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スプリント❌バイメカ@Zoom勉強会2-2 【ラスト】


スプリントと体幹・骨盤まわり


いよいよ、スプリント❌バイメカの会もラストです💪

前回は120名以上の参加者がきてくださいました。過去最高を記録!!!

 より実践的な内容で、現場で応用できる内容を、アカデミックに研究ベースで講義してくれます。

博士号をもった、バイオメカニクス研究者の、本気の発表を、オンラインでお届けします。

5月6日(水曜)21:00-22:00


金額:note購読者→無料
   ゲスト(note購読者以外)→500円

参加方法:オンライン会議のアプリZoomを使います。以下に参加用のURLを貼り付けておきますので、20:45頃にそちらのURLから参加してください。Zoomソフトをお持ちでない人はダウンロードの必要がありますので(ちなみに、URLから参加しようとするとダウンロードは自動で開始される)、上記の時間帯にwifiに接続できる環境にいることが望ましいです。

参加用URLは最下部に↓↓

以下、回答しきれなかった質問に対する回答です。

Q. 腰部伸展筋力が股関節伸展筋力に見合う力が必要だとありましたが、その筋力をトレーニングする場合はどの部位のエクササイズになると思われますか。

A. 主働筋は脊柱起立筋になると思われます。また、多裂筋も協働筋として貢献します。
Q. あらゆるスポーツにおいて、どのような骨盤の角度、状態が最も動きやすいものと考えられているのでしょうか?黒人の選手なんかは走っている時骨盤が前傾しているように思えます。比べて、日本人は黒人選手に比べると骨盤が立っているイメージがあるのですが、どうでしょうか?


A. おそらくそのような人種差が存在すると思います。走っているときの骨盤の前傾角度は個人差が報告されています (例:Schache et al 2002) し、私のデータでもそうでした。切り取った一局面の角度を見るだけでなく、走り全体を通して評価し、骨盤の前後傾が影響している要素を見るという視点も大事だと思っています。
Q. 腰仙関節のトルクはどのように算出しますか?


A. Inverse dynamics approachと呼ばれる手法で、剛体が関節で連結しているモデルにあてはめ、運動方程式を足部から順に解いていくことになります。なぜInverseかというと、本来、力が生じて運動が決まるのですが、この計算では運動を測定し、その運動が生じる力(あるいはトルク)を計算するためです。

Q. 貴重なお話ありがとうございます。今回のお話は直線についてだと思うのですが曲走路だと変化したりしますでしょうか?


A. データを持っていませんが、変化することはあり得ます。ただし、股関節伸展トルク自体は出るはずなので、同様のメカニズムは生じるものと思われます。
Q. 本日は貴重なお話ありがとうございました。今日のお話から考えると、腰仙関節の進展トルクが股関節伸展トルクより弱ければ、推進力をロスするという話になるかと思いますが、これを鍛えるようなおすすめのトレーニング等ありますか?


A. スクワットやデッドリフトなどのエクササイズを両脚で行うことが負荷をかけられると思われます。
Q. 腰椎の伸展トルクにトップアスリートとそれ以外のグループとの差はなどは研究されていますか?


A. されていません。というのも、スプリント中の腰仙関節のトルクを示した研究は私の論文が世界で初めてであるため、もしそのような論文が既にあったら私の論文は世の中に出せませんでした。今後出てくることが期待されます。
Q. 貴重なお話ありがとうございます.腰部伸展トルクの発揮能力が必要であるとおっしゃっていましたが,具体的には腰部伸展筋力とは具体的に自重トレニーングの背筋のようなものですか?


A. おおよそその理解でよろしいかと存じます。
Q. 骨盤後傾せずに、前傾の方が良いということですか?

基本的には骨盤前傾位での下肢トレーニングをするのが一番よいのでしょうか?


A. むしろ後傾した方が脚は前に出やすいと思います。骨盤の前後傾はトレードオフであり、前傾すればするほどいいということはなく、やはりいい塩梅の最適値が存在すると予想されます。
Q. 女子の出っ尻をニュートラルに戻すために鍛える必要のある筋肉、鍛えるために効果的だと考えられるトレーニングを教えてください。


A.  筋の起始停止を考えると、腹直筋や大腰筋などがその作用になります。
ただし、筋力が問題なのか検討してみる必要もあります。その方は自分でまっすぐにするために力発揮が必要でしょうか?あるいは普段から脊柱起立筋が過緊張していないでしょうか?この辺の機能的な問題も評価する必要があると思われます。
Q. トルク解析ではそれぞれの関節運動の推進力への貢献度を定量することは出来ないと認識しているのですが、この点を打破するようなアイデアをお持ちでしたら教えていただきたいです。


A. Sado et al. 2018 ISBS Proc.; 2020 J Biomechを是非お読みください。関節トルクによって生じた各身体セグメントの回転に由来する特定の方向へのCOMの移動に有効なエネルギーを定量する手法を考案し、実際に利用した論文になります。
Q. 腰仙関節伸展と股関節伸展を行っている筋は同じものでしょうか?
異なるとすると、腰仙関節伸展筋と股関節伸展筋どちらかが強くてどちらかが弱いということが個人内で起きると考えられますか?

