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【妊娠〜出産まで】職場編〜その2〜

前回、職場での妊娠報告について書きましたが、今日は落着するまでのゴタゴタを…。

予定日が9月だったので、春学期のみ担当にしてもらったのはよかったのですが、問題は産後復帰するのかどうか、するならいつなのか、ということでした。
大学としては、翌年度に復帰するなら、私の穴埋めに新しい人を雇わず、今いる人で何とかする選択肢もありますが、もう復帰しないなら長く続けてくれる人を探さないといけません。

産後のことについては、私たち夫婦が一番頭を悩ませていました。
私たちが4年半も遠距離婚を続けていたのは、お互いの仕事の不安定さが理由でした。
私も非常勤なので、年によって担当授業数がバラバラで、収入が安定しません。
夫はスペインで公務員ですが、契約期間は2年。その後更新されたり、契約が終身になったりする可能性もあれば、2年経ったら「はい、さいなら!」の可能性も…。
こんな状態なので、産後夫を呼び寄せて職場に復帰するのが良いのか、夫のいるスペインに引っ越すのが良いのか、妊娠が分かったばかりの私たちには、すぐに答えが出せませんでした。

現実的に考えて、
・日本語カタコト中年男の夫が、すぐ新しい職にありつけると思えない
・私も翌年4月まで復帰できない&できてもフルで働けるかわからない
・生後半年の子どもを預けられる目処が立たない(実母は昼間仕事で不在)

スペインに行けば、
・義実家でしばらくは生活できる(義母は定年退職して年金生活)
・夫は最低2年仕事が保証されている
・保育園の待機リストもなければ、最悪義母に子どもを預けて仕事ができる
・ただし、失業率高すぎて私の仕事が見つからない可能性99.9%

子どもが生まれてくることを考えれば、日本に残るのはリスクが大きすぎます。
ただ、夫は当時真剣に日本での転職も考えていたので、日本に残る選択肢もゼロではありませんでした。

この曖昧さが仇となってしまいました。
とある大学で責任者の先生と話した時、私は「産後については未定だが、スペインに行く可能性が高いと思う」と説明しました。どの大学でも同じ説明をしていたし、当時わかることはそれが全てでした。
こう説明するとほとんどの場合「次年度戻ると思っておきますが、今と同じように授業を担当してもらえるかはわからないことをご承知おきください」と言われるだけでした。

ところが、責任者の先生が私がスペインに移住する可能性が高いことを伝えると、それを聞いた1人から「スペインに移住するって聞いたけど…」と連絡がきました。
私が事情を説明すると「もう一度『未定だ』と言った方がいい」と言われました。
ただ、私は日本に残れる可能性がかなり低いと考えていたので、わざわざ訂正して結局移住することになったら、ものすごく迷惑になるんじゃないかと心配して、改めて「未定です」と訂正することはしませんでした。

それでも、先生同士の会議で話題になるのか、「ちゃんと未定だって伝えて欲しい」と何度も連絡がきました。私は「もし移住すると思われているならそれでもかまわない」とさえ言いましたが、「それはダメだ!ちゃんと復帰できる可能性を残しておかないと!」ときいてくれません。
親切で言ってくれているのはわかるのですが、こちらの意図も伝わらず苛立ち始めた頃、別の先生から「次年度の予定を確認したい」と直接電話がかかってきました。
「移住する」という責任者の先生に対して、「本人は未定だと言っている」と言う先生もいて混乱しているので、きちんと情報を整理したいとのこと。

どの大学でも同じ説明をしたのに、どうしてこんなに拗れてしまったのか…。これはもう、どうするか決めてしまったほうが、周囲も私自身も楽になるのではないか。
夫と何時間も話して、ひとまずスペインに移住するとしておくことにしました。
もし夫が日本で就職できればそれでよし。日本に残ったからといって必ず私が仕事に戻れる状態とも限らないのだから、必ず戻ると断言しないほうが良い。

親切で言ってくれていた先生にも「移住することに決めた」と話し、丸1ヶ月に及んだすったもんだに終止符が打たれたのでした。

当時の私は、つわりで体も心も絶不調。そこへきて、1年以上先のことをはっきりさせろと迫られるプレッシャーで、毎日泣いていました。
おそらく妊娠期間中で一番つらい時期だったと思います。

これを乗り越えた後は、むしろ仕事のゴールが定まったようで気持ちが楽になりました。
もちろん、半年後に職を失う恐怖はありましたが…。

Maqui

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