読書ノート『地雷グリコ』
昔ながらの遊びに+1の要素を加えたゲームでおこなう頭脳バトル。ルールはシンプルなので、読み合いやダマし合いに集中できる作品。
文化祭を控えた頬白高校では、イベントや模擬店の場所を決める争奪戦――愚煙試合がおこなわれる。1番人気の屋上を奪いあう決勝の相手は、無敗の生徒会代表・椚迅人。だらしない恰好でいちごオレをすする主人公・射守矢真兎。表題作となる地雷グリコで勝負する。
最後の勝負であるフォールーム・ポーカーへ向けて物語が繋がる連作。
5つのゲームを簡単に説明します。
地雷グリコ
ジャンケンで勝ったら階段をあがるゲーム。対戦相手の仕掛けた地雷を避ける必要があり、地雷を踏んだら階段をさがる。坊主衰弱
百人一首の絵札を使った神経衰弱。坊主をめくると一発アウト。自由律ジャンケン
プレイヤーが考案した独自手ありのジャンケン対決。相手の手も合わせて5種類。だるまさんがかぞえた
オニがいつ振り向くかは入札した値しだい。一撃必殺の心理戦。フォールーム・ポーカー
4部屋に伏せられた52枚のトランプ。推理と記憶を頼りに役をつくる。
主人公は観察力が高く、相手の意識の隙をついて策をしかけていきます。もうダメだというところからの逆転勝利が気持ちよくて、読む手が止まりません。
個人的には自由律ジャンケンが好きです。続編もありそうな終わりかただったので期待しています。
学べることは多く、純粋に頭脳戦を楽しむだけでも堪能できる作品となっています。
- 学び -
昔からある遊びに、なにかをプラスする。それだけでも十分に新しいゲームになって、スリルが生まれるのは発見でした。
勝負事に限らず、はじまる前にはすでに結果が決まっていることは多く、途中で修正しながら詰めていくのだと改めて思い知らされました。
初対面の相手やはじめての環境にいると、周囲に向ける意識レベルが自然とあがるもの、それを意識して観察し、洞察することでより多くの情報を得ることができるようになります。
魅力的な人って周囲をよく観察してますね。
強くなるためには冷酷にならなければいけない。ようなところはあるけれど、結局は優しくてユーモアのある人が最強なんですよ。
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