「虎に翼」53〜55話

すみません、また少し間が空いてしまいました。
今週のMVPは滝藤賢一さん演じる多岐川幸四郎でしょう。

今週から初登場した人物でしたが、時にコミカル、時に激しく、時に優しいころころ変わるキャラクターがとっても魅力的でした。

いきなりスルメを焼いたり、会議中に居眠りをしたり、かと思えば「この大馬鹿タレが!」と怒鳴ったりと癖が強い。でも、そのバックグラウンドも含めて明かされたことで、その株はとどまるところを知りません。

今日(6/14)の放送回には泣かされましたね…。
裁判官として、一度担当した死刑囚の死刑を見たことで、「逃げて」しまったこと。
しかし、上野で出会った戦災孤児を見て「自分にもできることがある」と息を吹き返し、「もう逃げない」「子どもたちのために生きる」と決意して、今の彼がいます。

寅子も結婚と出産でキャリアを一度中断した過去があります。実は似たもの同士だったのですね。
多岐川さんとの出会いが今後どのように影響してくるか、楽しみです。

何がともあれ、家庭裁判所開設が間に合って本当に良かった。桂場さんの「正論は見栄や詭弁が混じっていてはいかん。純度が高いほど良い」というのが功を奏しましたね。直明くんのキラキラお目目とピュアな志の前では、大人たちも折れるしかない。

事務所の準備が整い、解散…の前に、多岐川さんが1枚の絵を取り出して壁に掛けました。
食糧管理法を守って命を散らした花岡悟判事の妻・奈津子さんが描いた絵でした。
その絵は…
大きな手のひらの上にのったチョコレートを小さな手のひらが分けているさまが描かれていました。
おそらく大きな手は花岡さんの手、小さな手はその子どもたちのものでしょう。

花岡が久しぶりに寅子と再会した時、寅子が彼に「お子さんたちに」と言って渡したチョコレートの絵です。

多岐川さんは涙ながらに言います。
「人間、生きてこそだ」

「法律は、人が作るもんだ。人が作るものはひっくり返る。ひっくり返るもんのために死んじゃいかん。法律は、縛られて死ぬためのものじゃない。幸せに生きるためのものだ。彼がどんなに立派な人であっても、法を司る我々は彼の死を非難し、怒り続けねばならない。その戒めとして、この絵を飾るんだ」

寅子との初対面で花岡のことを「馬鹿タレ判事」「どう考えても馬鹿だろ!」と評していましたが、そうか…法曹として、法律に囚われて死んだ仲間(多岐川さんの方が年上でしょうけども)に心を痛めていたのですね。そして、人格は

同時に、花岡のことを美談として消費してはいけないとも思っていた。
刺さるなぁ…日本人は、死(何かを守り抜いて死ぬ)を美徳とするような傾向があり、それに対する批判的な視点を提示してもらえた気がします。

生き汚いと言われたって、命には変えられない。
「逃げるは恥だが役に立つ」とも言いますし(ハンガリーの諺ですが)。

来週は寅子がよねさんと再会!
よねさんは、孤児たちに炊き出しをしていました。しかしまた一悶着ありそうで、心配です…

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