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Perfect Days?

大晦日から新年にかけてのオールナイトは、日本文学好きの中国の青年が、店名の由来の「中国行きのスロウ・ボート」をきっかけに訪ねてくれたり、通りがかりで入って「お父さんが好きでよく聴いたんです」とビリー・ジョエルをリクエストしてくれた女性がいたり、少し落ち着いたかと思ったら常連さんたちが三々五々集まってきて、手みやげのおせち料理やお雑煮食べながら朝まで大晦日&お正月気分を楽しんだ。昼まで寝て夕方は日比谷で「Perfect Days」を観て、まさに完璧と思ったら地震のニュースに気づき、不完全な世界に生きていることを思い知る。翌日は「ポトフ」を観たあとに事故のニュース。不完全な世界の歪は拡がる。3日は今日観なければ次は1年後になると録画しておいた同じヴィム・ベンダースの91年作品「夢の果てまでも(End of the wold)」ディレクターズカット版を観る。4時間48分。宇宙での核爆発により電子機器が全滅、放射能汚染とともに「世界の終わり」を覚悟する(がしぶとく生き残る)。その中で夢の映像化が実現するがその映像は中毒性がありモニターを見続け廃人同様になる登場人物たち(今のスマホ中毒を暗示してる30年前に!)。それを救うのは物語、文字を読むことで人間性を取り戻す。この映画から30年経って「Perfect Days」凄すぎないかヴィム・ヴェンダース?!
不完全な世界、ほころび続ける日常、「Perfect Days」の毎日繰り返される営みはこのほころびを繕う行為ではないのだろうか。そんな気がした。
年が明け再び日常に戻る。豆を焙煎し、ぽとぽとと珈琲を淹れる。レコードに針を落としボリュームをあげる。私にとっての繕い仕事。ほころび続ける世界に終わらない繕い仕事。Perfect Daysを夢見て。

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