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詩/詞を書くこと1〜朝の雨上がり〜

初めて作詞のワークショップをしたのは、作家の古川日出男さんがリーダーとなって福島で開催された2013年の「ただようまなびや」という文学の学校でのことだ。文学で福島を語るというテーマで、作家、翻訳家、詩人、書道家、音楽家、写真家などが夏の福島に集まってワークショップや講演を行ったのだった。

わたしが講師で教えるだなんて、とても自信がなかったから、初めは腰がひけていたけれど、普段自分がどうやって作詞をしているかということを話しながら、それぞれ自分のやり方をみつけてもらうという方法ならなんとかなりそうだなと思って参加した。

その次は2014年、大阪のある福祉施設の職員研修で。参加者には事前に内容は知らされていなかった。わたしがゲストと聞いて、てっきりライブを見たり、あるいは一緒に歌ったりするものだと思っていたようで「今日は1曲書いていただきます」と言ったらみなびっくりしていた。

2017年には東京大学大学院岡田猛先生のよびかけで。学生さんを相手にではなく大学の地域貢献の一環で一般の方を対象に行った。参加者はわたしのファンの方もいたし、まったくわたしのことを知らずちらしを見て来た人もいた。

参加者の人数はそれぞれ20名〜50名程度で、年齢や職業や住んでいる場所もさまざまだった。音楽をやっている人は少なかった。で、ここを強調したいのだけれど、どなたも必ずその日のうちに1曲書いたのだ(なんて素晴らしい!)。誰にも語りたい言葉(あるいは歌いたい言葉)はきっとあるということだ。

さて、前置きが長くなったけれどワークショップ以来、言葉があふれてきてどんどん詩を書くようになり、このほど詩集を出すことが決まった人がある。ペンネームはまきこうじ。「遅蒔きながら」という詩集が5月に発売になるそうだ。

嬉しい。わたしの教え子が詩集をだすなんて(笑)。いやいや、教え子じゃないか。教えたわけではない。そのワークショップに参加するまでただの一篇も詩を書いたことはなかったまきさんの中で、数々の言葉たちが熟成していたのだ。ワークショップは単にきっかけに過ぎない。その言葉たち、日の目を見るまでどれだけ土の中で待っていたんだろうと思うと胸を打たれる。おめでとうございます。

詩集の原稿を一足お先に読ませてもらった。まきさんのまなざしと、言葉は柔らかでまっすぐだ。ご本人は屈託の多い人間だと言っていたけれど、心の中から丁寧に拾い集めた言葉のつらなりは正直で清々しかった。

☆まきさんに頼まれてその中の「朝の雨上がり」という歌を歌ってみました。メロディはAsam I.さん。録音は奥田隆さん。動画はMarinoさん。

『遅蒔きながら』まきこうじ著
あいり出版
http://airpub.jp/new.html
発売予定日 5月11日

追記:本が届いたので書影を載せておきます。帯を書かせてもらいました。

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