ドラマ「#東京女子図鑑」レビュー 女子はまだ専業主婦の夢をみるか
ニュースを見ているとnoteのネタが尽きなくて、楽しいまりあさんです。日本はジェンダーの研究ネタ元としては素晴らしい国です。Haha。
今日はAmazonPrimeで独占配信のドラマ「東京女子図鑑」についてレビューをしていきます。
■ドラマ概要:秋田娘の奮闘記@東京
秋田県の女子高生、綾ちゃんの夢は
「人から羨ましがられる人になりたい」でした。
秋田のど田舎ではその夢が叶えられないと絶望する綾ちゃんは、就職を期に東京で暮らすことに。
仕事も恋も全力で挑む綾ちゃん。三茶から恵比寿、銀座と、住む場所もライフスタイルも着実にレベルアップさせて、その土地で相応しい人と恋愛イベントをクリアしてゆきます。
果たして彼女は東京で幸せを手にし、夢を叶えることができるのでしょうか?
▽実際の街の美味しそうなレストランが飯テロ
■「他人から羨ましがられたい」綾
このドラマを見終わって、一番の感想は「私は綾と同じ世界で生きてなくて良かった」でした。同じ東京住みなのに、一瞬住んでた地域も映ったのに。
彼女は「人から羨ましがられたい」と幼い頃から思っています。そのため、良い場所に住み、良い仕事につき、いい彼氏・旦那をゲットし、結婚し、素敵な暮らしをしようと、めちゃくちゃ努力します。
私だって、人のものを羨む程には人間の心を持っています。でもちょっとベクトルが違うみたいです。そりゃ、幼稚園のときなどは友達のおジャ魔女どれみの靴下にいいなぁとか思っていました。
▽キラキラ靴とか変身するための棒とか欲しかった
また、大人になってからも羨ましい...と思うことは全然あります。
Aちゃんはおっぱいが大きくていいなぁ、とか
Bちゃんは親と仲良くていいなぁ、とか。
でもこれは、元々その人自身が持っているポテンシャルの話で、いいなぁと思ったところでどうしようもないもの、もしくは自分の行動次第でどうにかなる話であることも多いです。
例えば、おっぱいならブラを変えるとか豊胸手術とかで大きくなるし、親と仲良くやれるよう対策を立てることも出来ます。
けれど、綾と私の「羨ましい」のベクトルが異なる。綾は誇らしいステータスを持ちたいのに対し、私はステータスにそこまで興味がなく、別に大きなおっぱいも自分のために欲しいだけなのです。
■綾はポケモントレーナー??
最終話で綾の彼氏がこんなセリフを吐きます。
(このセリフは綾がシリーズ冒頭から何回も喋っている呪文のような言葉です)
予約の取れないレストラン
代理店の彼氏
やりがいのある仕事
六本木ヒルズ
バージンシネマのレイトショー
1泊2日の箱根旅行
ハリー・ウィンストンの婚約指輪
幸せな結婚
人生をコンプリートするためのアイテム
東京をゲームの舞台に選んだ女たちは、ロールプレイングの主人公になって、そのゲームをクリアするためのアイテムを集めてきました
私はこの発言がどうも引っかかり、ある結論に達しました。それは、、、
\\綾はポケモントレーナーのなのでは??//
(それも縛りプレイ※専門)
▽東京女子「図鑑」だしね
※縛りプレイ…ゲームを攻略する際、厳しい条件をつけるドMプレイのこと
(例:金色のコイキングだけでクリアする)
そう考えてみると綾ちゃんはすごいのです。
何故なら綾ちゃんは男を捕まえても育てようとはせず、捕まえたポケモンのそのステータスでゲームのジム(結婚・子育て・老後)をクリアしようとするのですから。
綾ちゃんは物語の最初、冴えないけど優しい男の子を三茶で捕まえます。同じ秋田出身の彼は、三茶に似合う「飾らない笑顔」が素敵な好青年です。
ポケモンで例えるなら、ゴーストぐらいですかね。
▽阿部力さん演じる、なおき君です
でも5年ぐらい付き合って、せっかく東京にでてきたのに、こんなしみじみとした小さな幸せでいいのか?と綾は不安になってしまいます。
まあカントー地方から出てきた綾ちゃんは、ジョウト地方でもゴーストが出たら物珍しくないですし、もっとルギアとかスイクンとか捕まえたいですよね。
▽イケメンとかお金持ちとか背が高いとか
そして綾はゴーストを捨て(泣)、伝説のポケモンをゲットするべく旅に出るのです。。。
そして月日は流れ、昔のゴーストとの恋愛がなんだかんだ一番幸せだったなと思い出した綾ちゃん、三茶に戻ってきます。
