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【手取りを最大化するには】税金&社会保険料の負担を減らし手取り額を最大化〜役員報酬〜

前回の記事で、役員報酬の金額は
モチベーションと会社面に大きく反映する
ということをお話しました。

今回は、ではいくらが1番最大化するのかについて
解説していきます。

結論から言うと、下記画像になります。

役員報酬での節税とは
「法人にいくら残すか」「個人にいくら移すか」という所得分散の問題

個人に移す(役員報酬として支払う)と、
所得税・住民税・社会保険料がかかります。

法人に残す(利益を内部留保する)と、
法人税がかかります。

中小企業がやりがちなミスとして
法人税を払いたくないから、役員報酬を多くして赤字にしてしまう」というものがあります。

確かに赤字にすれば、
法人側の税負担はゼロになります。

しかし役員報酬が増えれば、
個人側での税負担は増えます


すると、トータルでの税負担は
かえって増えてしまうことが多いです。

これは、税率(個人の最高税率は55%+社保、法人の税率約34%)の違いが、主な原因だと考えてください。

かといって「役員報酬をゼロにする=全て会社に利益」にすればいいというものでもありません(そもそも生活できなくなります)

トータルの税負担を減らしたいのであれば、
それぞれにバランスを考えて配分する必要があります。

役員報酬での節税とは、
個人側の税負担と法人側の税負担のバランスを取り、税負担の最小化=手元に残るお金の最大化を狙うことです。

役員報酬・利益・税金(社会保険料)の関係性

役員報酬控除前の利益のうち、
役員報酬として個人に移した分には、個人側に所得税・住民税がかかります。

逆に利益として会社に残した分には、
法人税がかかります。

なお、社会保険料は
個人と法人で半分ずつ負担します。

役員報酬と利益は表裏一体の関係です。

役員報酬を増やせば利益が減り、役員報酬を減らせば利益が増えます。

つまり、片方の税負担を減らせば、もう片方の税負担が増えてしまうのです。

基本的には「役員報酬は低め=ある程度会社に残した方が、トータルでの税負担は減る(お金が残る)」ことが多いです。

役員報酬をゼロにした場合の税負担

では、2,000万円の分配割合によって、
税負担がどう変化するか見ていきましょう。

役員報酬がゼロですから、
当然個人の税負担はありません。

逆に、法人の税負担が最大化されます。
トータルでの税負担額は、約640万円です。

全額役員報酬にして会社を赤字にした場合の税負担

では、逆に全額役員報酬として、会社を赤字にするとどうなるでしょうか。
※年間役員報酬は2,000万円とします。

法人の税負担は少なくなりますが(社保の法人負担分はある)、個人の税負担が大きくなります。トータルので税負担は、約770万円です。

最も税負担が軽くなる金額は、約500万円

「税負担が一番少なくなる金額」は、

今回の場合には、役員報酬が
年間500万円のときに、トータルの税負担が一番少なくなります。

手残り額を増やすために考えておきたいこと

上記での控除は、基礎控除のみでした。
これに加えて、手取り額を増やすためには、
適切な節税方法を知る必要があります。

退職金

退職金は、老後の生活保障などの観点から、
給料と比べると税負担がとても軽くなっています。

たとえば勤続年数が20年なら、
800万円までは課税されません。

30年であれば、1,500万円までは課税されません(「退職所得控除」といいます)。

なので、会社にある程度残しておくことは、
「役員報酬を受け取ったとき」だけではなく「将来退職金を受け取るとき」まで考えた戦略であるとも言えます。

最低限、退職金の原資を積み立てていくくらいの
役員報酬設定をしておきたいものです。

小規模企業共済&確定拠出年金

個人事業主や中小企業の社長向けの
退職金積立制度です。

法人ではなく個人で積み立てることになるのですが、積み立てた金額(掛け金)の全額を所得控除にできます。

例えば課税所得が1,000万円の社長が、
年84万円(月7万円)積み立てると、367,000円税金が安くなるのです(所得税と住民税の合計)。

個人事業主や中小企業の社長にはオススメの制度です。僕自身加入していますし、クライアントにも必ずご案内しています。

厚生年金

「将来受け取れる厚生年金を増やすため、
ある程度社会保険料を払っておく」という考え方もあります。

健康保険料に関しては、
たくさん払ったからと言って病院でのサービスが変わるわけではありませんが、

厚生年金に関しては、
払っただけの見返りがあります。

株価の評価

事業承継を考えているのであれば、
会社の株価を考えることもあるでしょう。

役員報酬を減らせば会社の利益が増えますので、
その分会社の株価も高くなります。

つまり、株を後継者に贈与などで引き渡すときに、税金が高くなるということです。

まとめ

手取り額を増やすためには、バランスの良い
給与額が必要ということが理解できたと思います。

これらから、さらに税金を減らすことのできる
控除の種類を正しく、たくさん知ることで、
いわゆるうまい経営ができるでしょう。

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