生い立ち⑤

小学校四年のころだったと思う。
女子だけを集めて、生理についての説明を受ける授業があった。初めて知った内容ではなかったけれど、クラスの女子たちはそれをすでに母親から聞いていて、その日に備えての心づもりがあると言っていた。そうか、お母さんからそんな話をされるものなんだ、と私は思った。わたしがまだ話をされていないだけなのかもしれない。

自分の初潮はとても遅かった。でもその日が来るまでその話題はわたしからも母からも、することもされることもはなかった。
どうやって報告したらよいのかと迷った末、台所でわたしは切り出した。
「今日生理が来て、なんだかお腹からおもりが下がってるみたいに重いんだね!」意を決して明るく言ってみた。
恥ずかしかったからなのか、照れていたのか、わたしは母の目を見ずに台所でその報告をした。母は何も答えなかった。それで終わり。

自分が娘をもった今、時々このことを振り返る。
なぜ生理が始まるのか、生理用品の説明、下着に血が付いたらどうやってやって洗うのか、お腹がいたくなること、身体を冷やさないようにすること、体育の授業はどうするか etc…
女性の先輩として話してあげる事はいくらでもあるはずなのに。

わたしは別に悲しくもなんともなく、自分で生理用品を買いに行った。
母には、娘の成長を喜ぶという発想はなかったと思う。むしろ避けて通りたいというか、娘と性を結びつけたくない、そういう思考だったと思う。














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