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シリーズ『食事摂取基準』#47(今後の課題)

策定上の課題

食事摂取基準2020年版の総論の最後には、「今後の課題」が記載されています。食事摂取基準は科学的根拠に基づき、膨大な労力をかけて作られていますが、まったくスキのない完璧なものではありません。言い換えるとここは、ちょっと弱い部分というイメージです。

我が国における当該分野の研究者の数とその質は、論文数の増加と食事摂取基準の策定に要求される能力に対応できておらず、近い将来、食事摂取基準の策定に支障を来すおそれが危惧される。

引用 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

m.食事摂取基準はいろいろな国で作られていますが、基本的には自分の国の人を対象とした研究を採用したいもの。それに必要な、そもそもの研究部分について触れられています。

今回の改定では、目標量の設定対象を生活習慣病の4疾患とフレイルに限った。しかし、食事が関連する生活習慣病は肥満症、がん、骨粗鬆症・骨折など、他にも存在する。(略)食事摂取基準において、肥満・肥満症、やせ及び他の生活習慣病を取り扱う必要性とその具体的方法について検討が必要であると考えられる。

引用 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

m.目標量は、生活習慣病予防のための指標ですが、その対象疾患は限られています。対象になっていない疾患については、直接触れられていない点に注意です。

活用上の課題

食事摂取基準の活用に適した食事アセスメント法の開発(そのための研究を含む)と、食事アセスメント法に関する教育と普及は十分とは言い難い。食事摂取基準の活用に適した食事アセスメント法の開発研究と教育・普及活動が、必須かつ急務の課題である。

引用 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

m.これまで見てきた通り、食事摂取基準を使うときには「アセスメント」が大前提。しかし、そのアセスメントの方法や概念の浸透が弱い、と指摘されています。

弱い部分を知ることで、間違った使い方を防げます(^^

今日も勉強おつかれさまです。
marcy

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