カウンセリングルームで泣いたあと
これは私が泣いた話ではない。泣いたという確証もない。ただ、こんなことがあったという、ちょっと怪しげな話だ。
私がとある精神科のカウンセリングにかかったとき、それは狭い部屋だったのだけれど「こんにちは」といってその部屋に入った瞬間。
私は号泣したくなった。
それは私の感情ではないことが、自分でよくわかっていた。そういう話をしにきたのではなかったからだ。
泣きたいという衝動とともに、この空間にいた前の人が、号泣したのだということを直感した。エネルギーのようなものが残っていて、私は泣きたくなったのだ。
カウンセラーは入ってきたばかりの私がなぜか泣きたくなっているような、それに必死に耐えて困惑している表情を見て、換気のために窓を開けた。
不思議な話だけれども、あるんですよ。こんなことが。換気が必要だと思ったカウンセラーは、なかなかのものだと思う。そして号泣は伝わる。そんな不思議なお話でした。
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