年を取るということ(後編)

前回の記事からの続き。年を取ることに対し、希望が持てるかもしれないと思ったいくつかの例を紹介していきたい。

年齢なんてただの数字です

「年齢なんてただの数字です。」私の敬愛する、歌手で俳優の美輪明宏は、こう言っている。彼は、現在は2019年に発症した軽度の脳梗塞のため療養中ではあるが、それ以前は80歳を超えた高齢にも関わらず、自分の可能な範囲での演劇やコンサートを精力的に行っていた。しかも、雑誌やWebでのインタビューによると、体調が万全になったらそれらを再開するつもりらしい。なんという、生命力にあふれた人だろうか。

若さは美しいけど、美しさは若さじゃないよ

次に、漫画『ヘルタースケルター』に登場する台詞を紹介しよう。この漫画の主人公は、人気絶頂のカリスマ美人モデルだが、実はその美しさは違法で危険な全身美容整形手術による「作りもの」だ。彼女は、加齢や手術の後遺症による容姿の劣化を、なにより恐れている。それに対して、彼女と対になる正反対の存在として描かれた男性が言うのが、この台詞だ。「若さは美しいけど、美しさは若さじゃないよ。」詳しく語ると作品を読んだときの楽しみが減ってしまうためこれ以上は紹介しないが、その後の筋書きが気になったら、ぜひ読んでみてほしい。

人生の先輩たち

「自分も年を取ったらこうなりたい」と思わせてくれる年の取り方をしている女性たちの存在も、私が年を取ることに対して希望を見出すことができるようになっている要因だ。例えば現在中年の人だったら、女優の吉田羊。私は彼女のことをよく知らないのだが、ぜひあんな風なこざっぱりとしてきれいな中年になりたい。高齢の人なら、いつまでも少女のようにかわいらしくて元気な女優の黒柳徹子、老いてなお力強い意志と生命力を感じさせる芸術家の草間弥生、それから「インスタグランマ」と呼ばれるInstagramで人気が出るようなおしゃれなおばあちゃんたちに憧れる。

老い=自分を腐敗させるか、熟成させるか

果物や牛乳は、「採れたて新鮮なもの」に価値があり、放置されたものはやがて腐ってしまう。しかしこれが、きちんと下ごしらえをした上で保管し、果実酒やチーズに変われば「じっくり熟成させたもの」に価値がつくことになる。

今の若い自分をそのまま放置して腐らせるか、それともしかるべき処理をして熟成させて新たな価値を作り出すか。

私は、後者のような生き方がしたいと、心から思う。

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