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血と家から考えるアイドリッシュセブン⑤(ネタバレ有)

【アイナナ考察記事についてのお願い】
・「二次創作」としてお読みください。ストーリーの展開を保証するものではなく、公式やキャラクターを貶めようとするものではありません。
・アイナナに関するすべての情報を把握しているわけではありません。個人の妄想と願望を大いに含む、一解釈であることをご理解ください。

こちらは、アイドリッシュセブンを「血」と「家」という観点から考察する記事です。初めての方はからご覧下さい。

今回こそは、大本命八乙女楽と二階堂大和について考察していきたい。この一見正反対に見えて、共通項の多い2人、私はとても好きである。そのため、今回はいくつかに記事を分けることになると思うので、ご了承願いたい。

まず、2人のプロフィールをざっくり確認しておきたい。

◆二階堂大和
アイナナのリーダーで22歳。アイドルになってなければサラリーマンしてたとの発言から、大学中退かと思う。大物俳優千葉志津雄の愛人の子である。父親との確執はあるものの、その財力で不自由無く成長した。芸能界や人間の汚い部分を見すぎたため、人間不信気味。飄々としていて本心が見えない、通常運転が俳優みたいな男である。小鳥遊親子曰く「表現力に長けてる」。3部にしてようやく周囲に秘密を打ち明け、アイナナという居場所を得た。

◆八乙女楽
TRIGGERのリーダーで22歳。20歳でデビューしているので、高卒か大学中退である。芸能事務所社長子息として、英才教育を施されて育つ。両親は離婚しており、その件で父八乙女宗助とは折り合いが悪い(4部以降は改善傾向にある)。容姿とスキルに関してはスキがないように見えるが、努力は怠らないタイプ。「大真面目に八乙女楽をやっている」。言動は母親譲りの下町風で血の気が多い、デリカシーに欠ける発言やクサいセリフを平気で言う(素直さ、純粋さ故である)。顔がいい。

だんだん八乙女楽の扱いが雑になって来ているが、愛ゆえである。


1.最初の接点―ミューフェス

2人の関わりは、意外と序盤では少ない。
蕎麦屋に「こんな顔がいい蕎麦屋許せないんだけど」と大和が発言するくらいである(今となっては、これは完全に見抜かれていると思う)
そして少ない接点の中でも、二階堂大和より八乙女楽の方が、意識的に大和を目に入れるようにしているのがポイントである。順を追って見ていこう。

最初のミューフェスでアイナナが撃沈したステージの様子を見て、八乙女楽はこんな所感を述べている。

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「メガネの短髪はペースを崩してない」
眼鏡の短髪、紛れもなく二階堂大和である
。さらに、この後アニナナでは「もっとやれるだろ!」を七瀬陸に対してだけでなく、アイナナ全体に向けて言っている。ゲームだといつもの表情だが、アニナナだと、もう少し熱っぽい表情を八乙女楽が見せてくれるので、気になる方はぜひご覧頂きたい。

そもそもアイナナがミューフェスに出られたのは、八乙女楽が推薦したからである。このあたり、結構あっさり流されているので、少し考えておきたい。

確かに楽は野外で歌うアイナナの音を聞き、好感を抱いているのだが、それだけで推薦するほど物好きではないはずだ。一応、彼も事務所社長子息、芸能界の何たるかはわかっているはずである。
私はここに、八乙女楽が抱えていたTRIGGERと自分自身の問題が関係していると思うのである。

3部でTRIGGERが野良になったあと、三人の会話の中で楽は、三人に下積みがなく、いきなり売れてしまったことを「もったいなかった」と発言している。

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言い換えれば、彼らは誰かを蹴落としたり、誰かと比べられたりしてのしあがったのではないのだ。1年前のブラホワでは勝負ののち勝利しているわけだが、その勝負は一回性のものである(※ブラホワに勝つことでようやく、コネで売れた等ではなく実力を示せたので、あんなに喜んでいたとも言える)。固定されたライバルグループは存在していない。そしてRe:valeは遠すぎてライバルにならない。

八乙女楽はアイナナを推薦することで、TRIGGERと背中合わせになるようなライバルグループを作りたかったのだ。それがあることで、TRIGGERを相対的に見ることができるからだ。そのためには、自分たちと同じく最初から王座が用意されていたようなグループ(ZOOLなど)ではだめなのであり、自分たちにはなかった下積みを経験したグループを据えたかった。そうすれば触発されて、TRIGGERにも追体験としてソレが手に入るのではないか…だからミューフェスでアイナナが失敗したとき、あんなに悔しがったのである。

