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屋上

屋上へあがると
椅子が2脚セットされている。

彼らしいおもてなし。
そういうところ、ほんっとに大好き。
私のドストライクをついてくる。

2人で腰を掛ける。
私が彼にプレゼントした膝掛けを
2人で半分ずっこしながらかけて座る。
そんな優しいところも大好き。

昔彼には伝えたけど、
上着を肩にかけるのではなく、
膝にかけるその優しさが大好き。
ドストライクすぎる。

椅子に腰を掛けながら
見つめ合う2人。
シジュウカラの鳴き声が聞こえる。
ツピーツピーツピーツピーツピー

晴天で眩しいほど晴れている。
彼の顔を直視できないほどのお日様。
ポロポロとこぼれる涙。

久しぶり…
と挨拶を交わす。
1ヶ月ほどで久しぶりとはいわないけど。
とお互いに苦笑。

当たり障りない日常の話をする。
互いの子どもの話。
プレゼントのお礼。
プレゼント選びのエピソード。

そして、
まさか今日会えるなんて。

喜びの涙が溢れだす。
泣いてばかり。

水分補給を促される。
水分補給しないと喉も目もカラカラだ。

彼は、私との約束の時間より早めに
ドアノブに紙袋をかけて、
その後ずっと屋上にいた。らしい。
椅子とポットとマグカップと膝掛けを
持ち込み本を読んでいた。らしい。
いかにも彼らしい。

椅子を2脚準備してくれていた
…ということは
私と一緒に腰掛ける気でいてくれたのか…
どうなのか…

ぐるぐる考えていても
本当の答えはわからない。

すると風がピューっと吹く。
ピュー
ビュー

風邪が強くなってきたので、
部屋に入りますか。と彼が聞いてくれた。

2人で屋上をあとにし部屋に入った。

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