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【実話】お兄さんは何屋さん?

4月に社会人のなった私は、東京の中心地 霞ヶ関で仕事をしている。

地元は愛知県の三河地方で、4月の就職を機に都内へ引っ越してきた。

そして、4日前の8月14日。
4ヶ月ぶりに実家へと戻った。

実家には13年目のトイプードルが1匹。
名前はチャロ。
昔、NHKの番組で「リトル・チャロ」という英語教育番組があり、主人公のチャロはどこまでもひたむきでいつも真っ直ぐな子犬であったことから、その名前をそのまま名付けた。

実家のチャロは飼い始めてから13年経っても残念ながら「ワン」という英語しか話せない。また、いつもご飯とおやつに真っ直ぐなである。

実家で犬と戯れ、祖父母の家にも伺い、昨日8月17日、帰路に着いた。もともとは16日の夕方に帰宅する予定だったが、台風の影響で、新幹線が名古屋駅と東京駅で終日運休になってしまったことから、予定を1日遅らせて17日の帰宅となった。

乗車した新幹線は名古屋駅を14:59に出発するのぞみ394号東京行き。

お盆のUターンラッシュではあったが、事前にEx予約をしたとき、16号車の12番D,E席が空いていた。そこで自分はE席(窓側)を予約していた。

席に行くと、自分の隣のD席には小学校低学年くらいの男の子が1人で座っていた。

今回の移動時間約90分(名古屋→東京間)はDisneyのアナと雪の女王を見ることにした。Disneyが元々好きで、東京に引っ越してからは度々インパ(ディズニーリゾートを訪れること)するようになった。

名古屋を出て15分くらい経過した時、日差しが眩しい上、暑かったので窓のシェードを下げた。その瞬間、隣のD席に座っていた男の子が何か喋ったようだった。

しかし、両耳にイヤホンをつけ、隣を全く気にしていなかった私はそのまま映画を見続けたのだが、それ以降、右側からずっと視線を感じていた。

そこで、ホームで買ったスジャータの新幹線アイスを食べようと、リュックに手を伸ばした瞬間、1枚の特急券が落ちているのに気づいた。16号車12番D席と記載があり、すぐ隣の男の子の特急券だと分かった。拾って男の子に差し出した。その瞬間、男の子は「開けてもらえますか」と言ってきた。

一瞬何のことか理解できなかったのだが、窓に指を刺していたのでシェードをあげると、外を見たそうにしていた。しかし、私のキャリーケースが邪魔なのか、よく見えなさそうにしていたので、「もし良ければ席変わりましょうか」と聞くと、「うん!」と元気な返答があった。

席を変わった後、男の子は私のアイスを見て、「このアイスどこで売っていますか?」と聞いてきた。そして、この会話を機に終点の東京駅まで一緒に話をすることになった。


彼は千葉県内に住む小学2年生。
岡山出身で、おばあちゃん家に行った後、ユニバに家族と行き、千葉のお家に帰る途中だったようだ。てっきり男の子のご両親が近くにいると思っていた。
しかし話を聞くと、帰りの切符を直前まで買っていなかったことから、家族全員分の席を確保できず、家族別れて1席ずつ購入し、男の子はこの新幹線に1人で乗ったそうだ。

男の子はもともと電車が好きで、私は電車の知識や知見は少なかったが、
電車のことについて沢山教えてもらった。

そして、男の子は将来、のぞみ号の運転手になりたい!
でもどうしたらなれますか?と聞いてきた。

【皆さんだったらどのように答えますか??】

私自身は、新幹線どころか鉄道業界の乗務員が、どのようなルートで養成されているのかを知らなかった上、適当なことを言うのも良くないと思った。そこで、「とにかく今の小学校で沢山勉強して、色々なことに沢山挑戦して、沢山のお友達と関われば、世界一の運転手さんになれるかもね!」と返答した。あながち間違いの回答ではないと思う。。。

そして、雑談が続き、新横浜を出た直後、最後の質問が飛んできた。
「お兄さんはお仕事しているの??どんなの???何屋さん?笑!?
子供の時の夢とか叶った??」

私は電力業界のエンジニアとして働いている。でもそのように答えても理解してもらえないだろうと思った私は「お兄さんはみーんなが使う電気を作っているんだ、だから電気屋さんだね」と答えた。

電気のことや仕事のことを子供に説明するのは難しいと思ったし、私の小さい頃の夢は電気をはじめとするインフラには全く関係のないものだった。

「へぇ〜すごいね!小学校のときに書く将来の夢にも電気屋さんって書いたの??」と聞かれたので、素直に子供の頃の夢を話した。

小さい頃の夢はパイロットになることだった。

「お兄さんは元々飛行機を操縦するパイロットに憧れていたの!大学を卒業するときに、沢山の試験を受けたんだけど、パイロットになるには全ての試験に合格しないといけないのね。でもお兄さんは途中で不合格になってしまったの。だから夢は叶わなかったんだ。でもね、最後までやり切る!挑戦して最後までやり切る!ことが大事だし、全て全力でやったお兄さんは全く後悔とかしていないんだ!!だから、後悔しないように何でも全力でやってみよ!勉強だけじゃなくて、ゲームも友達と遊びに行く時も、パパとママと遊ぶ時も、いつでも全力でやったら必ず新幹線の運転手になれると思うよ!」

と伝えた。

東京駅に着き、ホームでバイバイした時、
ご両親がホームで待っていた。


お話はここまでなのですが、普段小学生と話す機会が少ない上に、
沢山のお話ができたこと、本当に嬉しい経験でした。

一方で、自分のことをわかりやすく丁寧に説明できる力って必要だと改めて感じました。説明能力といっても、プレゼンや社内での自己紹介とは異なり、その世界を知らない小さな子供たちにも説明できるくらいの能力を習得したいと感じました。

ところで


あなたは何屋さんでしょうか?


あなたは今の仕事に満足していますか?小2の子に説明できますか??

あなたにとって、全力でやったことはなんですか?

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