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採用担当を経て思ったこと

おはようございます。
今日は日本の就活について思いを巡らせていたら、なんか気持ち悪くて眠れず、一晩中考えていました。
短いながらも新卒採用担当をして、どうしても感じざるを得なかったことを書きます。

①学業を疎かにせざるを得ない
採用面接は基本的に平日の日中に行うことが多いですよね。
中には土日に行うところもありますが、採用担当(というか面接する人)も土日は休みが多いのでどうしても平日日中になります。ちなみに、後述しますが採用担当の土日は東京ビッグサイトです。
そうすると、私自身そうでしたが、授業をサボって面接に行くことになります。大学四年生で卒業単位が足りていたとしても、学生の本分は学ぶことです。そしてそれができる環境にあります。できるかぎりの講義を受けた方が、後悔は少ないです。大学は大学で、「面接なら授業欠席仕方ないよね」的なスタンスもあったりします。高校生向けの大学案内の就職先実績一覧、大事ですからね。

恐ろしいのが近年は就活の早期化が凄まじいです。採用担当をやって驚きましたが、中には大学一年生から就活している学生もいました。大学二年生で就活スタートはザラです。せっかく高いお金払って学問をできる環境にいるのに、就活なんて後からどうにでもできることに時間を費やしてしまうなんてもったいないなぁと思いました。

学位取得後に一年くらいのモラトリアム期間を国として設け、その期間にみっちり職探しをする、とかの制度にできないんですかね。

②お互い話盛りすぎ
学生も企業も、話を盛りに盛りまくります。学生はバイトリーダーかサークルのリーダーばっかです。多すぎるので多分何割かは嘘です。他にもボランティアをやった、とかプチ起業したみたいな話も多かったです。基本的に学生は凄い設定を持っていました。よっぽど特殊な企業じゃない限り、(少なくとも私の勤めている会社、というか多くの日系企業は)普通でいいのにと思います。普通って主語の大きい言い方ですが、4年間学業をし、リーダーじゃなくともサークルやバイトを経験して、ちょっとした経験を積む。これだけで全然いいのに、凄い設定に縋らないと就職できない、みたいな風潮ありますよね。講義をサボってボランティアに行くより、講義にちゃんと出席し、レポートを提出し、淡々と単位を取る。この方が好印象だと思います。他方、企業は企業で、嘘こそつきませんが、基本的に綺麗な部分しか見せません。例えば給料が高いように見えて実は見込み残業だったり、見えないところでのパワハラ、謎の風習、権力争い、忖度などはもちろん全て隠します。こういった、黒い部分は多かれ少なかれどの企業にも必ずありますが、学生の前では総じてさも純白かのような演出をします。お互いがお互いを過剰に良く見せあっていて、気持ち悪いです。入社後、お互いがお互いのボロを見せ合って幻滅するんです。誰が得するんだろう。そういう意味では長期インターンは良い制度だと思います。就学中はインターンより学問に専念した方がいいと思うけど。

③人事を神格化しすぎ
素晴らしい講義でノートも取らず寝てばっかりの学生が、若手採用担当の大したことない会社説明を熱心に聞いて大きく頷きながら一生懸命メモを取る事例があります。その動機はもちろん採用担当に気に入られることかと思います。採用担当が採用の可否を決める、と思っている方が多いようですが全然そんなことありません。もちろん、採用担当に気に入られようとするする姿勢は素晴らしいですが、一人の人を雇うのは何億という予算を前提にしているので、20、30代そこらの平社員人事に基本的に決裁権はありません。採用担当の役割は人材集めと、段取り、窓口だけです。決裁するのは会社の中で偉い人です。上記の通り人を採用する決裁権利は無いですが、採用担当の所感や意見を取り入れられることもあるので、油断せず、商談のイメージで接するがベストだと思います。必要以上に頷いたり狂ったようにメモを取られるのは、私も学生時代そうしていたので気持ちは分かるけどいざやられるとわざとらしくて正直怖いです。

④逆質問のテンプレ
面接では必ず逆質問の時間を設けてました。最も多かった質問の一つに、「卒業までに、やったほうがいいことはなんですか」というものがありました。非常に多い逆質問だったので、多分近年のトレンドのテンプレなのかと思います。正直この質問、「好きなことをやったらええがな」以外の回答が無いです。積極性を演出するための質問なんでしょうが、自分で考える力が無いと判断される場合もあります。テンプレの逆質問が悪いとは思いませんが、どうせならもっと企業の内情を探れるような質問にすればいいのに、と思います。私が今就活生だったら、一番大きいお客(BtoB前提)、年間売り上げ、利益、今後の事業展開などを聞きたいと思います。

⑤最後に
よく「採用担当にいきたい」という方がいます。話を聞くとその多くの理由は学生と面接をして合否を決めるだけの簡単なお仕事だと思っているからです。残念ながらそれは幻想で、採用担当はめちゃくちゃ激務です。特に2,3,4月。なんなら私が人事部に所属していた時からすでに実質通年採用だったので、基本的に1年中激務です。土日は基本東京ビッグサイトにいます。土日なんて無いと思った方がいいです(その分平日は休みですが、予定が組みにくい)。毎日狂ったように学生にメールを送り、面接の段取りをします。面接官と学生の予定が合わなくても頑張らざるを得ません。もちろん採用人数ノルマもあります。一年しかいませんでしたが、採用の現場は学生も人事も過酷です。

正直、諸悪の根源は学生を煽る某業界だと思います。サラリーマンの通過儀礼としては仕方ないのかもしれませんが、某業界の生んだ、無意味な悪習たちが求職者と企業のアンマッチと疲弊を生んでいるように感じました。採用担当は一年という短い間でしたけど、色々思うことがありました。とりあえず、就職活動の異常なまでの早期化はどうかと思います。

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