鳥取市のリノベーションまちづくりについて(後編)
前回に引き続き、鳥取市のリノベーションまちづくりの話をしていきたいと思います。
2014年頃から活発になったリノベーションまちづくりの動きですが、「リノベーションスクール」や「空き家会議」などのイベントを通じて、遊休不動産がさまざまな可能性を秘めていることが、徐々にまちの人たちにも浸透していきました。
現在、「MARCHING bldg.」に成るために工事が進んでいる旧「バラエティ雑貨まつき」のビルも、”空き家会議vol.2「学」”で会場になったことがあります。
ちょうど2年前の今頃、鳥取民藝を学びながら民藝館通り周辺エリアの未来について考えるイベントが行われていました。
さて、遊休不動産の活用の必要性を認識したところで、次に重要となってくるのが、実際にリノベーションを行うプレイヤーと、遊休不動産を提供してくださるオーナーさん、そして活動の支援者の存在です。
たとえば、第2回リノベーションスクールから生まれた民間まちづくり会社「まるにわ」(代表 齋藤浩文さん)は、まちなかで遊休不動産を活用するプレーヤーのひとりです。
(こちらは2018年冬のまるにわの皆さん)
スクールで提案した「鳥取大丸」の屋上の活用は、2016年に「まるにわガーデン」として実現され、それまで夏のビアガーデンのみの利用となっていた遊休空間は、年間を通じて人が集まる場所に生まれ変わりました。
「まるにわガーデン」は、クラウドファンディングで資金を調達し、市民参加型のDIYワークショップを重ねていくことで、まちのみんなでつくった”庭”になりました。
まるにわのオリジナル屋台バー「#今日のサイトウBar」をはじめ、芝生で行うヨガイベントや、ライブフェス、ビアフェスなど多くのイベントがここで開催されました。
こうした民間の活動をもっと広げていくため、鳥取市は2017年に「鳥取市リノベーションまちづくり構想」を政策として策定し、支援制度を整備しています。現在、遊休不動産オーナーへの支援として、遊休不動産の登録制度である「鳥取市まちなか遊休不動産活用マッチング制度」や、「鳥取市空き家バンク」があります。
活動全体の支援としては、遊休不動産の活用について専門家のアドバイスが得られる「鳥取市まちなかアドバイザー派遣事業」や、イベント開催に対する助成などが用意されています。
また鳥取市では、地元の金融機関も支援者として加わっていて、「まちづくりファンド」の出資や「まちづくり融資」などで資金的な支援が受けられる場合もあります。
現在の鳥取駅周辺は、この2、3年で新店舗の出店が相次ぎ、一時期よりもずっと賑やかなまちになっています。2019年秋に鳥取市庁舎が駅近に移転し、新しい人の流れが生まれたこともありますが、新規オープンしたお店の中には、クラフトビール専門店やスタンディングバーなど、それまで空き店舗となっていた建物をリノベーションしたお店もいくつか見られます。
現在は新型コロナの感染拡大の影響で、人の移動やイベントの開催なども制限される社会状況にありますが、まちなかに遊休不動産があり、このまちで新しいことを始めたい人がいるかぎり、鳥取市のリノベーションまちづくりの動きは今後も続いていくと思われます。
導入部が長くなってしまいましたが、次回から、「MARCHING bldg.」ができるきっかけとなった「民藝館通りプロジェクト」の話をしていきたいと思います。第3回は住人の高橋がお届けしました。
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