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みんなで行動指針「WAY」を作りました

マーガレットこどもクリニックの院長の田中です。私たちはクリニック・病児保育室・事務スタッフみんなで意見を出し合い、自分たちの行動指針(WAY)を作りました。

今日はWAYができるまでの道のり、そこに至る私の失敗について記していきます。

まずは私たちが作ったWAYを紹介致します。

私たちの9つのWAY

① 子どもの安全を一番に考えます。
② 子どもが「どうしたい」かを大事にして行動します。
③ 親にも寄り添い一緒に考えます。
④ 「価値観はみんな違う」を前提に相手が見ている景色を想像します。
⑤ 小さなことでも率直に伝え合います。提案されたらトライします。
⑥ チーム、役割を超えて協力します。
⑦ 「わからない」と勇気を持って発信し、お互いに学び続けます。
⑧ 失敗からの学びは宝物。みんなで分かち合います。
⑨ 自身の心、身体、ゆとりの時間を大事にします。


WAYが必要だと感じたわけ

私がWAYの必要性に気がついたのは、2017年に開業をして1年にも満たないころでした。私たちは『親子の「つらい」に共にたちむかう』クリニック・病児保育室としてオープンし、この志に賛同して、素晴らしいオープニングメンバーが集まりました。

それぞれの性別も、年齢も、これまでの背景も職種も違うメンバーで、みんな「親子の最善」を考えてくれる人たちでした。

「もうこれで大丈夫」

時間に追われ、事務長とともに睡眠時間も体力も削ってようやく辿り着いたオープンでしたが、メンバーが揃ったときにはほんとに安堵したものです。

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「この人たちにまかせておけばもう大丈夫」

そう、思って、よく言えば任せたこと、悪く言えば放任して成り行きにまかせてしまったことが、マネージメント経験のない私の失敗でした。私は毎日診察をするとともに、全く整っていなかったクリニックのフローを整えることに注力をしていました。そうした目の前のことに追われるあまり、スタッフのフォロー、チームづくりの大事さに気がつくことができてませんでした。

病児保育室は開業からロケットスタートで連日キャンセル待ちが発生する状況、クリニックもスタートから数ヶ月で患者数が伸びてきました。


結果、どうなったか?


メンバーから悲鳴が聞こえるようになってきました。うちのメンバーはみな控え目で直接批判を口にすることは少なかったのですが、当時の彼らの思いを勝手に想像すると

「こどもをたくさん預かる大変さをわかってくれない」

「私たちが目指す保育が分からない。何を大事にするのか示してほしい」

「コロコロ仕組みが変わってついていけない」

「失敗をみんなで話されると、責められているように感じる」

などなど。きっともっと色々あったと思います。

スタッフ同士のコミニケーション齟齬も出てくるようになりました。相互理解のための時間が十分なかったので、職業背景も価値観も異なるメンバー同士が、お互いを理解できなくて苦しくなることがありました。

小さな掛け違いを小さいうちに対処することが私にできませんでした。

不協和音が聞こえて、ようやく、私はチームマネージメントの重要性、方向性を指し示すことの重要性に気が付きました。気がつくのが遅すぎますね。

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そこから、私たちは1on1の導入やチームミーティングの仕組みを少しずつ、少しずつ整え、お互いを理解する努力を始めました。

それとともに、働いているみんなが自律的に動けるようになるために、行動指針「WAY」が欲しいと切に思うようになりました。


まずは自分でWAYを考えてみた

そこでまず、私と事務長は自分たちでWAYを考えてみました。
この自作のWAY案を叩き台に議論をと、みんなに伝えましたが、みんなの反応は今ひとつ。自然とWAYの議論は消えていきました。

当時のものを今見返すと、今回のWAYと重なる部分もありました。でも、みんなには響かなかった。今考えると当たり前です。
上司から勝手に決められた行動指針では、心を動かされない。その証拠に今回聞いてみたところ、この自作WAYがあったことを覚えている創業メンバーはいませんでした。

