孤独だったある日のこと

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がんじがらめ 。私はがんじがらめだった。
耳ざわりの良い言葉は浮かばない。

話し合いをするために女性数人が集まった。

話し合いのテーマは既に設定してあり、内容はけっこう重たいもの。内容には私自身に関することが含まれており、エネルギーを要することが事前に想像できたので緊張して臨んだ。

ところが数分話した後、あっという間に話題は「自分の経歴・過去」に移った。私以外の女性達が「自分のこと」を話して止まらなくなる 。 学生時代のこと、海外で得た経験、バンド活動に恋愛。話はどんどんもりあがっていく。［海外生活経験がなきゃダメよ。そこでわたしは価値観が固まったの]....それってわたしへのディスり？これがマウンティング？何十年前の話？今関係ある？関係なくない？話は過去。過去。過去だらけ。

過去に栄光があるって素敵ね。
私は海外生活の経験はないけれど、ずっと一生懸命生きてきたし日本が好きだし今の自分が1番大好きだけど。

私自身、不完全燃焼のまま、がんばって口角をあげて、話を聞いているふりをしているのが精一杯だった。

さてこんなとき、あなたならどうしますか。「まだ話は終わっていないよ」と言えますか。

私は言えませんでした。何一つ解決していないのだけど、なんだかノリよく会話が済んだテイなんだけれど。終わってはいないよ。

言えるならば。「その話はとても楽しいけれども、"今は"その話よりもやや重たいけど今日の本題をもう少し話そう。そのために集まったのだから、今の話はまた別の機会に」となるだろうかと。

でも私は言えなかった。

私は「未来の話をする」と聞いたから出向いたのだ。過去話(自己紹介)はルーツ程度の"ちょっと"でいい。私以外ほぼ初対面だったからある程度は仕方ないとは思うけれど。全体を通して、メインテーマは5パーセントくらい。そもそも私がいる意味はあったのかな。そう感じるほどにその日のテーマはどこか風にのって吹かれて遠くに飛ばされていった。

未来の話をこれでもかと言うくらいして恍惚となるなら、いくらでもしたい。その予定でここに来た。
夢を語り目標を語り未来を語る。そして語った以上実現にむけて駆け抜ける。こんな楽しいことが他にあるか。
未来のために現段階を整理しようと呼ばれていき、先述の流れになったときの落胆は小さくはなかった。 ·

今や、ビジネス等あらゆる場において自己紹介が長いというのはタブー。ましてや話すテーマが明確にある場合、その話は今は関係ないのだからサクッと終わらせ本題に入るのが筋ではないだろうか。

本題はうやむやで、充分に話もせず主観による第三者からの結論で幕を閉じた。
私を除いて話は進んでいき「だいたい分かったわ」「でしょう？」。いやいやそもそも説明ねじれまくれてますけどもーーー······という反論をしたところで、私の声など届かないのがわかったから。ほぼわたしは黙ってその場で座っているだけだった。

一体、なにがわかったのですか。そもそも何故そうなったかを、誰も聞いてはくれないの？大事じゃないの？そもそもの部分。興味はないの？
私はいたく悲しくなってしまった。「だいたいこんな人だからきっとそう」と、一方的なシナリオ的な結論。

いや待ってよ。決めつけられるってとてもつらいね。それに事実は随分ねじれているし。違うところいっぱいあるから。
弁がたつほうに世の中は有利に動くってこういうことか·····と生きづらさを日々感じがちな私などは感じ入るに至った出口のないココロ。

そんなときに「なにかいいたいことはあるか」といわれても。感情が揺さぶられている最中にテキパキ的確な返答などはなかなか難しいよ？
相当私の分が悪い流れがあっという間に出来上がってしまった。そんなんじゃないのに。ちがうのに。ねえ、ねえ、私の話を聞いて。 でも上手く話せない。どうしよう。これはわたしがわるいの？わたしがおかしいからいけないのかな。

苦しさは倍になる。そもそも何について「いいたいこと」なのかというよく分からないテーマを残したまま「重たい話題はおしまい」になり、話題は変わった。一方で私は言いたいこと以前に矛盾から何からありすぎて····何も言えなくなった。

今は流れに任せよう。この場の空気を壊すのはやめよう。そんな気持ちで黙り込むしかなかった。むしろ途中で席を外さなかった私は偉かったと思う。
被害妄想と言い出す輩もいるかと思うがそれは違う。当事者が違うと言っているのだから違うのだ。信じてほしい。

一頻り話が済んだあと「最後にいいたいことはある？」と尋ねてくれた。

「大丈夫」と私は答えた。
うまく伝えきる自信はないし「蒸し返し」となるのは目に見えている。心外すぎたのは事実だが、頭から火を噴いてもよろしくない。
鎮火に努めた。

そもそも集まった理由ってなんだったんだっけ。
みんなもそうだけど、
私も自分の意見を話してよかったんだよね？

話せなかったわたしがわるいのかな。

頭が痛くなった。