母とスマホ:There are no facts, only interpretations.
昨年12月に母は長年使っていた携帯電話いわゆるガラケーからスマートフォンに機種変更した。
ずっと使っていた機種のサポート終了とスマートフォンのほうが料金が安く済むということ、甥っ子たちとのテレビ電話をしたいという目的の元の一大決心だった。
母は来月77歳になる。髪の毛はほとんど白髪もなく腰も曲がっていなくて、年齢よりも10歳は若く見られることが多い。
両目も白内障の手術をしたおかげでバッチリと見えているようだ。
選んだ初めてのスマートフォンは、iPhone。
私がiPhoneを使っていて、設定や操作を教えられるからという理由で選んだ。
iPhoneは文字を大きくして、最低限使うアプリをホーム画面に表示させれば、あとはアプリの使い方を教えれば良いと思っていたのだけど、早速問題が発生した。
「アプリって何かね?」
母に「このアプリは〜」と説明をしていたときの質問、私の中では既に認識にあることでも、母の世界では認識されていない言葉だったようだ。
英和辞書でアプリケーションという言葉を引いて、プログラムやソフトのことをいうと説明したところ母の中でも何となくイメージはついて、納得してくれた。
しかし、次の質問には困った。
「ギガって何かね?」
データ通信容量の単位だと説明しても、母はそもそもインターネットさえ使ったことがなく、ギガはもちろん母の世界の単位にはない。
母が納得するようにデータ通信の仕組みからの説明をしていたのだけど、結局はあまり要領を得ずに終わり、母のスマホの使い方ならそれほど気にする必要ないこととして、まずは実際に使ってみようということになった。
スマートフォンに機種変更してから半年が経とうとしている。
母は、私の作成したマニュアルを見ながら、とにかく毎日スマートフォンを触って操作することで最初よりもかなり操作には慣れたと思う。
スマートフォンの直感的なフリック操作は意外とやりやすい様子だ。
少し欲が出てきた母は、よく行くスーパーのポイントやクーポンのアプリを入れて欲しいと言ってきたり、ネットスーパーでの買い物にも少し興味も持ってくれていたりしている。
妹の家族ともLINEで繋がって、甥っ子たちの成長の様子が写真や動画で送られてくるのも嬉しいようだ。
携帯ショップに連れて行ったとき、最初はスマートフォンにすることをかなり渋っていたから、「やっぱりガラケーに戻す」と言い出すかもしれないと心配だったけれど、案外大丈夫で安心した。
歳をとって新しいことを覚えるのは母もしんどかったと思うし、なかなか自分だけでできなかったときは歯痒い思いもしただろう。
そして、努力して1人で操作できるようになって、孫からの動画のメッセージを受け取ったとき、喜びもひとしおだったと思う。
そんな母を想っていると、新しいことにチャレンジする勇気をもらった気がする。
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