いつでも心に倫理観
基本、性善説のあたし。もし大規模な災害に遭遇して、避難所暮らしになって、知らないおっちゃんが隣で寝ていても、彼が悪人だと思いません。
いっときの"運命共同体"とでもいうのかな、一緒にこの危機を乗りきる同志です。
でも、避難所生活を経験した人への聞き取り調査をすると、盗撮されたり、強姦未遂やら強姦やら、信じられないことが起きていると言うんです。
看護師として働いていたとき、点滴や採血をしていると、怪しからん患者さんがサワサワ腕を撫でてくることがありました。動けないことを分かっていて触る、確信犯ですね。
それに、白衣の天使の看護師は奉仕するのが仕事であって、少しくらい触っても怒ったりしないと勘違いしている人もいました。
でも、恐い看護師も混ざっているんですよ。たとえば、あたし。
仕事中、サワサワされたり、うしろから抱きつかれたことがあります。
泣き寝入りしたかって?まさか
不届き者の腕をねじ上げて、管理者につき出しましたよ。「この看護師さんは恐いき」と噂が立ちましたが、それまでサワサワされていた同僚の看護師も、声をあげていいことに気づき、職場環境は変わっていきました。
でもねぇ、病院と避難所は違うでしょうね。
いや、変わらないか。昨今、いやいや、今も昔も、病院とか福祉、介護施設で繰り返されている虐待や死傷事件、これが現実。
ヒエラルキーであるよりも横の繋がり、人を大切にした組織や社会が望ましいです。でも実際にはヒエラルキーは今も根強くあって、避難所にも、まるでブラックホールみたいに濃く、深くあるんです。恐いもんです。
災害が起きたばかりのとき、初動は、トップダウンの方が現場の安定にはいいでしょう。でも、早い段階で、みんなが災害の当事者として、横の繋がりを大切にした避難所運営がなされるといいな。
そんなことを思いながら、講師の話しに耳を傾けました。
それにしても、まさか強姦とか強姦未遂事件まで起きていたとは。避難所にも交番が設置されたら、少しは秩序が保たれて、安心して過ごせるのかな。いや、法で支配しなくても個々人の倫理観があるハズです。
でも、100年に1度の災害に見舞われたら、倫理観なんて吹き飛んじゃうのかなぁ。
もしも、あたしが避難所暮らしをするなら、とりあえず、危なそうなトイレは男女別々にして、離してもらおう。
男女のトイレが近いと、トイレに並んでいるのか、善からぬことを考えて、タイミングを見ているのか分かりません。
でも、性同一性障害の人もいるし、いろんな人が共同生活するので、トイレ番として前で待機していようかな。いや、そんなあたしが盗撮しないとも限らない。やはり、性善説で乗りきるしかないのかなぁ。
集団行動、集団生活がどうにも苦手なので、避難所の個人事業主となって、できることをやるしかありません。
『よろず屋』を開いて、お悩み相談するのもいいな。リンパドレナージュの資格も持っているし、『無料のマッサージ屋』を開くのもありかしら。ヘタウマな『似顔絵屋』とかもおもしろそう。
話し好きの自分の口にチャックして、相手の話をただ聴く、『聴き屋』とかも繁盛しそうだなぁ。
でも、避難所にあたしみたいなマイペースな人がいたら、避難所はカオスだなぁ。