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食事マナーのコードスイッチ・常識はひとつじゃない

当然のことながら、土地や文化が変われば食事のマナーも変わる。

個人的にはこれを強く感じたのは、西洋よりも中華や韓国料理に対してかもしれません。

お箸でご飯を食べるという点では似ている文化だからこそ、細かい違いに逆にビックリしたり困惑した気がします。

初めてうおっ!これは!と思ったのは大学の卒業旅行で台湾に行った時。夏の短期留学で知り合った台湾人のクラスメートを頼って、ひとりフラフラと台湾に行きました。

台北から台中、名前も忘れた田舎まで、彼女の親戚がいるところを転々とまわるという、まあ今考えると中国語もわからないのにかなり図々しいことをしたもんだ・・。

行く先々で家族の食事に混ぜてもらいましたが、そこで衝撃だったのは、大皿のおかずを食卓にドン!といくつか並べ、取り箸もなく自分の箸をつっこんでつつくこと。

そして取り皿なんてものもなくて、取ったおかずはご飯の上に直接載っけてかっこむこと。

食べながらのゲップもご自由に。

ギョギョ!まず日本だと行儀が悪いと怒られることが普通に行われている・・・・!

でもまあ、ここではこういうもんなんだろう、と理解して、澄ました顔して一緒におかずをつつき、ご飯と一緒に掻き込み、ゲップも遠慮なくさせていただきました。

そして台湾ってご飯が滅茶苦茶美味しいんですよね。どうもお客にはおもてなしとして結構多めにご飯を出すようなのに、それを知らずに気がつけば結構普通にそれを全部平らげていて、親戚中に「まりちゃんはよく食べる子だ」と広まってしまった・・シマッタ

私の義理家族はチャイニーズ・アメリカン。このため家族飯というと必ず中華料理屋に行くことになります。そこで旦那や義理のきょうだいを見ていると、ナイフとフォークで食べている時と比べて、中華となるとマナーのコードスイッチが起こるのが見ていて面白い。

ちょっと猫背になりながら、おかずをご飯の上に載せて食べる姿は、日本ではお行儀悪い姿でも、なぜか中華のコンテクストで見ていると、ああみんなしっかり食べてるな、生きてるな・・っていう感じもして、好ましくさえ思ってしまうのが不思議です。

(ちなみに義理両親はどっちかというと潔癖症なので、料理に取り箸、取りスプーンは必須。またやっぱりなんだかんだいってアメリカ人なので、みんなさすがにゲップはしません)

中華のお店ではご飯もこんな感じで出てきますよ。どーん!

こんもり山盛り飯!多分日本だったらギョッとしても、中華でこうじゃないと逆にえっ?っていうコードスイッチが起こるのもまた面白い。

っていうかこれはお椀によそったご飯をもう一つパカって上にかぶせて盛ってますね。これで軽く二杯分ってところ・・食べ過ぎ注意!

一方韓国料理では、スープやご飯のお椀や食器を手に持って食べるとお行儀が悪いことになってしまうそう。・・ってこれって日本と結構真逆のルールですよね。

子供に普段からお箸の使い方やご飯の食べ方を色々言っているのに、韓国料理の時にお椀を手に持とうとしている子供にあっ!それやっちゃだめ!と逆に咎めてしまい、当然ながらとても混乱されました(苦笑)。

面白いことに、和食では当然の、お椀を持ってご飯を食べるという姿が、韓国料理でやると見苦しく見えてくるのも不思議(お椀が金属製のことも多いから実際持とうとしても熱いんですが)。

マナーにも色々なスタンダードがあって、もちろん全部フォローするのは大変だし無理かもしれませんが、それを知ったからには、何で?信じられん!と思ってもキリがないし、ま、そういうもんなんだなあとコードスイッチするしかありません。

6歳になる子供には、文化によってマナーが少し違うんだよ、ということを説明しつつ、多文化環境の中で子供を育てるって、こういう事柄であっても、常識は必ずしもひとつではないということを、ハッキリ教えないといけないのだなぁ、と面白く思った一件でありました。

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