012 新卒入社後、8ヶ月で楽天を辞めた理由


1月末に楽天株式会社を退職した。新卒入社後8ヶ月での決断だった。その経緯について書き留めておこうと思う。

なぜなら、この決断の裏にある自分の思考と意思を、忘れたくないからだ。あるいは、ここで書いたことが、誰かの参考になったり何かを考えるきっかけになればいいなと思う、それがどれだけ些細であっても。


ただし、楽天は社内で扱う情報は基本的に社外秘であり、退職後もその守秘義務はあるので、公になっていると私が確実に認識していること以外は、一般名詞まで抽象化して書く。


また、このキャリアチェンジは、”ポジティブなものである“ということは最初に強調しておきたい。

楽天に不満があるから、嫌だから、というようなネガティブなものではない。むしろ私は総合的に考えてやっぱり楽天という会社が好きだしリスペクトしているし、楽天に入って良かったと思っている。


楽天に入社し、8ヶ月間駆け抜けた。そこで得たもの、考えたこと、感じたことがたくさんある。だからこそ、これらを踏まえて、これから自分の人生をどこでどう描きたいかを考えた結果の結論が、転職だった。


タイトルへの答え、楽天を辞めた理由を一言で言うとすれば、「安定よりも、自分の意思で選んで挑戦していく人生にしたい」と考えたからだ。

■転職決意までの経緯
完全文系でマーケティングを専攻していた私が、CTO配下、開発と運用の部隊に配属された。この配属は非常に困惑するものだった。

これも機会と捉え、全く未知の領域を異言語で1から学んだ。わからなければひたすら上司に質問した。そういう姿勢が評価されたのか9月からは新卒で唯一新しいシステムの運用構築のメインポジションをもらった。サービスインが近づくにつれて自分の無力さとそれでもどうにかしないといけないプレッシャーでオフィスのトイレで毎日泣いてた。

それも乗り越えて、業務に関するKPIを設定し、目標を立てた。あらゆる人の協力でその目標が11月中に達成の目処が見えた。

次の目標を考えると、ここでステップアップするということはつまりネットワークエンジニアになるということだった。

ネットワークエンジニアになりたいのか?という問いに対しての私の答えは、Noだった。社内異動も考えたが、社内規定や諸々のことを総合的に考えると不確実性が高すぎるので転職を決めた。

私は自分の人生の時間の使い方に納得感をもちたい。納得感を持つには自分で選ぶ、つまり何かを選ばない、決断することが必要であると思っている。

だから、ネットワークエンジニアとしてではなくマーケティングプランナーとしてキャリアを積んでいくために、楽天ではなく他社を選んだ。これがシンプルな事実だ。


そもそもなぜ楽天を選んだかについては別の記事を書く。


ここからは楽天での経歴や得たことについて記しておく。

■経歴概要
2020年4月に楽天へビジネス総合職採用で入社し、楽天モバイル(株)出向、モバイルネットワークの技術部門にて自社開発しているOSS製品を運用の面から担当。

■経歴詳細
2020年4月:楽天株式会社 入社(ビジネス総合職採用)
2020年4月:全体研修
楽天モバイル新規加入営業
プログラミング研修(ハッカソンを含む)
2020年7月::楽天モバイル(株)出向、ネットワーク本部配属  テクノロジー研修(スクラム、アジャイル、仮想化、5G、クラウド、etc)
2020年8月:Platform Operation Section, OSS Team 配属
2020年9月~:自社開発のOSS製品の監視・運用を担当


■業務内容
簡単に業務内容について触れる。部署名から察せるように、開発と運用の部隊。スマホがインターネットに繋がったり電話をかけられる仕組みを“モバイルネットワーク”というが、モバイルネットワークはつくっただけで終わりというわけではなく、トラブルが起きたら対応したり、そもそもトラブルが起きないようにEnd to Endで数千とあるあらゆるネットワーク機器のパフォーマンスを監視したりする。この監視とトラブル対応(運用)が私の課の仕事だった。

