見出し画像

ここでひとりシエスタを_005

【2018年cinemaベスト3】

 2018年も沢山とはいえないけど、いろいろと映画を観て独自のランキングを考えました。(新旧問わず、わたしが一年間で初めて観た作品の中から毎年決めている、超オリジナルチャート)今年は念願の映画館のメンバーズカードを作ったから、もっと映画館に足を運べるようにしたいところです。ちなみに、2018年はじめに観た作品はフィンランド映画の「希望のかなた」でした。

No.3:ファントム・スレッド

 観終わった後、全編をとおしての重厚感にとても贅沢をした気分。まさに「映画を観た!」というようなクラシカルなつくりだけど、現代にうまく落とし込まれているのかなんだかよく分からないけれど、今までのPTA(監督)作品がハマらなかったわたしでも映画の中に引き込まれたのです。

 日々のルーティンが神経質なまでにあり、独身主義で完璧を極める人が誰かによって少しずつ変化していってしまうのも人間であって愛なのか、と浅はかなわたしでも悟ってしまうような強力なラスト。レイノルズの眼差し、痺れた〜。ダニエル・デイ=ルイスかっこよかったです。

 どのシーンも丁寧で繊細で無駄がない。どこを切り取っても美しい画。こんな映画をこの時代で観れることに感動しました。まさにレイノルズのような作品なのです。今まで監督のファンである友人に過去作をどんなに勧めらようとも、ただボーッと観てしまっていたことが申し訳ないくらい「凄かった」と呟くばかり。ドレスはどれもうっとりするほどに素敵。服の内側にそっとお守りのように、大切なものを縫い込むというのもロマンチック。

 映画が素晴らしかったのももちろんだけれど、PTA作品の面白さに気がつくことができた記念すべき作品として。

No.2:アンダーグラウンド

 夜更かしをして観た念願のアンダーグラウンド。ものすごいパワーのエンターテイメントでとにかく圧巻。鑑賞後、すぐにもう一度観たくなるほどに。コミカルな人々の背景にある戦争や内戦。あんなにも陽気な音楽との奇妙な組み合わせの心地よさ、クストリッツァ監督の個性がクセになってしまったようです。

 DVDパッケージの裏のコメントにもあったよう、ラストシーンが素晴らしい。長く密の濃い本編を締めくくるのに相応しいフィナーレで全てが詰まっていました。そのシーンを観て、わたしもこんな夢のような光景を未来にも期待したいと素直に思ったのです。それと、地下世界でひっそりと暮らす人々の生活っていうのに、ついワクワクしてしまいました(武器を作っているけれど)。結婚式のシーンが楽しくて、花嫁登場の独特の演出も愛らしかったな〜。この時間がずっと続きますようにと、つい願ってしまいます。(その後のシーンを思うと苦しい)

《余談》人混みの中、サントラをイヤホンから爆音で流しながら、四方八方からくる人をひょいひょいと避けて歩くのが楽しいのでオススメ。なかなか滑稽です。

No.1:レディ・バード

 主人公はまさにわたしが高校生のときに憧れていたスクールライフ、ロールモデルにしたい女の子で、あっという間に好きになってしまいました。ちょっぴり背伸びをしたり、自分の感性を信じていて、憧れたり、イラついたり。めんどくさいんだけど、そんなところがキュートで。未熟でありながらも自立している子。

 母との絆が丁寧に描かれていて、それを通して大人へと変化していくレディバードが眩しいのなんのって!何者かになりたい高校生活の中で名乗っていた『レディバード』が、ラストで自己紹介するところと、両親に電話するシーンが好き。嫌気をさしていた故郷の風景が、初めて運転した日には新鮮に見えたと語るシーンが印象的。テンポよく進むストーリーは、くるくる感情の変わるティーンエイジャーのポップさがあって、鑑賞後はポジティブで爽やかな気持ち。憧れと、どこか他人事に思えないストーリーが自分の好みのど真ん中でした。

《余談》「君の名前で僕を呼んで」でまんまと心を奪われてしまったティモシーシャラメが今作にも出ていたのだけれど、またもその美しさ尊さに惚れ惚れとしてしまった、眼福!

 美しい「シェイプ・オブ・ウォーター」も捨てきれなかったのだけど、ファントム・スレッドの面白さに油断していたのでトップ3には入れられなかった...映画館の上に住むって最高のシチュエーションなのです。クストリッツァ監督は「オンザ・ミルキー・ロード」を一昨年観に行ったところでハマりました。監督のファンだという人に「ジプシーのとき」「アリゾナドリーム」そして「アンダーグラウンド」を借りて一気に観させてもらいました。アリゾナドリームの若きジョニデがイケてるんだよなぁ。「黒猫・白猫」も観たいです。

2019/01/21配信:005号 ネットプリントver.

ぜひプリントアウトしてご覧ください!

marica.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?