見出し画像

「女ふたり、暮らしています。」を読んで

「なんで結婚したの?」
という友達からの質問に、いまいちうまく答えられない。

パートナーとは一緒にいると楽しいし、これからも一緒に生活すると思うと結婚するのが都合がいいのかなあとそんな感じで結婚した。
自分では、それくらいふわっとした理由で結婚したことをそんなに気にしている訳ではない。


でもだからこそ、別に結婚しないのも全然ありなはずなんだけど、
結婚しないで生きてくビジョンってイマイチ想像がしにくかったから、自然とそうなったのかなと思ったりしてた。


そんな時、出版社勤めの読書家の友人におすすめされたのが「女ふたり、暮らしています。」(彼女は中学時代からの友人で、いつも世界各国のあらゆる本を読んでいて、私の本ソムリエだ。)


本作では、韓国人の40代独身女性2人と猫4匹の共同生活がコミカルに軽やかに綴られている。


彼女たちは恋人同士というわけではなく、親しい友人同士。


学生のルームシェアはよく聞くけれど、40代の自立した女性同士の共同生活というのはあってよさそうだなものだけど、意外とない気がする。


コピーライターとファッションエディターの2人がそれぞれ綴る日常生活はとてもウィットに富んでいて、楽しくて幸せな感じで、どんどん読み進めてしまった。


気が合う友人同士で住むことの素晴らしさや、他人と生活することの難しさ、効率の悪さ、それらが包み隠さず正直に書かれている。


そこにある日常は、私が普段送る夫婦生活にもあるあるの出来事だった。


他人が暮らすことは楽しいこともあれば、しんどいこともある。1人で暮らした方が時間を効率的に過ごせるし、好きなものを好きな時に食べて、好きなだけ散らかしてマイペースに生活できる。


でも、他人と暮らすことでたわいもない話で夜更かししたり、相手が見てたテレビをなんとなくみて熱中してしまったり、想定外のことが起きたりする。もちろん煩わしいこともあるかもしれないけれど、そんな時間があとになってみると愛おしかったりする。


この本で綴られる暮らしについては、単純に夫婦であるか、友人同士であるかの肩書きの違いがあるだけで、人と暮らすことの本質は一緒だなと思った。
韓国でもそうであるよう、日本も結婚することが普通で、良いこと、当然のことという風潮はある。


最近の特に若い人は、頭では別に結婚しなくてもいいでしょ。そう思っている人も多いはず。でも、なかなかその結婚しない先の人生についてどんなパターンがあるのか、実際にモデルにできる人はいるのか、それを知らないから不安があるという人が多い気がする。


別に、女友達同士じゃなくも、男でも男女でも恋人同士でも、とにかくいろんなパートナーや共同生活の形がもっとあって良いんじゃないかと思う。というか既にあるんだけど、もっと当たり前になっていったら世の中はもっと心地よい空間になるんじゃないか。


法律や制度はまだまだそこに全然追いついていないし、そこにがっかりしてしまうことも少なくはない。
けれど、人の感覚は徐々にうっすらと新しい暮らしの可能性に気づき始めていると思う。


「なんで結婚したの?」という質問には結局この先もうまく答えられないままかもしれない。
けれど、「なんで一緒に暮らしているの?」だったらそれは自分にとって豊かだからという答えになる。


人それぞれにとって色んな豊かな暮らしがある。それが今の世界での当たり前ではなくも、実現しようと思って行動すれば実現できることを知った。


本作はそんな豊かの生活の一例を示してくれている。新しい生き方はきっとこれから増えていく。


今よりもっと多彩で豊かな世界を見るために、自分ができることを考えたい。まずは、「女ふたり、暮らしています。」を布教することから始めようと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?