その中で私が担当していたのは、現在も楽天が力を入れているRCP(Rakuten Communications Platform、Amazonの AWSのようなものだと私は認識している)にのるアプリケーションだった。
社内でのサービスイン前から担当という非常に貴重なタイミングで関わることができた。トラブルシューティングのマニュアル作成や、監視方法について体制を考え、整えていく仕事をした。自分の知識不足もあり本当に大変だった。サービスイン直前の数日は、わからないことが多すぎるのに自分がやらないと皆が困るというプレッシャーと時間ももうないという状況にパニクり、毎日オフィスのトイレで泣いては気合いを入れてどうにか頑張ったのも良い思い出だ。


こんな仕事を毎日していたが、楽天での業務経験から得たものを振り返ってみた。

■楽天で得たもの
[どれだけわからなくても食らいついて理解していく力 ]
モバイルネットワークの技術面という馴染みのない非常に高度な専門領域、日本語できいてもわからないことを英語で理解する必要があった。英語日本語ともに片っ端しから調べ尽くして、質問をたくさんして、少しずつ理解していった。これ以上に“わからない”という経験は今後ないのではないかと思うくらいだった。本当に大変だったが、この経験があるから、私はどこでもやっていけると思える。どんなに難しいことも、理解することを諦めなければわかる時がくる、と知っているから。

[どんな状況でもどうにかする力]
配属された部署は、外国人の方が多く、言語はほとんど英語。当初は何も聞き取れない、話せない状況だった。(パワポのスライドを次にめくってもらう時の”Next slide please” しか聴き取れなかったくらい)
ただ、実務が始まれば、どうにかするしかなかった。先述したような高度な専門領域について、英語で。本当に大変だったが、結果的に、メインで会議を進行することができるようにもなっていた。やり切る責任感と意思さえあれば、どんな状況でもどうにかすることはできる成功体験になった。

また、コミュニケーションとは、正しい文法や発音かどうかではなく、”伝わること“が最も重要であると知った。英語が苦手な私にも嫌な態度せず、おそらくめちゃくちゃな英語に耳を傾け、わかるまで言い直したり言い換えたりしてくれた彼らには本当に本当に感謝している。

[カオスに対する耐性]
楽天モバイルは大規模な新規事業で変化が激しい上に、Network  Divisionへの新卒の配属は初ということで OJTも整い切っていない非常にカオスな環境だった。本当にカオスだった。その環境で仕事をしたからこそ得られた視点や鍛えられた主体性があった。というか、新規事業の立ち上げ初期はこれが普通なんだろう。今がカオスでないならば、それは誰かが整えてくれただけ。それに気づけたことが大きな学びだ。

[日々の行動や姿勢によって他社から信頼される力]
実は、私が担当となった業務は新卒で唯一、上司の代理でメインでアサインされた仕事だった。それは、積極的に質問を重ねる姿勢や、チームの改善に向けた提案などを主体的に行動してきたことに対する信頼だと捉えている。全く未経験・初めての領域であっても、謙虚に直向きに日々努力していれば信頼を得られるんだという実感を持つことができた。

[逆境を楽しむ脳内変換術]
配属は希望通りになることは少ないことは承知だったが、異例の配属であまりに予想外だった。
描いたキャリアイメージとは大きく異なる仕事をすることになったが、そこで萎えるのではなく、考え方や捉え方を変えてポジティブに仕事をした。事実は変えられないが捉え方を変えることができる。捉え方が変われば気持ちも行動も変わる。解釈の力の大きさを再認識した。



他にもたくさんの気付きや学びがあった。
前半と重なるが、楽天を選んで良かったと心から思っている。
楽天でしたことは、自分なら絶対に選ばない、そもそも選択肢が脳内にないので選べないことだった。私の世界はとても広がった。楽天で働いたからこそ、自分が何をしたいのか、何をしたくないのかがわかった。楽天ほど大きな会社で、楽天モバイルほど大規模な新規事業の初期に少しでも携われたことを誇りに思う。私は楽天という会社が好きだし、楽天をファーストキャリアに選んで良かった。

次の会社についても、なぜ選んだか、どうやって転職活動をしたかも書こうと思う。

人は忘れる。時間を捧げて考え抜いたことでさえ少しずつ記憶からこぼれ落ちていく。だから、言葉にして残していく。忘れたくないことに、付箋を貼っていく。

そしてこの付箋が、誰かの役にたてばいいなと思う。



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