そうして、WAYが欲しいなぁと思いつつも、忙しさのなか月日は流れ、人も入れ替わって行きました。

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新型コロナの襲来、再びWAYづくりへ

そして、やってきたのが新型コロナウイルス。
患者数は減り、突然、私たちには時間だけが与えられました。

「ピンチはチャンス!」そう自分に言い聞かせて、今だからできることに取り組むことにしました。実際はできることを探してあがいていてました。その一つがWAYの作成でした。

ワークショップデザイナーである井上真梨子さんのお力をお借りして、まずはチーム作りから始めました。

「各人が自分の特性を知ること」「理想の職場をみんなで思い描いて話し合うこと」「リーダー・チームの期待役割について話しあうこと」など、半年以上にわたってメンバー全員で話しあいを行いました。

そして、チームがよりよく機能するようになった2021年1月

「私たちのここが好き!・こうしたらもっとよくなる」「私たちのベストシナリオ・ワーストシナリオ」「ベストシナリオを作るためには ワーストシナリオを避けるためには」

について議論するワークショプを行いました。

ワーストシナリオでは「お互いがお互いの悪口を言い合って雰囲気が悪くなる」「大きな事故がおきて、知れ渡り誰も来なくなる」など、ちょっと踏みはずすとすぐに起きそうなことがたくさん出てきて、ぞっとしました。

このワークショップでの話しあいを通じて、自分たちが大事にする価値観、よりよい未来のためにやるべきことが言葉になって見えてくるようになりました。

そして、WAYはよりよい未来を作るための方位磁石のような役割であることに気がつきました。

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WAY作成チームを編成。この議論で出たキーワードをもとに、作成チームがさらに議論を重ねてWAYの卵を生み出しました。

最後の最後はひと文字ひと文字にこだわり、全員でまた議論を行いWAYに魂を入れ込みました。この議論の内容はまた次回に。


WAYができて

こうして、2021年4月1日、ようやく9つのWAYが完成しました。みんなで話しあいを重ねて、みんなの思いがこもったWAYが完成しました。必要を感じてからすでに2年半以上の歳月が流れていました。

WAYができて、何かが大きくすぐに変わるわけではありません。新年度スタートの病児保育室の混雑とクリニックの混雑が重なれば、みな自分の現場を守るために精一杯になります。

でも、以前と大きく違うこととして、それぞれの思いや気づきを口に出すことが増えたことです。WAYを作る過程で、繰り返し、話し合いをしてきたことの一番の成果かもしれません。

私たちは毎朝、朝礼を行なっています。その朝礼で当番が9つのWAYの中から自分の好きなWAYや、今日特に気にしたいWAYをその理由とともに話しています。

こうしてWAYとともに、メンバーの思いを耳にすることで相手の視点への気づきがあり、自然とお互いへの尊敬の念が生まれます。自分もよりよい仕事をしようと思うことができます。

また、

「子どもの安全を一番に考えます。」
「子どもの「どうしたい」を大事にします」
「親にも寄り添います」


など、あたりまえではあるのだけど、このあたりまえのことを言葉に出すことにより、忙しいときも大変なときも忘れずに意識することができるようになりました。

私たちはまだ道なかばで、これからも迷ったり、つまづいたりするでしょう。そんなときには、WAYを道しるべに、みんなで相談しながら親子のために進んで行きます。

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最後になりましたが、WAY作成にあたり道筋を作り、私たちに伴走してくださった井上真梨子さんに深く感謝します。

また、何もないところから一緒にクリニックと病児保育室を形づくり、道なき道を一緒に歩んでくれたかつてのチームメンバーたちに、ここで感謝を述べさせてください。

皆さんの力があって、たくさんの親子のサポートができ、そして、今ここにたどり着くことができています。本当にありがとうございました。


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