げていた。
いきなり大自然に来て、気が触れたわけではない。
なんと、即席の石の橋を作っていたのだ。
まだ温度の低い川の水を物ともせず、素手で石を積み上げていく。
父曰く
①最初に大きな石で全体の骨格を作る
②隙間に中サイズの石を入れていく
③小石をかけて空間をなくす
この3ステップで歩いても崩れない石の橋ができるらしい。
ポイントは完全に石で川の流れを塞き止めるのではなく、所々に流れる水を逃す隙間を作っておくことらしい。
ものの15分程度で、靴を履いたままでも渡れる橋が完成した。
原始的だが画期的だ。
今まで長靴でも浸水してしまうため渡るのに苦労していたのだが、まさかこんな一瞬で解決するとは。
先人の知恵、恐るべし。
ちなみにこの橋は雨で水量が増すとすぐに崩壊するため、都度補強・作り直す必要がある。
橋=木だと勝手に思い込んでいた、思考の柔軟性のなさにハッとする。
橋の出来栄えに感動していると、父がいつの間にかいなくなっていた。
どうやら風呂場の確認に行ったらしい。
近づくのもはばかられる朽ち果てた露天風呂を、躊躇なく解体していく。
まだ洗えば使えるプラスチックの足場を発掘。
父「プラスチックってすごいよね。腐らない。
だから今プラスチックによる
環境問題が深刻に・・・」
壮大な話になり始めた。
視野の広さも年の功なのだろうか。
と思ったら、またおもむろに父が山奥へ歩き出す。
スピーカーや作業道具を用意する暇もなく動き回るので、一旦諦めて写真に徹する。
山小屋の上、川の上流へたどり着くと何やら川底を掘り返していた。
●水源の確保
ここにパイプが埋まっていて、濾過装置①→濾過装置②→山小屋へと水を運んでくる仕組みだ。
それにしても、素手とはなんとワイルドな。
大工職人ではない。和菓子職人・・・のはず。
圧倒的サバイバル力を見せつけられた。
写真に徹するとは言ったものの、同じ絵しか撮れない。
完全に手持ち無沙汰だ。
娘「何か手伝うことある?」
父「何もないよ」
娘「・・・木でも切ってるね・・・」
そうだ。父は職人なのだ。
チームプレイより個人プレイを得意とし、背中で語るタイプなのだ。
共同作業は諦め、私も一人山小屋裏手の木を伐採することに。
細い木だからと侮っていた・・・
電ノコなんてないのでもちろん手作業。
1本切るだけでも意外と時間がかかる。
これは筋肉痛フラグだ。
そうこうしている間に、水源が通ったらしい。
ワクワクしながら蛇口へ向かう。
しーん
何も起こらなかった。
すぐさま原因を考えて濾過装置へ向かう。
水の出が悪いので再度水源を確認。
1つ目の濾過装置は水が溢れ出るほどの勢いだが、2つ目の濾過装置の流れが良くない。
今度はシャベルで濾過装置の中を掘り起こし、中に沈殿した泥を流していく。
これで濾過装置はOK。
しかしまだ蛇口からは水が流れてこない。
排水をチェックすると言い、いきなり地面を掘り始める。
もちろんここも最終的には素手だ。
何やらバルブらしきものが出てきた。
父「ここに家の鍵も埋めた気が・・・」
なんだそのタイムカプセル感。
しかし、鍵は見つからなかった。
その後も色々とチェックをしていき、最終的には無事水道が開通。
私には何が原因だったのか、なぜ出なかったのかまだよくわかっていないが、とにかく良かった。
風呂の全貌も明らかになったが、底が抜けている。
カバーがきちんとかけてあった部分は意外と綺麗に残っていたため、もっとちゃんと片付けておけば・・・と悔やんでいた。
我が家の家族はみんな、大の風呂好き。
コロナが広まる前は毎週のように温泉やお風呂屋さんに行っていた。
満天の星空を眺めながら浸かれる露天風呂の再生は、最重要ミッション。
ちなみに、本日の目標2つ目の発電機は、ガソリンをうまく入れられず断念。
また改めて必要な道具を揃えて再チャレンジすることに。
昼ご飯は父お手製の、名物一口おにぎり+おかず。
これがうまいのだ。
あっという間に食べ切ってしまったので、昼ご飯の写真がない。
午後は時間の許す限り山小屋裏の片付けをする。
●ひたすら木を切り続ける師弟
1日目・2日目と違い、山小屋の裏は木が多い。
ナタやハサミでは太刀打ちできないので、ノコギリが必須だ。
本日1番のボス。
切り込みを入れたところで、鉄製トンカチと鶴橋を使って力技に出る。
本来の使い方ではないので、良い子は真似しないように。
師弟で力を合わせ、なんとか倒すことができた。
山小屋付近には杉がたくさん生えているのだが、最初の頃「この木全部切りたいよね〜」「このくらいならいけるんじゃね?」と言っていたのがいかに浅はかだったかを痛感した。
直径20cm程度で相当苦戦したのだ。
成長した杉なんて太刀打ちできるわけがない。
しかも持っているのは手動ノコギリだけなのだ。
父「あんたとやるとキリがないからやだよ・・・」
と褒め言葉をもらい、なんとか裏庭の木の伐採が完了。
(私も職人の娘。一度作業に集中し出したら止まらない)
終わりに、ムフフだった倉庫の中身を掃除して使えるようにした。
最後の最後まで手袋もマスクも使用せず挑んでいた父。
便利なものに囲まれ、土に触れる機会も少ない現代っ子にはないバイタリティだ。
虫やカビに弱い私や相方も、このプロジェクトを機に強くなれるだろうか。
淡い期待を抱いたところで、3日目は終了。
帰り道は、いかに露天風呂を再生させるかを議論。
やはり風呂が一番重要なのだ。
風呂桶を買うだとか自分らで作るだとかビニールプールにするだとか・・・
最終的に助手席にて寝落ちしてしまった。
家に帰ると、愛猫・秋楽が物言いたげな様子でこちらを見つめていた。
最近何かを訴えたい時はこのポーズ。
「俺をまた置いてどっかに行きやがって・・・」
そんな声が聞こえてくる。
いつの間に人へ要望を伝えるのがこんなにうまくなったんだ。
次回、まりもと愉快な仲間たち。乞うご期待。
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