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Vol.1 「最初の企画はパリの食堂本だったのに…」~ほぼ無名のライターが4年間で3冊の自著を出せた理由~

書籍出版の裏話。
2009年1月に出した1冊目の『サッカー馬鹿、海を渡る。~リーガエスパニョーラで働く日本人』(水曜社)から、スタートしましょう。

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11年以上前の話ですが(はやい!)、この本の出版の経緯はライター以外の方にも必ず参考になると思うので、ぜひご一読ください。

僕は2006年から2010年までバルセロナに住んでいたので、その時の話になります。メールの履歴をさかのぼると、2007年12月。その頃は今ほど出版不況でもなく(多分)、僕は「書籍を出して一発当てて、夢の印税生活!」に憧れる28歳の若造だった。

ちなみに当時、僕はバルセロナでサッカーのライターをしながら、同時にパリに住んでいる日本人のクリエイターやアーティストを取材する「最初はみんなゼロだった。Interview with Creators in Paris.」という連載もしていた。

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クライアントの意向で、今はもうすべての記事が削除されている。残念。

この連載についての詳細は省くけど、2006年の秋、僕があるクライアントに「なんのあてもないけど、バルセロナに住むことにしました」と報告に行ったら、社長が「食べていけるの? 仕事をあげるからなにか企画を出しなさい」と言ってくれて、始まったものだった。(今も超感謝している)

文字通り、僕の生活を支えてくれたこの連載は2007年からスタートして3年間続き、計50人の日本人クリエイター、アーティストに取材した。ちなみに、取材した50人のなかには今ブレイクしている人もいるんですよ、というレアな自慢話を差し込ませていいただき、恐縮です。

閑話休題。

この連載のためにちょこちょこパリに行っていた僕は、すっかりパリに魅了され、パリの本を書きたいと思っていた。連載の反響もけっこうあって、パリが好きな日本人ってかなりいるぞ、パリの本を出したら売れるかもしれない、という下心も存分にあった。

ただ、どうやって書籍を出したらいいのか知らなかったし、相談できる人もいなかったので、ググってみた。多分、「書籍 出版 企画 募集」とかそのあたりのキーワードで。そうして出てきたのが、「企画のたまご屋さん」。

詳細はホームページを見てほしいけど、「企画のたまご屋さんが提供する〈ほんたま〉は、商業出版で本を出したい方を応援するサービスです。毎朝、本の企画を出版社の1400人以上の編集者に届けています。」という文言を見て、「おお、これだ!」と思った。

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1400人もの編集者が見てるなら、誰かひとりぐらい興味を持ってくれる人がいるだろうと。表現は悪いけど、魚がたくさんいる海で、素人が釣りをする時のイメージで。

しかも!このサイトは企画書の書き方や校正案、見本原稿など応募に必要なことについて詳しく説明してあるので、その通りに書いてみた。いろいろ項目があって正直、「め、め、めんどくさい」と思ったけど、夢の印税生活のためならエンヤコラ! ぶっちゃけ、バルセロナ時代はそんなに忙しくなかったから(笑)、たっぷり時間をかけて企画書などを作った。

実は、その時に出した企画は『パリジャンが教えてくれたヒミツの食堂』。パリって外で食事をすると基本的に高くつけど、なかには地元の人しか知らないようなリーズナブルでおいしいお店もある。

地域ごとに10ユーロ以下でお腹いっぱい食べられるお店、10ユーロ代で満足できるお店など、金額で分けて、お店を紹介するという企画だった。(あれ、今でも出版できそうだな!笑)

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パリの猫ちゃん

そう。お気づきでしょうが、『サッカー馬鹿、海を渡る。~リーガエスパニョーラで働く日本人』とは1ミリもかすっていません笑 どうしてパリの食堂本がスペインサッカー本に変わったのか? そのあたりも記そう。

企画のたまご屋さんでは、送られてきたすべての企画を配信するわけではない。応募企画のなかから、出版社が興味を持ちそうだなと思ったものだけが配信される。

そこが最初の関門で、2007年12月10日、企画のたまご屋さんの出版プロデューサー・Gさんから「企画書を拝見し、ぜひ出版プロデューサーとして出版へのお手伝いをさせていただきたく、ご連絡申し上げた次第です。早速、本企画書をもって、全国の出版社へ告知させていただきたいと思います」と連絡をもらった。

やったー! そこから話はアッという間で、12月12日に配信。そして15日、Gさんからメールが届いた。タイトルは「まずは第一関門突破できそうです」。ソフトバンク クリエイティブ、水曜社という2つの出版社から「興味あり」の連絡があったという内容だった。

キター!!! まだ出版が決まったわけではないとわかりつつ、僕の心は、リオのカーニバルで踊りまくるダンサーのお尻のように激しく震えていた――

長くなったので本日はここまで!

なんですが、皆さん、『パリジャンが教えてくれたヒミツの食堂』の企画書、構成案、見本原稿がどういうものだったか、気になりませんか? 

当時のメールを見たら出てきたので、もう思い切って公開しちゃおう。でも無料で公開して万が一にもパクられたらさすがにちょっと悔しいし、2本の見本原稿はガチで書いたもので、今見ても悪くない内容なので、この部分だけは有料にさせてください。

今見るとツッコミどころもたくさんあるけど(笑)、若気の至りということで。出版に興味がある方なら、きっと参考になるはず。ぜひ!

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