A. 主働筋は下記のようになります。違う筋ですので個人差は生じうると思われます。
腰仙関節伸展→ 脊柱起立筋、多裂筋
股関節伸展→ 大殿筋・ハムストリングス
Q. 貴重なお話ありがとうございました。今回は矢状面のお話が中心でしたが、もしよろしければ前額面・水平面上における腰仙関節・股関節への要求についても少し解説いただけると嬉しいです。

A. ぜひ次回以降にお越しください。そちらは骨盤の“動き”が関わってきます。簡単にいうと、前額面はCoM高調節機能の一端を、横断面は下肢動作の先導の役割を持ちます。
Q. 今回の腰仙関節の伸展の動き、前回の骨盤挙上の動き、また、接地中の骨盤の前方への回旋などがスプリント中の体幹部の動作だと思うのですが、これらの動作は意識的におこなうことでタイムの向上につなげることはできますか?それとも結果的に起こるもので、意識してタイムに結びつけることは難しいものですか?


A. バイオメカニクスが私の専門領域であり今回の主題であること、その領域では“意識”を扱うことができないことを申し上げます。今後、このようなバイオメカニクスによる客観的なデータから、それを用いた運動学習研究が進むことが期待されます。
Q. 腰部のトルク発揮に腹圧はどのように関わってくると思われますか。


A. これに関する研究については今後の課題となります。ただし、理論的には、(腹圧を高めるための筋がいくつかありますがそのうちの)拮抗作用があるものが大きく活動してしまえばもちろん伸展トルク発揮にはマイナスになります。

Q. トルクの話になるとConcetricに意識が行きがちだと思いますが、筋活動としてはAnti-extension(isometric muscle action)の強化がパフォーマンスにつながると考えられますか。


A. その可能性は十分にあります。特に、疾走中は、Hip Extensorsに抗してisometricに近い形で力発揮しているため、isometricな能力の向上は大切であることが予想されます。
Q. 股関節の伸展はどこからどこまでの動きのことか、前提をもう一度。
屈曲位から、直立までなのか、
直立位から後ろに、キックする時なのか


A. トルクの話なので、屈曲位から直立位が特に求められます。
Q. 先ほどの話で腰仙関節の屈曲伸展に寄与するアウターマッスル(骨盤に付着する筋)に着目するとのことだったのですが腰椎と仙椎に付着するようなインナーマッスルが腰仙関節のトルクに関係しているような気がするのですがいかがでしょうか?


A. もちろん関係すると思います。ただし、一気に測定が難しくなります。針電極という手法もありますが、ダイナミックなところでどこまで取れるかは未知数になります。
Q. 腰部の障害予防的な観点で骨盤の前傾ー後傾を自由に動かせるのが理想だと思っていたのですが、パフォーマンス発揮と考えると骨盤前傾位での腰仙関節伸展トルクを発揮させるトレーニングを優先的に行った方がよろしいのでしょうか?


A. 自由に動かせることの能力は重要であることは間違いありません。ただし、スプリント中においては骨盤後傾方向の負荷が生じること、それに抗して腰仙関節伸展トルクが求められることが明らかになっているということになります。
Q. 腰部の伸展トルクと肩甲帯の伸展(胸を張る動作、で合ってますでしょうか)がある程度関係、というよりも同時に起こっている印象がありますが、そのような知見はあるのでしょうか?


A. 解剖学的に間違いなく関連はすると思われますが、動作分析研究としては今後の課題となります。
Q. 支持期中の腰仙関節の角度変化は常に伸展動作と理解してよろしいでしょうか。それとも個別性があり、支持期中に屈曲動作をしていたり、伸展・屈曲などもありますでしょうか。


A. 個人差もありますが、おおよそ全体を通して最初の局面で少し屈曲(骨盤は後傾)して中盤以後伸展(骨盤は前傾)します。
Q. 腰痛を持つ中で腰部のトルク発揮をトレーニングする事は出来ると思われますか。


A. 痛くないものを少しずつ進めていくことが重要であると思われます。私も現役自体はひどい腰痛 (あおむけで足が10cmも上げられないくらい) のところから少しずつ鍛えていきました。
Q. 腰仙関節の伸展トルクに寄与する筋の代表例として脊柱起立筋群と多裂筋が考えられると思います。多裂筋は弱化しやすい(腰痛患者などで)とされることが多いですが、腰部伸展トルクという視点で多裂筋の貢献度に関する知見などあるでしょうか?またサッカー界では、スプリント時の腰部伸展(脊柱の伸展)に広背筋が重要だとされることが多いですが、広背筋の寄与する割合なども知見がありましたらお聞きしたいです。


A. 筋単一の貢献は非常に算出が難しいのが現状です。少し数学的な話をします。関節トルクという値は主働筋・共働筋・拮抗筋の作用が合わさった正味の値になります。そのために、トルクという一つの既知の変数に対して未知の変数が筋の数だけ出てくるために、方程式が解けなくなります(冗長性問題と言います)。それを推定しようという研究もありますが、特に体幹は複雑で推定が難しく、あまり進んでいません。

Q. 面白い話をありがとうございます.
(因果関係の話は難しいかもしれませんが)腰部の屈曲伸展によって股関節の屈曲伸展を促進させる(脚のスイングを促進する)という解釈はできますか?腰や体幹の動きで脚動作を導くような.


A. 非常に難しい話ですが、屈曲伸展はあまりないというのが私の予想です。一方で、骨盤の回旋はあると予想しています。
Q. ラクロスの指導をしています.競技上スティック把持下スプリントが行われるため,腕振りが制限されます.本日は股関節と腰仙関節の関係性のお話でしたが,上肢(腕振り)の有無・程度・あるいはスティック把持下などでは腰部・股関節の発揮トルクに影響を及ぼすでしょうか?


A. 確実に影響を及ぼすと考えられます。なにかしら保持しながらのスプリントはそのための力学変化に適応して行われているはずです。ただし申し訳ありませんが、はっきりとデータをお示しすることはできません。

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