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増資とは?株価にはどう影響する?

こんにちは。

今回は、増資について
お話していきます。

増資とは

増資とは、企業が新規に株を発行して、お金を集めることです。
まずは増資の本質を理解しておきましょう。

企業はお金を集めて設備などに投じ、社会に役立つサービスを人々に提供しています。
その対価として売上を得ます。その売上から、サービスを提供するのに必要な人件費などの費用をまかないます。
そのサイクルが繰り返されているのです。
企業はサービスの質を高め、より多くの人の生活を豊かにする使命があります。サービスの質を高めるには、研究開発や設備投資が不可欠です。そのために、お金を集めなければなりません。

資金調達には大きく2つの種類がある

①デットファイナンス  :債券の発行、金融機関
             からの借り入れなど
②エクイティファイナンス:株式の発行

この2つの大きな違いは、
集めたお金を償還(返却)する必要があるかないかです。

デットファイナンスは、決められた償還期間までに“借りたお金”と“金利”のすべてを支払います。

一方、エクイティファイナンスは、集めたお金を返す必要がなく、必要に応じて配当金を払います。増資は、このエクイティファイナンスに含まれます。

増資の種類を知る。

増資には3つの種類があります。

①公募増資
②第三者割当増資
③株主割当増資

1つ目の『公募増資』は、新しく株主を募ることを指します。不特定多数の投資家に対して呼びかけて、買い手を探します。

2つ目の『第三者割当増資』は、特定の企業に株を買ってもらうことです。ベンチャー企業が、ベンチャーキャピタルからお金を集める際に、よく使われる手法です。他に、取引先や役員などに株を発行することもあります。

3つ目の『株主割当増資』は、既存の株主に買ってもらうことを指します。このパターンだと、株主構成は変わらないことになります。

増資をすると、株価にどう影響する?

冒頭で説明したとおり、集めたお金を償還(返却)する必要がないという、企業にとってはメリットの高い資金調達手段です。
株主にとっても、投資した企業のサービスが拡大して売上が上がり、配当が増えるのだからメリットが高いように思えます。

しかし、そう簡単な話ではありません。増資をすると、株式が“希薄化”して株価が下がりやすいからです。

希薄化とは、市場に出回る株式の数が増えることです。「PER(株価収益率)」という、割安度を測る指標を使って、A社の例を見ていきます。
PERとは?
株価収益率のこと。一株あたり、どれだけの利益を得ることができるか表しています。株価の割安性を測ることができ、数値が低ければ低いほど、株価が割安であるといえます。PER=時価総額÷純利益で計算できます。

A社は、発行済み株式数が1,000万株、
株価が1,000円です。純利益は10億円でした。
すると、

PER=(1,000万株×1,000円)÷10億円=10倍となります。

PERは業種にもよりますが、12~15倍くらいが適正値といわれています。
A社の株は、比較的割安といえそうです。
A社は海外展開をするためのお金が必要になり、公募増資をおこないました。
1,000万株を新しく発行し、市場から100億円を集めました。

PERに注目すると、
増資後のPERが、20倍に変化しています。
増資によりA社のPERは、適正値といわれる15倍を超えて、割高の水準になりました。
すなわち、株式の価値が下がったのです。
多くの投資家は、増資が株式の価値が下げることを知っていますので、増資前に売ろうとします。
そのため、株価は下がりやすいのです。

仮に、投資家が「増資前のPER(10倍)が適正値」だと考えており、それにあわせて株価が下がったと仮定しましょう。

株価は半額になります。
これが希薄化による、株式価値の低下です。

株価が下がるとどのような影響があるのか(会社目線)

資金調達が困難に

株価が下落すると、
2つの面から会社の資金調達が困難になります。

1つは、実際の株の価格変動です。
具体的な数字に当てはめて見てみると、株価が下落することにより資金調達が困難になることがわかります。

例えば、以前は1000円だった株が900円になってしまった場合、その企業は以前なら100万株で10億円を調達することができましたが、9億円しか調達できなくなります。1億円もの差が生じるのです。

もうひとつは、株価が下落すると、銀行が業績不振だと見て、お金を貸し渋るようになります。

このように、株価が下がると資金調達が以前よりも難しくなってきます。

人材確保も困難に

株価の下落は人材確保にも影響します。資金調達への影響は会社経営に直結するため、経営が不安定になることで、従業員の定着率が下がり、優秀な人材の採用も難しくなるでしょう。

買収の危機に

株価の下落は、
会社自体の価格が下がっていることを意味します。
会社の価値が安くなると、同じ分野で新規開拓を試みる会社やサービスの拡張を試みる会社などによって、買収されてしまう可能性が高まってきます。

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