ダウン症の女の子。誕生と発達と幸せと。

我が子の誕生と染色体異常

2013年8月の暑い夏の盛りに、我が家に待望の長女が誕生しました。名前はマオリと言います。

娘はお腹から取り上げられた瞬間に、手術室に大きな産声が響き渡りました。あまりにも元気いっぱいな赤ちゃんだったので、その時は病院の誰もがその先の娘に何かが起こるなんて思ってもいなかったようです(母の直感が働いた私を除いては)。ただ、帝王切開で出産した赤ちゃんにたまに見られる軽い呼吸障害があったため、一晩だけ保育器に入れられることになりました。

その後、一晩だけの予定が、二晩となり、何かがおかしいなと、これ以上ごまかしが利かなくなった3日目くらいに、ドクターから夫婦そろって個室に呼び出されました。呼吸障害が安定しないこと、手の小指の関節が一つ足りないこと、あとはむくみがひかないことといった娘の症状をあげられて、染色体異常の検査に同意してほしいと切り出されたのです。そして、それから約3週間後に、娘には体細胞21番染色体が3本(通常は2本)あることがわかりました。つまりダウン症候群です。

「小学校から女子校に入れるのは早すぎるかな」「留学はさせてあげよう」「ピアノもいいよな」などと娘の人生を勝手につくりあげていた私はもちろん、男だけの環境で育ち、夢にまでみた女の子が娘とした誕生したという主人が、奈落の底に突き落とされたのは言うまでもありません。

ただ、あれから6年と数カ月が経過した今、我々夫婦は奈落の底どころか、新たに男の子(現在2歳)が家族に加わって、みんなでオーストラリア生活を送っています。

この約6年の間、我々は娘を溺愛しながら娘の障がいをどうにかして改善できないかと試行錯誤し、いつも療育情報を求めて常々実践してきました。
中でも、偶然に近所に引越してきたアメリカで療育をしていたセラピストのところに通い始めてからは、娘が障がい者ではなく、娘らしく発達促進が実現されたように思います。

身体から脳をみるという発達促進

発達促進と聞くと、ドリルや机上でのトレーニングを想像される方が多いかもしれませんが、娘がセラピストと行ってきたのは遊びや運動を通した「身体づくり」がメインでした。
セラピストはよく娘の身体の動かし方や使い方を見ていました。例えばぎこちない歩き方をしているとします。それを脳と身体がうまくつながっていないことが原因だと考えるのです。
逆に考えると、しなやかな歩き方ができるようになれば、脳と身体がきちんとつながったということ。脳と身体がつながるように、しなやかな歩き方をめざして身体づくりを行い、脳に逆にアプローチするのです。このように娘は一般的な療育のトレーニングではなく、身体が整えば学びは普通に吸収していくという考えのもと、発達の土台づくり(=脳が身体とつながっている状態)を中心に行ってきました。

娘が授かったご縁と経験を全国の子供たちに

その結果、オーストラリアへ旅立つ前に娘が受けた発達検査では、それまでの「中度知的障がい」から「軽度知的障がい」へと大きな発達を見せ、今もさらなる改善を目指しながら、こちらで毎日を楽しんでいます。

そして、私たちは先日ついに一般社団法人Maorisという組織をつくりました。これは娘の発達を育もうと努力をしてきたこの数年間で、私たちが行ってきたこと、さらに娘を中心に出会った人々の知恵や愛情を全国の子供たちにも届けたいという気持ちをあえて社会で責任のある会社という形にしたものです。
Maorisは分かち合いの精神で発達に遅れのある子供たちと、彼らに関わる大人たちへ笑顔を届け、社会をインクルーシブ化させるために貢献していこうとスタート地点に立ちました。

Maorisには我が家がオーストラリアに旅立つまで、娘の発達促進をサポートしてくれた療育セラピストがメンバーとして加わっています。
私たち夫婦が、障がいを持つ子どもたちのために何かやりたいんだと話をしたときに、「親という立場と教育者という立場、これら双方の人間が揃わないと本当の意味で子供のためにはならない」と、私たちの事業に参加してくれることになりました。

発達促進情報をオンラインでわかちあうサークル

現在Maorisでは、保護者向けのオンライン発達促進サークルを運営しています。
いつでもどこに住んでいても、発達促進に関する正しい情報を入手し、海外で活躍経験のある療育セラピストとオンラインでつながることができるSNS的なサークルです。

オンラインは便利ではありますが、正体がわかりにくいという点もあるかと思います。そこで、娘がこのセラピストのもとで、どのような時を過ごし、どのように発達し、どのように卒業してオーストラリアに旅立ったのか。そういった姿をこれから皆さんにお伝えしていこうと思います。
我が家と娘の葛藤した日々が、この記事を読む保護者のみなさまを通して、お子様の発達促進に役立つ糧になれば、本当に幸いですし、まだ6歳にして社会貢献ができる娘を誇りに思います。

Maoris組織の詳細やメンバーについてはHPをご覧ください。
https://maoris.jp/


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