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いいビジネスの形を学んだ「鈴虫寺」

今回多くのお寺を巡らせていただきましたが、群を抜いて印象に残っているのが華厳寺a.k.a.鈴虫寺です。私にとってそれは全く新しいお寺体験でした。私のような無宗教の人でも何度でも通いたくなる仕掛けがたくさん。お寺の持続的な経営にはもちろん、仏教(鈴虫寺は禅宗の一つ臨済宗)の広がりや、地域の盛り上がりにも貢献されてるんだろうなーってビジネスのいい形を見たって意味でも感激しました。というわけで今回は、マーケティングの4P目線で鈴虫寺の良さをまとめていきたいと思います。

①Place:駅から少し離れた、自然と風情溢れる街並みを残すエリア

鈴虫寺は嵐山の観光の中心地からは少しずれた場所にあります。古墳が多く残る厳かな雰囲気の松尾山、苔寺や竹寺のように慎ましくも神々しさを感じるお寺、昔ながらの瓦屋根の立派な住居が多い、歴史ロマンをも感じる場所です。最寄りの松尾大社駅からも少し歩くのですが、まずそのちょっと行きにくい感じがまたにくい!たどり着くまでにもうワクワクがどんどん高まっていきます。そして極め付けは、鈴虫寺の入り口の前には長くて急な石の階段!気を抜けば転げ落ちそうだし、先は見えないしで、なんだかこれからすごいとこ行くんだなってもうワクワクはピークに達します。

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②Promotion:オールシーズン聞けるリアルな鈴虫の鳴き声と茶菓子のおもてなし

鈴虫寺では、寺の本来のあり方、「住職の説法を聞き、お参りすることで自分の心と向き合う場所」ということに力を入れています。でも堅苦しい雰囲気にならないように、禅宗の教えの一つである「茶礼」に基づいてお茶とお菓子(*コロナ禍ではお菓子のみ)を提供し、さらには穏やかな気分にさせてくれる鈴虫の鳴き声をBGMとしてくれているのです。鈴虫の住みやすい環境になっているので部屋の中は暖かくてほっこり。私は初めて説法を聞くということで最初は緊張していましたが、鈴虫の入ったガラスケースを自由に見ていいよとお声がけもいただいたりと、すぐに居心地いいなと感じることができました。禅というと、坐禅など厳しいイメージがある人も少なくないでしょうが(私もその一人でした)、このおもてなしを受けるとそのイメージが完全に覆えります。(*その後他のお寺で坐禅体験して、やっぱり厳しいって方に戻りましたがw)

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③Product:必ず記憶に残り、伝播力も半端ない説法

さぁいよいよ説法です。和尚さんが鈴虫について、鈴虫寺のお地蔵様の特徴や参拝の仕方、そして「よかったらこれだけは覚えといてね」と生き方の指針を、参拝者への問いかけや笑いを交えながらお話をしてくれます。これが本当に面白い!コロナなど時事問題に絡めたり、ありがたいお話だなと思って聞いてたら途中で「えっ!?おっ、おおぉぉー!」てなったり、、、30分があっという間でもっとずっと聞いていたい!と思うほど楽しい時間でした。でも楽しい中でもしっかりメッセージは心に刻まれています。

この時は、4つの漢字を覚えて帰ってねということで一つ目は「粛」。この漢字の本来の意味は、何かをしないのではなくで、「心を引き締めて正しく形で『行う』」ということ。特にこんな時だから正しく行いたいのは「自分探し」。

和尚さん:「どこかに旅行に行っても自分は見つかりません。自分を見つけるには、自分の心に問いてください。心の中で声をこだまさせると、光がさします、するとどうなると思いますか?」

聴衆:????

和尚さん:「こだまして、ひかりがさすんですよ?」

聴衆:えっ!?

和尚さん:「そうです、のぞみがかないますね。」

聴衆:おっ、おおぉぉー!(゚∀゚ノノ゙パチパチパチパチ

これだけでも説法が秀逸なの想像つきませんか??こういう形で4つの漢字をご紹介いただき、それを並べ替えるとどうでしょう・・・

「慈粛陽静」!!!!( ゚ロ゚ノノ゙☆

私はこれ以来、「慈粛陽静」を何かにつけて思い出します。いいこと聞いたなぁと。そしていろんな人に諭しています。w

④Price:家まで来て、現実的なお願いを一つだけ叶えてくれるお地蔵様

鈴虫寺の石段を上った山門脇には、「幸福地蔵様」が立っておられます。わらじをお履きになっている大変珍しいお地蔵様です。これは、お地蔵様が願いを叶えるために、歩いて来てくださるからなのだそう!なのでお参りするときには住所とお名前をお伝えします。ただし条件があります。鈴虫寺で販売されている黄色いお守りを正しく持って、一つだけ現実的/具体的なお願いをし、それが叶ったらお礼に来るというものです。お礼に来た際にまた新しいお願いができます。こう言われるとその願い、なんだか叶う気しませんか?そして叶ったらまた来なきゃって思いませんか?

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お守りはたったの300円!それで叶うなんてコスパ良すぎ!(失礼な言い方お許しください)というわけで、普段神頼みをしない、お守りも持たないタイプの私もここではお守りを購入、お願いをしました。そして叶った暁にはまた行こうと心に誓うわけです。リピート確定です。しかも、お願いは一人一つなので、今ここにいない家族や友人の分もお守りを買ってその人たちの願いが叶った際には彼らもお礼に来るかもしれません。新規獲得です。素晴らしいです。

*参考:鈴虫寺HP

*WEBサイトの情報や自分の感想をもとに記事を作成しています。情報の正確性を保証できないことご了承ください。

*一部の表現が失礼に当たっていたら申し訳ありません。ビジネス面が優れていると感じていますが、金儲けに走っているという悪いイメージではありません。優れた経営のおかげで拝観者や、地域の方々、仏教に関わる多くのにも喜んでいただけるポジティブな循環を生み出されていることに感慨を受けてこのような書き方をさせていただきました。

母がドイツ人の父が日本人のいわゆる「ハーフ」ですが、ハーフって言われるの嫌い。ピザじゃあるまいしw。アウトプット力・文書力向上を目指してnoteを活用します。そして記事の内容が誰かの役に立ったら嬉しいです。