ゴールデンカムイご飯企画番外編.4〜あんこう鍋〜
ついにこの料理を紹介する時が来ました!
ゴールデンカムイ仲間の友人を誘ったら快諾してくれたので、一緒に食してみることに。いつもありがとう。
尾形百之助を慈しむ者として食べなくてはならない、あんこう鍋。
公式ファンブックにも、「好物」の欄に記載されています。
これに関しては色々と掘り下げ甲斐があります。
そもそもあんこう料理は茨城県(尾形の出身地)の郷土料理らしいです(農林水産省のHP、郷土料理の項目を参照)。
で、尾形の母(トメ)は、愛した人である花沢中将に手作りのあんこう鍋を振る舞い「美味しい」と言ってもらったことが忘れられず、
花沢中将の訪れが途絶えてもなお、冬になると毎日毎日あんこう鍋を作っていて、幼少期の尾形は毎日食べていたという苦しくなる背景があります。
尾形は、花沢中将がまだトメを愛しているか確かめるために(トメが死んだ時に葬式に来てくれるかもという淡い期待のようなものを抱いて)、ある日あんこう鍋に殺鼠剤を混ぜて母を毒殺したのでした。
…この経緯があって、あんこう鍋が「好物」というのはきつい。心が締め付けられるような気がします。尾形にとっては、曲がりなりにも「おふくろの味」だったんでしょうね。
尾形は恋愛感情というよりは父性や母性みたいな、無償の愛みたいなものを心の奥底で渇望している人のように感じられるので、なんか…気持ちはわからなくもない。
勇作さんと話をするときに、要件が済んだら遊女を退出させていたあたり、色恋みたいなのはむしろ好きではないと見える。
母との数少ない思い出に縋りたいということなのかな…本当に無償の愛のようなブレない愛情に飢えているというか。尾形にハマると母親になりたくなる人が多いらしいですが、すごくわかります。
尾形に思いを馳せながら金カムトークをしていると、着丼しました。
…しいたけ(尾形の嫌いなもの)がのっててクスッと笑ってしまいました。
冬に旬を迎える深海魚のアンコウを贅沢に使った鍋ですね。
いただきます!
あんこうの身は白身で食べやすく、コラーゲンも含まれているためかプルプルしています。
今回の鍋つゆは出汁ベースでした。味噌のあんこう鍋もあるそうなのでそちらも食べてみたい。
今回いただいた鍋は薄味で、逆に毎日食べても飽きないという説はあります。
具が豚肉とほうれん草のシンプルな鍋が「常夜鍋」=毎日食べても飽きない鍋、と呼ばれるみたいな感覚に通じますね。
あん肝に紅葉おろしをかけて食べると(友人の勧め)絶品です。あん肝は「海のフォアグラ」と言われるとかなんとか。こっくりしていて、紅葉おろしのピリ辛加減が合いますね。
あん肝は食べすぎると痛風予備軍になるそうなので、そこはご注意を。
アンコウは低カロリー高タンパク、コラーゲンも含まれていて、かつ鍋なので野菜もしっかり取れるため栄養バランスとしては文句のつけようがありません。これには限界トレーニーもニッコリ。
しかし、ここで考えてみましょう。
はたしてこの料理は、子どもの味覚で「美味しい」と感じられるものなのか、ということを。
白身で癖がなく、あっさりした味。
一応大人(22歳)の私にとっては沁みる味ですが、幼少期の尾形百之助くんにとってはどうだったんでしょうね…
「レストランのお子様ランチは子どもの味覚に合わせて作ってある」みたいな話を聞いたことがあります。
甘みとフルーティーさを持つケチャップがたっぷり使われていて、味付けもしっかりめ(私は今記憶でものを言っています)。
これが「子どもの味覚が好む味」だとすると、あんこう鍋って割と離れていると思うんですよね…
尾形、君の好物はそれでいいのか…
あと、あんこう鍋って作るのが大変。
尾形ママがどの状態のあんこうを買っていたのかはわかりませんが、いずれにせよ捌いて内臓を分けて、あん肝をすって、みたいなことをするとかなりの手間がかかる気がします。
その間は放っておかれたんだろうな…
鴨を撃っても見向きもされずあんこう鍋が作られていたんでしょうね。つらい。
単純にあんこうはサイズのある魚なので、普通に一度作るとしばらく食べなきゃいけなかったと思います。台所から魚のにおいがしたんだろうな…
あとあんこうはそこそこ骨が多い。身を口に入れて噛むと大抵小骨に当たります。
子供が焼き魚を嫌いな理由の4割は骨が多いことだと思っていて(個人の意見です)、幼少期の尾形百之助くんも御多分に洩れず骨を噛み当ててしまったことはあると思います。
そういう時は自分でなんとかせざるをえなかっだと思うので、おいたわしや。
私はあんこう鍋の食レポがしたかったのにどうして謎の洞察力を全世界に公開しているのでしょうか。もう自発的に獄門疆に入ったほうがいいかもしれない。
〆は溶き卵入りの雑炊で。
あんこうから良い出汁が取れていて、沁みる味です。こういう味を「美味しい」と感じられるようになると一つ大人になったような気持ちになります。
推しの好物というのを抜きにしても、普通に料理として美味しかったので…またいただきたいです(心痛)。
ちなみに私は最近自炊ブームが来ており、オハウやボルシチを錬成、最近はトムヤムペーストも買ったのでエスニックも作れます(ガパオライスを作ったこともあり、ナンプラー常備勢)。
自分いけます!色々なご飯作ってあげられます!(狂人)。
尾形が、あんこう鍋以外の好物を見つけるための手伝いをできたら本望です。
ゴールデンカムイは沼が深いです。心してハマりましょう。私は…もう引き返せない。