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心の荷物もおろそう、と思えた場所

「身軽でいたい」と事あるたびに思い、それから口癖になっている。
紛れもなく私の願いなのだけれど、現実はなかなかうまくいかない。

物理的な話をすると、どこかに行く時にはいつだって「身軽」からは程遠い。
必要な物をつめた後、「もしかしたらあれもこれも必要になるかもしれない」となぜか不安に襲われる。それからごそごそと引っ張り出しては、スーツケースにしのばせる。

結局、肩にぐっと食い込むぱんぱんに詰まったリュックと、階段を見るたびにため息をつきたくなるスーツケースを持ってうろうろする羽目になる。
よく知らない道を緊張して重い荷物を持って歩くと、翌日は筋肉痛になる確率が高い。到着するまでに疲れてしまうのも、帰宅翌日にぐったりするのもきっと荷物の重さが原因の一つだと思う。

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今回、少し遠出をした私が選んだホテル。
『HOTEL THE KNOT YOKOHAMA』。
いつからだろう、ずっと行ってみたかったホテルの1つ。次に横浜に行く機会があれば絶対にここがいい、と思っていたので念願の。

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到着が夜でよかった、なんて。

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足を踏み入れるのがもったいなくなるエントランス。無機質な感じ、とっても好き。

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「寝るため」じゃなくて、秘密基地に入るみたいなわくわくする感じ。
どんな世界が待ってるんだろうな……って。

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ずっと昔から憧れていたのは「真っ白」な部屋。でも最近、灰色や黒、暖かみのある光が好き。白は眩しすぎて、私には疲れてしまう。

深く息が吸えて、気が向いた時にベッドに転がりたくなる。力が抜けた状態でいられるのはきっとほどよく彩度が低い世界。

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自分の部屋で絵を飾っても全然こんなにバランスならないんだよね。

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ミニマルで、無駄な物がない空間。
どれも私の心をぎゅっと掴んでくる色味とデザインとセンス。何でもなくて言葉にできないんだけど、こういうのが本当に好きなの。

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しっくりと、ぴったりと寄り添ってくれる物だけがある。それからひとさじの遊び心と満点のホスピタリティ。
何だか久しぶりにぐっすり眠れて、すっきりと目が覚めて心が軽くなった気がした。

それから、帰りのパッキングをしながらやっぱり思う。
「私、荷物多くない?」って。

軽い心で抱えられるだけの物を抱えよう。
きっと、必要な物だけならばそれほど重くない。
欲張って、必死に隙間を物で埋めようとしてしまっているんじゃないだろうか。

本当にゆったりと過ごさせてもらって……でも、ここに泊まったことをちょっとだけ後悔した。
もう出たくないの。居心地が良すぎて。
できるなら、この場所でしばらくゆったりと過ごさせてくれないかな。しばらく……いや、飽きるまで。

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