月とは何か
学び始めの頃、月のカードってあまり好きではなかったです。不安とかネガティブイメージ強いし。
自分のホロスコープを見ると「月」は冥王星や天王星のオポに土星が合ってしんどすぎなのですが、月をうまく発揮するというのが難しかった人生でもありましたね。12ハウスの魚座ですし、近くにはキロンまでいるというね。
ゆえに好きになれない象徴みたいなところはありました。
ただ、稲垣足穂の小説に出て来る月は、無声映画の月世界旅行に出て来る不気味な顔、昭和初期の広告の月のような気持ち悪さが好きでした。月の持つ不気味さや狂気は好きだったわけです。
図書館で「月と幻想科学」という松岡正剛、荒俣宏の対談形式の本を借りまして。足穂は勿論のこと、月にまつわるあらゆる作品、作家、科学者、神秘主義者が出てきて面白かったです。月欠損説などは占星術クラスタで大炎上した案件ですが。月というのはこの本によれば、全く捉え方が異なります。
月は太陽と違い低温で、アナザーワールドであるとのこと。
地球のきょうだいではなく、よそからとらわれてきて、いずれ遠ざかるのかも。月は暑苦しくなく、知性である。ともあり。
その流れでルナティックスも読んでいます。ヨーロッパにおける月のイメージの変遷がまとめられているのが、占い師には参考になるかなと思います。
月は死と再生のリズムの起源、彼方から豊穣をもたらす源泉、女性のシンボルにして女神の女王、万物のための「形の母」、死の国の象徴とあり、このあたりが月のカードや、占星術の解釈にもつながりそうですね。
日本人は文化的に、イケイケ?の太陽より、月のほうが合っているように感じたりするのは私だけかもしれませんが、月は学んでいくとかなり複雑でいろんな解釈ができるようにも思います。
ベースとなるカードたちを少し見てみます。
マルセイユ版には不気味な存在としてのザリガニ、吠え付く獣たちはいますが、ほかのカードとの関連はありません。WS版は池から上がってくる道が示されていて、この先はどうなるんでしょうか。画面両脇の建物は死神のカードにも描かれていて、未知への入り口を表します。トートはエジプトの冥界の神、アヌビス神が描かれています。
月は不安、恐れというキーワードで語られることが多いですが、
無意識に目を向けて自分の思考が何で作られているのか、行動パターンの底にあるものは何かを知ることで、不安の本質が見えることもあるように思います。
こちらはマルセイユ版と、ハーモニアス、ドリーミングウェイを並べてみました。どちらも女性が出て来るのが特徴的。ハーモニアスの花は「マツヨイグサ」に見えます。ドリーミングウェイはザリガニがでかい。
WS版と、鳥タロット、モダンウイッチ、パスタタロットを並べてみました。鳥タロにはザリガニはいません。食べられたのかな(笑)モダンウイッチにはルナティックな二人がいます。不気味なものもしっかり水の中に。
パスタは平和です。全部合わせたらおいしいパスタになりそうだから。(強いてあげれば具材が少ないかも)
個人的には月のいろんな面が愛せるようになったので、解釈にも行かせていけたらいいなあと思っております。
(おまけ1)
20世紀にはルナパークという名前の遊園地がアメリカにたくさんあったそうです。こちらは日本のルナパーク。大阪にあったという幻の遊園地です。10年ほどで閉業しました。通天閣へ行くと当時の写真やジオラマがあって面白いです。
(おまけ2)
稲垣足穂「一千一秒物語」を松岡正剛が論じたのはこちら。
一千一秒物語は一度手に取ってもらいたい本の一つ。
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