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世界遺産じゃなくて、世界農業遺産の話

高千穂や椎葉村について調べているとき、世界農業遺産というワードがよく目に留まりました。世界遺産とは違う・・?知識が全然ないので、基本的なことをとりあえず整理してみることにしました。

そもそも世界農業遺産って

世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する制度。(FAOの本部:イタリア・ローマ)
2002年に開始されたプロジェクト。英語名は「Globally Important Agricultural Heritage Systems」、頭文字を取って「GIAHS」(ジアス)と略されている。

世界農業遺産の創設背景

近代農業の行き過ぎた生産性への偏重が、世界各地で森林破壊や水質汚染等の環境問題を引き起こし、さらには地域固有の文化や景観、生物多様性などの消失を招いてきたことが挙げられる。

目的は?

近代化の中で失われつつあるその土地の環境を生かした伝統的な農業・農法、生物多様性が守られた土地利用、農村文化・農村景観などを「地域システム」として一体的に維持保全し、次世代へ継承していくこと。

世界の認定地域はどんなところ?

世界で22ヶ国62地域、日本では11地域が認定されている。アジア7ヵ国37地域、アフリカ6ヵ国10地域、欧州3ヵ国7地域、中南米4ヵ国4地域、中東2ヵ国4地域(令和2年6月現在)。

アジアが一番多いですね!中でも中国が15地域とトップ、次いで11地域の日本でした。

日本の認定地域はどこ?

・トキと共生する佐渡の里山[新潟県/2011年認定]
・能登の里山里海[石川県/2011年認定]
・静岡の茶草場農法[静岡県/2013年認定]
・阿蘇の草原の維持と持続的農業[熊本県/2013年認定]・クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環[大分県/2013年認定]
・清流長良川の鮎[岐阜県/2015年認定]
・みなべ・田辺の梅システム[和歌山県/2015年認定]
・高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム[宮崎県 /2015年認定]
・持続可能な水田農業を支える「大崎耕土」の伝統的水管理システム[宮城県/2017年認定]
・静岡水わさびの伝統栽培・発祥の地が伝える人とわさびの歴史[静岡県/2018年認定]
・にし阿波の傾斜地農耕システム[徳島県/2018年認定]

日本では2011年から認定され始めています。宮崎県では高千穂郷・椎葉山地域(高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町、諸塚村、椎葉村)のみで、今年で認定5周年だそうです。九州の他の地域でいうと、熊本県と大分県の2地域が2013年に認定されています。

選定基準は?

(1)食料及び生計の保障
(2)農業生物多様性
(3)地域の伝統的な知識システム
(4)文化、価値観及び社会組織
(5)ランドスケープ及びシースケープの特徴

世界農業遺産申請から認定までの流れが下記サイトに記載されていますが、まずは申請者となる地域の協議会がかなり頑張らなければならなそうです・・。

認定されるメリットは?

地域固有の農林水産業の価値が世界的に認められることで、地域の人々に誇りと自信をもたらすとともに、農産物のブランド化や観光客誘致を通じた地域経済の活性化が期待される。また認定地域同士の交流、国内外との連携強化なども、のぞめる。

世界遺産との違い

国際連合教育科学文化機関(UNESCO(ユネスコ)が推進する世界遺産が、遺跡や歴史的建造物、自然など「不動産」を登録し保護することを目的としているのに対して、世界農業遺産は、地域のシステムを認定することで保全につなげていくことを目指している

世界遺産と比較すると、世界農業遺産の知名度が低いのは何故でしょうか。世界遺産は1972年から、日本国内では現在23件が登録されています。日本での管轄は文化庁になのですね。

ざっとインターネットで調べてみましたが、表面的なことしか掴めませんでした。理解を深めるために少しずつ勉強して考えていきたい問題です。

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