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ニューヨーク、ベネズエラからの難民

ベネズエラという国について、彼らに会うまでは全く関心もなく、この国がどこにあるのかもわからなかった。

南アメリカ大陸のコロンビアの隣にある国。

資源がとても豊富で石油や鉱山が採れ、自然豊かでとても素晴らしい国だとベネズエラ出身の彼らは言います。

でも、チャベス大統領が死去してから彼らの生活は一変してしまった。

チェベス大統領が亡くなった後、不正でマドゥロ大統領が誕生した。(彼らの証言より)

誰もマドゥロ大統領を支持しない。チャベス大統領は貧しい人にも優しく平等に分け与えてくれる良い大統領だった。

チャベス大統領が亡くなってからは、小麦粉やアレパ(トウモロコシから作る薄焼きパン)などが買えなくなった。物を買うのには数時間気が遠くほど並ばなければならないし、生活ができない状態に国全体が貧窮してきた。

ベネズエラを脱出出来る資金やツテがある人は国外に出ている。

アヌーシュカもアンドリュー夫妻もそうだった。

アンドリュー夫妻はどちらもベネズエラ人。若くして結婚したけど、ベネズエラにいてもどうしようもないと二人で国を出てきた。

もう、国に戻る事はなくヨーロッパなどを渡り、二人で暮らしていくと言っていた。

アヌーシュカは出会った時は20代前半、両親がアルバニア出身アルバニア語を理解するベネズエラ人。

ベネズエラにいても将来がないと思った両親はニューヨークに住む親戚にアヌーシュカを送った。

アヌーシュカは家族が大好き、両親に会いたいし、両親と一緒に暮らしたい。でも、それは叶わない。

両親が望むのは彼女がアメリカ人と結婚してアメリカ国籍を取得していい人生を送ること。

彼女は好きでもないアメリカ国籍の男性を勧められてそうするしかないのか苦悩しているようだった。

アメリカではこの様に経済的状況で自国に住めない人たちが多くいる。その人たちが難民としてアメリカに渡ってくる。

私は1年の留学期間が終わろうとしている頃、日本には帰りたくなくなってしまった。

ニューヨークにいると毎日が刺激的、嫌な事も沢山あるし不憫な生活をしいられるけど、それよりもニューヨークには自由と多人種による価値観の崩壊が自分にはとても心地が良かった。

帰国日が迫った日、私はアヌーシュカにさよならを言うのに会いに行った。

私は帰りたくないよ!ニューヨークで暮らしていきたい!そう彼女に言った。

しかし、彼女はこう言った『あなたの国はとても安全で暮らすのに何も困らないでしょ。私は家族と一緒に暮らしたいし、ベネズエラに帰りたいけど帰れない。家族と暮らせるなら、日本に戻るべきでしょ。ここにいる理由は何もないわ。』と言われました。

そうなんですよね。彼女は自分の国や家族が大好きなのに暮らせない状況。私なんて贅沢な悩み。ここニューヨークではそうやって自国に帰りたいのに自国が戦争、内紛、経済危機などの理由でそこに留まるしかない人たちが沢山いるんですね。

そうゆう人たちの話しを聞くと自分の国はとても豊かで、暮らすには困らない日本という恵まれた国に生まれたんだと感謝する心が湧いてきます。

日本だけに住んでいたら、これが当たり前ですし何も感じなかった事でしょう。でも、他の国を見てみるとそうではない、食べる物に困る、毎日怯えて暮らさなければいけないなど生まれた国によってはその国を出てどこか新しい新天地を求め生きていけない人たちもいるんですね。

トランプ大統領がメキシコの移民排除の方針ですが、アメリカとしてはそうでしょう、税金も払わず住み着きとても迷惑だと、でもその一方自国では住めずアメリカという新天地を求めて暮らさなけらば生きていけない事情もあるのです。

アヌーシュカは今もニューヨークで暮らしています。

ビザ関係の事はわかりません。もしかしたら、もう自国に帰らない(帰れない)覚悟でビザも切れているかもしれませんが。そういう人たちも沢山います。

アヌーシュカにはどこにいても幸せな生活が送れているといいなと思います。そして、いつか家族で暮らす事ができるといいなと思います。


*余談

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↑ニューヨークにあるベネズエラレストラン。アレパがとっても美味しかったまた食べたい。

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