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日焼けしたいけど、しちゃダメですか?

日焼けを気にするようになったのはいつ頃からだろう。
小学生の時の夏休みのアルバムを見返すと、夏らしい小麦色に焼けたわたしが元気なピースサインをしている。家族でプールに遊びに行って、両親もいい色に焼けて、父親は真っ赤になって背中の皮がボロボロ剥けて、というのが毎年の光景だった。あの頃は日傘もまだそんなにさしてる人多くなかった気もする。

記憶を辿ってみると、中学2年生かな?子どもミュージカルへの出演が決まって、夏休みが本番だから5月くらいから稽古が始まった。そこで「日焼け対策をしてください」というような注意をされた。学校で普通にプールの授業もあるから、ラッシュガードを着る許可を得たり(今思うと何着たっていいはずだけど)、日焼け止めを毎日塗って、暑いのに長袖着て投稿して。部活でどんどん日焼けをしていく同級生を羨ましく思いながらも、「焼けちゃいけないんだから!」という謎の女優魂的な何かを燃やして生活していた(ような気がする)。ここでまず、「舞台に立つ人は日焼けをしてはいけない」という概念=「色が白い外見の方が美しい」を擦り込まれたと思う。

しかし、同時期にわたしはアメリカのアーティストにはまっていた。例えばディズニーチャンネルスターだったヴァネッサ・ハジェンズのエキゾチックな見た目に魅力を感じていたし、マイリー・サイラスが夏に日焼けをしてちょっとイメージチェンジするのもカッコよかった。それでなんとなく頭の片隅に「白い肌へのイメージは国によって違うのかな?」という疑問が浮かんできた。

高校3年生の春、体育祭の練習に励む毎日。夏に舞台の本番を控えていて、また「日焼け注意勧告」を出されていたからもちろん毎日外練の日は日焼け止めを塗って、いた、と、思う。(笑)がしかし5月の燃え盛る太陽はどんなUVカットもズカズカカットするわけで、結果しっかりいい色に焼けたわたしであった。ちなみにわたしの肌は真っ赤になって痛くなるタイプではなく、しっかり吸収してこんがり焼けるタイプだ。
体育祭が終わって久しぶりに稽古場へ行くと、あるスタッフに「うわぁ、ずいぶん焼けちゃったね〜!日焼け止め塗ってた?」というようなニュアンスのことを言われた。その作品でわたしの恋人役だった俳優がとても色白で、しかもその俳優が男役、わたしが女役だったため、稽古期間中ずっと「彼女の方が黒いw」「彼女の方が強いw」的なネタが定番になった。
その集団の中で肌の色が黒いほうとして恥ずかしい気持ちが湧いてきた。確かに日本では舞台に立っている人、テレビに出ている人、雑誌に載っている人で肌の色が暗めな人はマイノリティなのか…。元々は白いのに焼けるからダメなの?じゃあ元から色黒の人は元からダメなの?そんなわけなくない?

大学3年でNYへ留学した。ルームメイトの一人はラテン系ルーツでマロンっぽい茶色い肌をしていて、もう一人はアフリカンアメリカン系ルーツでより黒い肌をしていた。NYC、それはもう色んな人種の人たちが行き交っていて、もういちいちあの人焼けてるなとか、あの人色白だなとか考えたりしない。アメリカ留学で体重が増えることへの恐怖はあったが(これについてはまた別の機会に書くとしよう)肌が焼けることへの恐怖は全くなかった。そもそもみんな違うし、そこに優劣はないし、好きなように生きていいし、生きさせろ。飛躍しすぎ?(笑)

大学を卒業して屋外ツアーガイドの仕事をした。真夏の炎天下、元気いっぱい接客しながら観光地を歩き回る。このガイドの会社の人たちの肌の色が平均してEXIL◯って感じだったし、日焼けサロンに通って輝く肌を極めてる偉い人たちの元だったから、誰も肌の色どうこう言ってこない。となれば気にしない。多分小学校以来こんなに焼けたことはないのでは?くらい焼けた年だった。フツーにいい夏の思い出。

ただまぁこうして年を重ねていくと今後現れるであろうシミ・そばかすへの心配がね。広告、ドラッグストア、色んなところで「美白」という言葉よりも「シミ・そばかすを防ぐ」みたいな文言が目に入っていくるようになった。一応ここで言っておくと、「美白」は「白いのが美しい」という意味と捉えられてしまうからわたしは使わないようにしている。K-POPアイドルとか見てると「白っ!!」と突発的に口から出てしまうこともあるが、「白いからかわいい!」にしたくなくて脳内で少しずつ抑制できるようにがんばっている。10年以上「焼けないほうがいい」と社会に言われてきたので中々思考パターンを変えるのは時間がかかる、けど、変えたいので、やってる。
で、シミ・そばかすについて思うのが、これらが肌にあってはいけないのは、なぜ!?「病気になる」「寿命を縮める」とかいう理由なら、ちょっと怖いなぁと思うんだけど、きっと「肌が汚くなる」「美しくなくなる」みたいな理由だよ、ね。となると、「老いることは美しくない」になって、人間みんな老いていくのにツラすぎない?!こんな考え。ってなりますね。

わかる、わかるの、わたしもここのほくろ要らないなぁとか、ここの傷あとなかったらいいのになぁ、とか湿疹出て気持ち悪いなぁとか、あ、ほっぺたのシミがハート型だ、とか自分の肌に対して複雑な感情を抱いている。
でも、老いていく肌を愛おしむことができたらみんなハッピーになれるし、自分にとって美しい、好き、と思えるものを選択すればいいと思う。

あーだこーだまとまらない想いを書いてきたが、今夏はめちゃくちゃ海に行っていて、夏始めには「よーし、舞台の仕事もないし、何も気にせず海で遊ぶぞ〜!」って思っていた。んだがしかし!秋に舞台への出演が決まり、忘れかけていた「白い方が美しい」さんが頭の片隅から登場してしまった!急いでラッシュガードを買い、日焼け止めもサングラスも常備。そう、海に行くことは諦めないよ、わたし。(笑)憧れの海の近くライフ初めての夏、心の安定を与えてくれる海、健康な身体のベースになる太陽光、見捨てたくない!!!でもでも、際限まで焼けて舞台に立つ勇気はない。それはわたしが演じる役がきっとサーファーでも農家でもないだろうし、色黒いじりされるのは精神的にキツいから(そういうこと言う人はいないだろうけど)。
だから、適度に対策しつつ、適度に陽を浴びているのが現状。この塩梅で楽しく夏を過ごしきりたいなぁ。

今パソコンに向かっているわたしのデコルテは、あせも?日焼け?海水?何が理由かわからないが赤くなっていて痒い。焼けた肌は好きだけど痛いのも痒いのも嫌いなのできちんとお手入れはします。

素敵な夏を!
Be Hope!
Mare

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