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夏の兆し。

今年もやってくる。

あの暑くてワクワクする季節が。

僕は小学校6年生。無事に終業式を終え、明日から小学生最後の夏休みだ。そうワクワクしているけど忘れていることが一点。そう、「持ち帰り」だ。

教科書、絵具セット、習字セット、そして忘れちゃいけない朝顔のプランター。これらを一気に持ち帰るのが僕ら、小学生の仕事だ――――。

もう7月の下旬だし、そこそこ気温も高い。そんななかでも僕らは、教科書やプリント、筆入れなどがぎゅうぎゅうにつまったランドセルを背負い、両手がふさがる程の荷物も持って下校する。はっきり言って訓練みたいだ。

でも、そんなのは自業自得。汗をかきながらせっせと自分の家まで向かう。小学生の足で片道20分以上はかかる距離の登下校ルートだが、荷物のおかげで体感時間はもっと長くなってる。幸い、登下校ルートが同じ友達がいるのでおしゃべりしながら下校できた。

赤信号で休憩。踏切で休憩。縁石に座って休憩。そうやって友達とダラダラしゃべりつつ休みながら下校する。

「早く帰りたい!」

そう思っても背に腹は代えられない。休まないとバテる。

「まだかな~。なげぇよぉ.........!?」

「おもてぇ。なんで前に持って帰んなかったんだ..........!?」

そんな自問自答もした。

しかしながら、空は澄んだ海のような青色をして雲も良い感じに漂ってる。

周りには青々とした雑草や木々、そして未熟な稲がぎゅうぎゅうにつまった田んぼがある。

そういった景色が、フル装備状態で下校してる僕たちの目に容赦なく入り込んでくる。

夏が来たと感じさせる。でも重たくて疲れる。これが僕の「夏の兆し」。

そう色々思っている間に自分の家の前。友達に「じゃあね。」とだけ言って、無事に帰宅完了――――。

おわり

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