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23時のわすれもの #50


1日の終わりの時間、布団の中でごろごろしたり、帰宅中の電車だったり、友人と飲み交わしていたり。


そんな各々が好きに過ごす時間、わたしの、そのときどきの気分でおすすめの日用品や食べ物などをご紹介しようと思います。




どこかで、誰かが、苦しまなければならないビジネスなんてもういらない


力強い拳が印象的なこのロゴは THE INOUE BROTHERS...のもの。

井上聡さんと清史さんの兄弟が作ったブランドです。

井上聡さんと清史さん


ブランドが始まったきっかけは2人の幼馴染が「お前たちにぴったりのビジネスがある」と連れてってくれた南米のボリビアでした。そこには貧しくも力強く生きる人たちの姿があり、「彼らとともにビジネスをやりたい」と2人は自分の仕事をしながら、2足のわらじでブランドを作ったのです。


デンマークで生まれ育った彼らは、常に日本人ということで差別や偏見を受けてきました。幼少期からそれらと闘ってきた井上兄弟は「否定も肯定も両方あっていい。反対意見にも耳を傾ける姿勢が大切」だと感じ、また、それが本来あるべき社会の姿だと思っていました。

だからこそ彼らは徹底的にこだわって洋服づくりをします。生産過程で環境に負荷を与えない、アンデスの人たちの力になる、世界一のアルパカの洋服を作ること。「エシカル」という上辺だけのことばには振り回されない(もちろん、エシカルブランドもすてきなものはたくさんあります)、可哀想だから買う、というスタイルからの脱却。

気持ちよく肌触りの良いアンデスのアルパカをみんなに知ってほしい。彼らの戦いはここから始まりました。



・・・これは「僕たちはファッションの力で世界を変える」という本の冒頭の話です。今でこそエシカルファッションという考えが広まっていますが、まだまだわたしたちは世界を知らないんだな、とこれを読んで痛感しました。



すこし話が変わりますが、2013年に衣料品制作をしている工場を襲った事件、覚えていますか?

バングラデシュの首都ダッカで起きた、8階建ての商業ビル「ラナプラザ」の崩壊事件です。


バングラデシュは1日2ドル未満で暮らす貧困層が国民の75%を超えるアジア最貧国。ここでも低賃金での労働を強いられていました。事件の起こる前日、従業員が工場の壁に亀裂が走っていることに気づき上に訴えますが、聞き入れてもらえなかったといいます。そして翌日に事件は起こってしまいました。本当に、胸を痛める悲惨な事件でした。そしてこれは、ファストファッションを着ているわたしたちが目を背けてはいけない事件でもあります。


自分たちが着ている洋服の裏側には、どれだけの人たちが関わっているのでしょう。ファストファッションの裏側を調べ始めたらきりがないし、罪悪感にかられてファッションを楽しめなくなってしまう人もいると思います。

ファストファッションを買うことが悪だとは思わないけれど、それでもこうした現実をわたしたちは知っておくべきだし、その上で選択をしていきたいと思います。きれいごとだと言われても。自分が選択できる”余白”があるかぎり、これは義務なのだと思っています。


だからこそ、THE INOUE BROTHERS...のようなブランドにとても惹かれます。自分の人生をかけて本気で取り組んでいる2人の姿はかっこいい。そして洋服も同じくらい、かっこいいんです。

これは2011年のコレクション。出典:THE INOUE BROTHERS... FBページ


アンデスの地の写真はこちらにまとまっています☟



ファッションは自己実現の手段だと思っています。だから、自分がどう生きたいのか、何を選びたいのかを考えたとき、やはりわたしは冒頭のことばのように誰も苦しむことのない洋服を選びたい。それに、今も井上兄弟が挑戦しているならば、彼らの洋服を着たい。

とはいえ、やはり高いです。けれどきっと一生もの。


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