私のおすすめ鬱ソング

最近、音楽をまた聴けるようになった。
音楽は元々好きなんだが、離婚問題が生じた時から煩わしく感じるようになって、しばらくほぼ何も聴いていなかった。メンタルが回復してきたらしい。

自分の中には
・喝を入れる時→アイドル系でテンションを上げる
・出勤で無理やり喝を入れる時→紅蓮の弓矢(ピンポイントw)
・病んでる時→Cocco

と、心のプレイリストがあったんだが、本当に病んだ時は聴くことすらできないらしい。
それで思い出したのだが、情緒が安定している時でも聴けない曲というのがいくつかあった。聴いていると、ハリーポッターのディメンターに幸せな記憶を吸い取られるように、エネルギーを吸い取られていく。

誤解を招きそうだが、私はその曲が嫌いなのではなく、むしろ好きだ。好きなんだけど、聴くとテンションが地の底まで落ちてしまう。

それでは、私を絶望に突き落とす名曲たちについて語りたい。

①fish/back number

失恋したら、失恋ソングを聴きたくなる。アーティストが書いた失恋の心情に共感し、「そうなんです、そうなんです」と相槌をうつ。

でもこの曲では相槌を打つ気力すら消失する。メロディの気怠さと、どことなく復縁は絶対になさそうな雰囲気、漂う瀕死感。
最後に「あなたがここに帰って来ますように」という歌詞があるんだが、言った後にバタッと倒れたんじゃないかと思ってしまうような絶望感がある。恋をしていなくてもこの曲を聴けば失恋できる気がする。

②The hall/King Gnu

これまたメロディが絶望的なんだが、PV込みになると一層鬱になる。時々、目だけで心の闇を表現する俳優さんがいるのだけど(眞栄田郷敦とか)、清水尋也の悲壮感もすごい。一気に闇堕ちする。

歌詞自体には傷ついている誰かを思いやる優しさがあるんだが、「僕が(あなたの)傷口になるよ」と言っている。「僕が包帯になる」とか「そばにいるよ」どころではない。ダイレクトに傷口になると他人行儀さは消え去り、本当に自分の中に「おじゃましま〜す」と入り込んできそうな勢いを感じる。

そんな風に言ってくれる人がいたら救われるだろうなと思う一方で、自分の痛みを人に知られる作業というのは苦しい。人に痛み分けする罪悪感や恥ずかしさが押し寄せてくる。この曲を聴くと、その感情が再現され押し潰されそうになる。

③桜流し/宇多田ヒカル

宇多田ヒカルとエヴァの相性の良さは異様だ。
映画館で「Beautiful World」を聴いた時もそのシンクロ率が衝撃だったが、「桜流し」ではいよいよ映画と現実の境界線が分からなくなった。

「エヴァQ」は主人公の碇シンジ君が絶望するところで終わるのだが(彼、基本ずっと絶望してるけど)、「桜流し」が流れると更に虚無感が強まった。
後で知って驚いたんだが、宇多田ヒカルはエヴァQの主題歌を依頼された時に脚本をじっくり読まなかったという。

このドラマと主題歌は切り離せない!という作品の中には、このように歌い手が作品についてあまり知らない状態で書き下ろしたというケースが多々ある。
それこそアニメ版エヴァの「残酷な天使のテーゼ」もそうだし、ドラマ「家なき子」の「空と君との間に」なんかは中島みゆきが企画を聞いた段階では「主人公の安達祐実が家をなくし、犬と共に転々とする」ぐらいしか決まっていなくて、犬目線で書いたというエピソードもある。

たしかに、本編の内容をそのまま歌にすると作品の要約的になるのに対して、歌手が別の視点で書いた歌には、作品と視聴者の間の溝を埋めるような働きがあるように感じる。
だから「桜流し」は、エヴァの中で起こっている悲劇や絶望的な状況が自分にスッと流れてこんできてしまうのだ。

ちなみに、音楽を聴けないメンタルでも唯一耳に入れて痛くなかったのはスピッツである。彼らの音楽には薬草でも入っているのだろうか。この話は、また今度。

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