川上未映子『夏物語』
主人公夏子は大阪の下町生まれ。
小さい頃の夜逃げに始まり、早くに母を亡くしてからは、歳をごまかして工場で働いたり、知り合いのスナックの厨房で働かせてもらったり、姉とふたり肩寄せ合って活きてきた。
苦労てんこもりのはずなのに、姉や姪とのこてこての(?)大阪弁でのやりとりには、苦労を感じるどころか、小気味良いパワーを感じてしまった。
実に逞しい。
そして、小さな描写や台詞まわしの巧みさに、筆者のウデを感じた。
小説家目指して上京した夏子だが、短編集を一発当てたものの、それ以来先