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スカートしか履かないの



私はスカートが好きだ。
もはやスカートしか履きたくない。
パンツスタイルに微塵も魅力を感じず、それは幼少期から始まっていたように思う。

母親が気に入った衣服を私に買い与えていた時、それなりにパンツスタイルも混在していたように思うのだが、親が決めたコーディネートに対する私の拒否権はゼロだったため、幼い私は服に関して好き嫌いという脳みそを働かせないように努力していた。
しかしパンツスタイルの日は何となく落ち着かない違和感を覚えていた。通学が私服だった小学校時代は、遠足の日や、何かの作業がある日はパンツスタイルで登校していたはずで、自分の中で何となく微妙な服で出かけてきたなと感じていた。もちろんそれを口に出すなんてことは我が家の絶対神的母が恐ろしくて不可能だったわけだけれど。


さてこの度春の大断捨離月間につき、「本当にその服が好きかどうか」をじっくり考えた。
母は謎のタイミングでパジャマを買ってくる習性があり、可愛いでしょうと私に押し付ける。どうせ部屋の中で寝る時だけ着る物だし、逆らうと面倒なのでそれらのパジャマは長年着用され続けてきた。

しかし、どうしても心のもやが晴れない。
今では母は年に数回我が家を訪問する程度なこともあり、自分が娘に買い与えたのものが全て消えていても気がつかないかもしれないと、私は自分に都合よく考えることにした。

私は今回立ち止まり、持ち物を服を中心に見直し、自問自答を繰り返した。

その結果、全てのパジャマは廃棄となった。

家の中から過去のパジャマが全て消えた時、とてつもない爽快感と共に、母の何かの要素というものがパジャマを通して日々私自身を侵食し続けていたことに気付かされた。

新しく無印良品の綿100%のワンピースをパジャマ用に新調する。
不都合が出てくるまで当面パジャマはこの1着で過ごしてみようと思うが、約2週間が経過し、何の問題もなさそうだ。



パジャマの断捨離と同様に、他の服も厳選していく。
パンツスタイルは好きではないけれど、何らかの理由で必要かもしれないという微妙な言い訳がましい理由で持っていたものばかりだった。

デニムのパンツは引っ越し作業などの時にあった方がいいのではなかろうか。もやもや。
白いパンツも仕事上スカートではない方がいい時にまた使うのではなかろうか。もやもや。
黒い光沢のあるパンツは、何かと便利かもしれないし。もやもや。

そして、もやもやが大きくなり過ぎたある日、全て廃棄した。

清々しいことこの上なし。

私はパンツスタイルが嫌いだから、普段わざわざ好んで着用することはない。
家事もお気に入りのワンピースにエプロンをつけてモリモリと作業をする。料理も洗濯も、床掃除も窓拭きもワンピースもしくはロングスカートのコーディネートで問題なくこなせる。

しかし世の中のファッションコーディネート例を見ていると、何とパンツスタイルの多いことか。
スカートしか着用しない人は存在しないのだろうか。

犬の散歩も、海岸沿いへのお出かけも、大荷物の買い物も
ロングワンピースもしくはロングスカートで快適である。

兎にも角にもスカートスタイルが好きだという理由により着用しているわけだが、あえて無理やりメリットを挙げるとするならば、ロング丈のワンピースやロング丈のスカートは幅広い季節に対応可能な服だということだ。
スカートの中にタイツを着用すれば秋冬も活躍させられるし、暑くなってきたらタイツは脱いで、裸足にサンダルを履けば同じスカートで過ごせる。
ワンピースも中に薄手のニットやシャツを重ねれば秋冬仕様になるし、上からカーディガンなど季節に合わせたものを羽織ることもできる。
何とも万能な汎用性の高い服なのだ。

これに比べてパンツはそうはいかない。
まず、普通のサイズ感のロングパンツは夏は暑い。
暑くて絶対に着てなんかいられない。
真夏にロングパンツを履いている人を見ると性別を問わず本当に尊敬する。
よく我慢できますねと。

仮に、ワイドパンツや生地が薄手でサイズもゆったりな夏っぽいパンツだとしても、フレアのロングスカートに比べれば数段暑い。
今こうして考えているだけでも暑くてイライラしてくる。

パンツを履くならギリギリまで短いホットパンツしか履けないだろうし、そんなものは履いて行ける場所も機会も限られてしまうので、これも却下だ。


つまり、私の生き方にパンツスタイルは本当に不要なものだったのだ。

ああ、今まで、何かと言い訳をし、パンツスタイルもコーディネートに入れなければならないのではないかという謎の思い込みに縛られていた。
よかった、気がついて。

巷に溢れるコーデ特集がいかにパンツスタイルを取り入れていようと、これからは自信を持って全無視である。


現在の手持ち服は

秋冬用スカートが2枚と、通年着用できるスカートが2枚。
秋冬用ワンピースは2枚。春夏用薄手ワンピースが4枚。通年着用できるものが3枚。
トップスもそれなりにあるので、これで充分である。

実はパンツを全廃棄した時、最後の踏ん切りをつけてくれたのがヨガパンツの存在だった。実はネイビーでストレッチの効いたヨガパンツだけは1枚持っている。
これはもちろんヨガのレッスン着なのだが、ある時ふと気がついたのだ。
「そうだ、引っ越し作業の日はあのヨガパンツを履けばいいじゃん」と。
一挙解決。
パンツさんたちよ、みなさんさようなら。

スカートが春夏に着用できるものが2枚しかないというのは少なすぎる気もしたのだがワンピースがあるし、ひとまずはこれで今年の春夏を過ごしてみようと思う。


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