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フィリピンの歓楽街で出会った女の子たち

 この1週間、「フィリピン」という国名を聞かない日はない。

 あるワイドショーで、容疑者たちが足しげく通っていたと思われるカラオケパブを取材していた。店で働く女の子たちが、ルフィが来たとか来ないとか、片言の日本語で答えていた。

 私は一気に引き戻された、19年前に。あのころの店内の匂いや雰囲気を覚えている。今、あの女の子たちはどうしているだろう。

 2003年、38歳のとき。夫がフィリピン支店へ赴任することになり帯同した。3年余り「住人」としてフィリピンを見た。

 そのとき、夫と一緒にカラオケパブへ何度か行ったことがある。

 当時も今もフィリピンでは「カラオケ」と呼ばれている。日本でいう「キャバクラ」のようなところだ。もちろんフィリピンでも女性は行かない店。

 夫は日本にいるときは、キャバクラやキャバレーには一切行ったことがない。断言できる。妻としてそう思い込もうとしている訳ではなくて、いわゆる女遊びが嫌い……、いや違う、女遊びをしたい気持ちはあるが、できない性格。敬虔なクリスチャンの両親に育てられたことが大きいと思う。

 そんな夫が、フィリピンに赴任して、カラオケデビューをした。前任者に無理やり連れて行かれたとか、なんとかかんとか……。帰ってきてこう言った。
「面白かったよ。今度一緒に行ってみる?」
 誘う夫も夫だが、私も二つ返事で乗った。

 そして数回行って、いろんなことを見たり聞いたりするうちに、

私は彼女たちが好きになった。


 カラオケで働く女の子たちと私の思い出話を書いてみようと思う。


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