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一泊旅行という贅沢

旅を忘れていた。
子育てと受験が終わったらコロナ禍がやってきて篭りがちな生活を余儀なくされて、旅を忘れていた。

計画した時はこれほど期待していなくて、
娘が予約してくれた旅館になんとなく車で向かって、当日は春爛漫の陽気。

住んでいるエリアを後にし湾岸を下っていく。日本は海に囲まれていてこんなにも美しい国!海外からの観光客も満足するのもさもありなん。世界のどこかで戦争があったり金融機関が破綻破綻しそうになったりしていることも海は知らなくて穏やかに寄せては返す波。

朝目覚めるとそんな大きな海をまた眺めることができて何もすることがなくてただその景色を味わう。日頃の生活が特に苦労だなんて言えないけど
長年溜まっていた檻のようなものが溶け出したみたい。

旅に出るのは少し手間で、それが楽しみでもある。予定を調整して行き先を決めて宿を取ってその日を待つ。宿の人は皆気持ちよく迎えてくれて
新しくはなくてもお掃除が行き届いていて
お食事の心配もない。主婦にとっては極楽。

今日は伊東市のさくらの里に立ち寄った。

さくらの里と大室山

公園にあった高浜虚子の石碑には

人生とは何か
私は唯月日の運行
花の開落鳥の去来
それ等の如く人も亦
生死していく
といふこと
と承知して
ゐます

と刻まれていた。唯月日の運行。どんどん過ぎゆく日々は枝に小さな硬い蕾が開いて三分咲き、五分咲き、満開から葉桜までの移ろいに似て留まることを知らない。

あくせくせずにときに自然と戯れて
五感で生を味わうことができる旅行は
細胞の一つ一つが目覚める感覚がある。

一年が過ぎる速さを考えるとこの贅沢な時間をあとどれくらい持つことができるんだろう。いつか行きたい、を先送りせずに無理のない範囲で叶えていこう。

春分の日も終わりますね。皆様の1日はいかがでしたか?ゆっくりお休みください。

朝のビュッフェ

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