でも時すでに遅し、ゴーストはゲンガーに進化し、奥さんと娘さんと幸せな家庭を気づいていたのです。
▽奥さんと子供と幸せそうな、なおき君
ゴーストもちゃんと育ててあげればゲンガーに進化出来るポケモンなのに、綾ちゃんは育てはしないプロ縛りプレイヤーなので、1つのチャンスを逃してしまいました。
縛りプレイヤーは辛いですね(そこではない)。
■EDテーマの残酷さ(褒めてる)
このドラマシリーズのもう1つの良いところは、エピソードの最後に流れるこのEDテーマです。
ピコピコ音・ケロケロボイスがゲームを連想させ、なんといっても歌詞がえげつなく現実的で、でも頑張って現実逃避してるのがまた綾ちゃんぽいのです。
▽トウキョウコンプリート
https://youtu.be/_v_HpKba91I
let's dance dance dance
ハイスペックな彼氏の
横にいる私の
ゲームの始まりは
東京 東京 東京(Yeah)
夢にまで見たもの
砂の城だとしても
足跡残すわ
東京 東京 東京 (Yeah)
仕事も恋も諦めないよ
欲望に、コンフリクトに、必要なのは、、
悪夢果てしなく続く
どこかの誰かに踊らされてる
let's dance そんなこと知ってるわ
どこかの誰かに踊らされてる
でも踊り続ける let's dance
ハイスペックな彼氏(ポケモン)を持つことが自分自身のステータス。みんな、「ルギア(社長の息子)捕まえたの?」「この間、スイクン捕まえたんだよ(子供が生まれた)」と言い合いたいのです。
「結婚して子供生んでね!いつまでも若く綺麗でかわいくいてね!それが女子の正解だから、このジムをクリアしてね」という社会からの無言のメッセージをいつも受け取り、ジムバッジ目指して頑張る。
でも東京の生活で成功しても、それは砂のお城、所詮ゲーム。そんな「どこかの誰かに踊らされてる」状況も分かって、綾が東京で生活していたとしたら、なんて悲劇。
それでも彼女はポケモンというゲームの、その正解ルートしか知らないのです。しかも、そのルートがキラキラしすぎて、このルート以外の選択肢が見えないのです。
■私はポケモントレーナーじゃない
私も多分元々は綾と同じ、ステータスで勝負する、ポケモンのような世界を生きていたと思います。
でも私が綾と違うのは、大学生の時にエーリッヒ・フロムの『愛するということ』を読んで、違うゲームに移行したことです。
※この本は本当にオススメなので、またレビューします。
パートナーの有無や自分のライフスタイルを他人と比較しなくても良い、足りないものがあるならむしろ自分で作っちゃうような世界、牧場物語やマインクラフトみたいな世界がこの世にはあるのです。
私はこの本を読んでそれに気が付き、ゲームを移動出来ました。
■専業主婦を夢見る女の子たち
先日、偶然こんなTweetを見つけ、もやっとした。
(画像クリックで元ツイートに飛べます)
「自分の顔見ろブス」など酷いリプライはさておき、私が気になったのは、専業主婦になりたい、綾みたいな女の子が世の中にまだたくさんいること。
身近なロールモデルがいないのも悲しいけど、何で自ら社会的弱者の専業主婦に彼女達がなりたいかといえば、そのルートしか知らないからではないかと思います。
知らず知らずに、誰かに踊らされてない?無謀だし、成功できるのは一握りだと分かってるなら、その勝負、挑まなくて良くない?というか、自分でお金稼げばよくない?と思うおばさんなのでした。
今日も長くなっちゃいました。
途中中だるみしてるポイントなどあれば教えてください!
ではまた明日!!ばいばい!!
まりあさん
■おまけ:ポケモンの世界で戦うには
そんなポケモンの世界でも、ちゃんと捕まえた男を育てていれば、綾もまた違った人生を歩めたのではないかとも思っています。
私の好きなポケモン実況プレイヤーに、ランドセルさんという人がいます。https://youtu.be/IVXn2cheS7s
彼のすごいところは、ポケモンの能力を差別化させ、もともと持っている個性を際立たせ、定番の強いポケモンと戦えるよう調整し、ちゃんと活躍させるところです。
これは愛があるし、ポケモンのルールの中で、誰かに踊らされず精一杯戦っているので、とても好感がもてます。是非見てみてください!!
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