クラウドソーシング・クライシス!(1)
バイトをクビになって、ネットを検索していたら、「クラウドソーシング」っていうのがあるのを知った。
無料で登録できて、仕事を請け負えば、稼げるらしい。
体験談を調べてみたら、万単位で稼げている人たちがいた。
何の仕事で稼いでいるかっていうと、Web記事を書いているらしい。
「へー、素人でも記事が書けるんだ。小学校の作文で誉められたことがあったし、俺でもできるかも」
俺はクラウドソーシングに登録した。
これはネットでクラウドソーシングっていうのを知って、クラウドソーシング内で奮戦した俺の物語。興味ある人は読んでみて。
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どうやって仕事すればいいんだろうと、ぼんやりと案件を眺めていたら、仕事を頼みたいっていう人からメッセージが来た。
1,000文字×20件。
リライトして欲しいっていう依頼だった。報酬は3,000円。
リライトっていうのは、つまり元の文章を違う雰囲気にして書きなおせばいいってことらしい。
「試しに1記事書いてみてくれませんか?」
という話になったので、やってみて送ると、
「いいですね! ぜひ、お願いしたいです!」
と返事が来て、早速仕事を受けることに。
俺、いきなりWebライターになっちゃった!?
初仕事が嬉しかったから、俺はすごい勢いで仕事を進めた。
2日でやり終えて納品すると、仕事をくれたクライアント様から、
「早かったですねー。チェックして連絡します!」
早々に、メッセージが来た。
その時になって初めて、リライトについて調べてみたら、どうやら俺がやったのと違う気がした。
俺は、元の文章の順番を変えたり、表現を少し変えたりしただけ。それだとリライトにはならないんでは?
しばらくして、納品した記事の報酬が払われた。
評価は無し。
どうやら、クライアント様も俺の仕事はあまり気に入らなかったらしい。
悪い評価がつかなかっただけでも、やさしいクライアント様で良かったと思おう。
「Webライターになりました」
Twitterでつぶやいたら、つながってた学生時代のバイト仲間からDMが来た。
「Webライターになったって本当か? 俺、雇う側やってるんだけど、会って話さない?」
っていうから、近くの居酒屋で一杯飲むことに。
面倒なんで、シナリオ風に書く。
友人「Webライター始めたんだって? どこで?」
俺「クラウドソーシング」
友人(驚いて)「マジか! 俺、そこでライター雇ってるぜ」
俺「マジで」
友人「3~4年前だったかなあ。会社員やりながら、ブログを始めたんだ」
俺「へー」
友人「ブロガーとかアフィリエイターとかって知ってるか? それで成功してるって人の話を聞いてさ」
俺「自己啓発セミナー?」
友人(憤慨した様子)「違うよ! 1対1で会ったんだけど、その人、ブログ書いて、そこで商品紹介して、紹介料もらって、すっげー稼いでたんだ」
俺「へー」
友人「その人に、俺みたく成功したかったらまず10個ブログを作れって言われてさ」
俺「10つの記事?」
友人「違う、ブログを10種類」
俺「ひょー、管理できねー。そんなに書くこともないじゃん」
友人「ところがさ、そこから始めてガツガツやってたら、俺も稼げるようになったんだよね。つまり、ブログの閲覧数も増えて、広告収入が入るわ、紹介した商品が売れて紹介料が入るわで」
俺「そんな世界があるのか……」
友人「それで、今じゃ自分で記事を書ききれないから、クラウドソーシングで安く雇ったライターに書かせてるってわけ!」
友人は、どや顔で言い放った後、ジョッキのビールを飲みほした。
友人「で、おまえ、どんな記事書いてんの?」
俺「また1つの仕事しかやってなくて。リライト案件」
友人「リライトかー。奥深いよな」
俺「そうなの?」
友人「そうだよ。結局、元記事とのコピー率を低くしたかったら、新しい記事書くようなつもりにならないといけないっていう」
俺「そうなの?」
友人「そうだよ! なのに、低レベルのライターは、文字の順番変えて来るだけとかで納品してくるから参るよ」
俺、無言。
友人「ま、新人なら、がんばって。任せたい仕事があったら、連絡するから」
友人は、明るく言うと俺の分の代金も払ってくれた。羽振りがいいらしい。
まだ実績もないのに、俺のところには仕事の依頼が次々とやって来た。
そして俺は、いわゆる「地雷クライアント」に遭遇してしまうことになったのだ。
たぶん、続く
※実話じゃないです。フィクションです。
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