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hidemaro2005
ダイエット冷蔵庫
冷蔵庫の扉には文字が書かれていた。
『この冷蔵庫の中のロカボな食品を1ヶ月間食べ続けたら、スリムな体型と5億円を差し上げます。もしも、ダイエットに挫けたら、あなたの知らない太った人が更に太ります』
"ダイエット冷蔵庫"なんて変なネーミングに「おもろそう」とついネット通販でポチしてしまった。
別に途中で諦めても、どうせ自分の知らないデブが太るだけで、あたしには関係ないし。
順調にダイエット生活は進んでいった。上の段に並べられた美味しそうなスイーツが目に入ったが、「見知らぬデブにも痩せる権利はあるし」と理性が働いた。
ダイエットもあと3日を残すところとなり、猛烈に脳が高カロリーを求めてきた。過度なストレスが脳を苦しめる。
思わずスイーツに手が伸びた。
そのとき、冷蔵庫の扉が急に閉まり、文字が浮かび上がってきた。
「冷蔵庫は今から倫理の時間です。あなたが食べるかどうかではなく、あなたの選択は、人間として正しいと思いますか?」
・・・・・・
悩んだ。悩んでいるうちにダイエット期間の1ヶ月間が終わり、悩みすぎて激やせ。
見事にダイエットに成功した。
『ダイエット成功、おめでとうございます。約束の報償金5億円の件ですが、あなたには2つの選択肢があります。1つは受けとる。もう1つは、あなたがダイエットに挫折した代償として太る予定だった方に譲る、というものです』
悩む必要はなかった。「お譲りします!」と晴れやかに答えた。
これは「運命のボタン」からひらめいて書いたものです。