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九鬼の記事vol.16(2020.03.30)


0.今週の記事のレビュー

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「今週の記事のレビュー」では、本記事を簡単にまとめています。★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

1️⃣今週の学び:僕の研究活動から。垂直跳の予備予備実験?みたいなことを楽しくやってみました(笑)。

2️⃣今週の陸上部・巧のトレーニング:

3️⃣今週のオススメ論文:ピリオダイゼーションに関する論文を読みました。しかもランナーではなくカヤック選手!なんでカヤックやねん!と突っ込みたくなるかと思いますが、とても興味深い研究になっています。僕自身、すごく勉強になりましたし、ランナーのピリオダイゼーションをこのnoteで準備していけたらいいな、と新しい目標も少し見えました!

4️⃣時事ネタ・記事の紹介とコメント:ランナーに関する記事を掲載しました。

5️⃣Q&A:コメントありがとうございます!以下のコメントに回答しました(一部省略)。
巧選手のフォームのところで、「太もも(大腿部のセグメント)がもう少し地面に対して垂直なところで止まって、」とありましたが、
離地時の股関節伸展を制限し、所謂、脚が後ろに流れることを防ぐということが目的になるのでしょうか?
また、これは長距離のランニングフォームでも同様に、股関節伸展を制限し、股関節屈曲を強調することが重要なのでしょうか?
大迫選手やファラー選手の走りを見ていると、スプリンターに比べて立脚後期に股関節伸展や脊柱の伸展が出ているように見えるのですが。
文献や私見などあれば教えていただきたいです。


1.今週の学び

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「今週の学び」では、今週のできごとから九鬼が感じたことについて述べています。主にトレーニング・コーチングの現場での気づきを発信したいと思います。
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 今週の学びは、僕の研究活動に関することから。

 縦断的に選手のパフォーマンスを追うために、「スプリント測定と一緒に体力測定のパッケージのようなものを作ろう」と考えていて。友人のSCコーチ(SCコーチは筋力トレーニングを専門にしたコーチの名称。筋力トレーニングだけでなく幅広くパフォーマンス向上に貢献する人たち)に相談したところ、垂直跳の改良ver.というのが、最近の論文で出ていると教えてもらいました。

 そもそも、スプリントにしてもマラソンにしても下肢の筋力が重要で。例えば、筋力トレーニングによって下肢筋力が高まると、ランニングエコノミーが改善される、というような研究も多く出されています。また、下肢の筋力とスプリント能力との間には有意な関係性が存在することは多くの研究論文で報告されています。したがって、その要素がどのように変化したか/しなかったか、ということはトレーニング計画を考える上で重要なことです。

 一般的に、下肢の筋力を間接的に評価するために、垂直跳の跳躍高を指標にして用いられます。この測定方法のメリットは何と言っても、その手軽さ!僕は少し高価な機器を使って測定していますが、今やスマホとアプリがあれば測定できるようになっています。測定方法はこんな感じ。

 これは、地面反力計といって、地面に伝わった力の大きさを測定する板の上でジャンプを行なっている動画です。この時の地面に伝わった力の波形はこんな感じ↓↓

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 スタートからオレンジのポイントまでは静止。オレンジから下にしゃがみ、上にジャンプする。黄色で地面から離れて、紫で着地という感じです。そして、この動画の時は跳躍高が0.52m(52cm)でした。

 この時の試技は、「なるべく高く跳躍しなさい」とインストラクションを与えたものです。この課題を達成するための作戦は主に2つあって。1つは大きな力を出すこと、もう1つはより長く力を出し続けることです。そのため、動画のように大きく屈曲してなるべく大きな可動域で力を出すことが有利になる(と思ってやっています)。でも、「実際のスプリントの感じとは、かなり違うな〜。。。」という印象を持っていて。そりゃ、違うのは当たり前で、無理に似せる必要もないのですが、なんとなく・・・。

 これまでの研究論文では、この垂直跳の跳躍高を用いて、選手の筋力を評価することが非常に多いです。そんな中、最近の論文で紹介されているのが、跳躍高だけではなく動き出しから地面に離れるまでの時間を考慮に入れる、という測定の方法です。少し上の動画を見比べて欲しいです↓↓

 そして、これがその時の地面反力の波形↓↓

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