TRIGGERというグループの変革の機会を、同時に逃がしてしまったから
だ。その変革はツクモによって最悪の形でもたらされたのだが、1部では楽だけが欲していた「TRIGGERのやりなおし」を3人同時に目指せたのはよかった。

さて、ミューフェスに話を戻そう。
楽がアイナナにTRIGGERの理想を透かし見る過程で、同じくグループリーダーである二階堂大和に注目していくのは、自然の成り行きであるともいえる。まずは大和個人ではなくアイナナのリーダーとしての関心だが、2部中盤までの2人の関係性を一気に見ていこう。

2.ゼロアリーナこけら落とし―ユニット


この二人、初めから仲がいいわけではない。二階堂大和が最初にTRIGGERとプライベートな交流を持つのは、十龍之介である。我々のあずかり知らぬところでサシ飲みをして、大和は龍の介抱をしている。アイナナメンバーとさえサシ飲みなんぞしていない時期の二階堂大和である。前の記事でも書いたが、龍は本当に人タラシだ。
八乙女楽と二階堂大和の本格的な絡みは、ゼロアリーナのこけら落とし公演のユニット企画まで話を進めなくてはいけない。なんと2部に入ってからなのである。

その記念すべき初絡みは、八乙女楽の紡口説き阻止、ということになっている。この二人、紡の口説き方に関しては手法が割と同レベルであり、同族嫌悪というやつだと私は思っている。
(二階堂大和もまた、家庭環境の影響で女性関係には少なからず嫌悪がありそう…という意味でも)


この紡口説き阻止の場面、楽と大和の関係を象徴する台詞が登場する重要なシーンなのである。

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二階堂大和は「八乙女楽=いい男=好色」という認識であることがわかる。これは一般的な八乙女楽のイメージそのものであるが、八乙女楽の本質ではない。この2人がいかにこれまで接触してこなかったかが示されるのだ。

八乙女楽は紡の前では、カッコイイ自分を3割増で作ってくるのだが、ここでは完全にそれが崩れるのも注目しておきたい部分である。大和のペースに乗せられて、↑の台詞のあと、「わ、悪かった……」と謝ってしまい、自らツッコミを入れるという流れである。

この場面の後にすぐ打ち解けたかといえば、そうではない。こけら落とし公演のユニット練習のときに、ようやくという感じである。

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ユニット練習の冒頭での大和の楽に対する印象は「おっかない」なのである。つまり、紡口説き阻止で「遊んでねぇよ!」と言い返してきた八乙女楽は、大和が考えていた「TRIGGERのリーダーで色男」の概念とはかなり違っていたのである。我々にとってはそこが八乙女楽のチャームなのだが、大和はその生い立ちから、人を真っ向から信じられない性格であり、まだ楽との関係を探っている状態だということになる。


その後、ユニット練習を中に八乙女楽は二階堂大和にグサグサ刺さる言動を繰り返す。

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最たるものがこの、「大真面目に八乙女楽やってる」発言である。秘密を抱えて、問題を先送りにしている段階の二階堂大和は、この言葉に胸を痛めたに違いないのだ。また、凹んでいたナギと三月がそれを聞いて復活してくるのを目の当たりにし、同じリーダーとして逃げ腰の自分を恥じたに違いない。しかし、前述した通り楽はアイナナおよび大和のことを、アイドルとして認めた上で向き合っており、余計に大和の心は苛まれたことだろう。

3.二階堂大和の八乙女楽像―序盤まとめ


ここまで確認したところで、二階堂大和が八乙女楽をどう思っているかを整理しておきたい。
いかにもアイドルらしい、どこまでも芸能人な八乙女楽は、大和にとってTRIGGERの中でも1番近づきたくない相手だったはずだ

ライブ前に遭遇する天はビジネスに徹しており共感したはずだし、龍は芸能人らしからぬスキがあり、どちらも大和の嫌悪する「芸能界の裏」を感じさせない。しかし、事務所社長の子息で、なんとなく堂々としていて、色男でブイブイ言わせてそうな楽は、芸能界のにおいが強すぎたのだと思う。何より、芸能関係者の子息である楽は、自分と境遇が似すぎており、いい印象がない。だから紡のことも遠ざけようとした

ところが、いざ蓋を開けてみると、色男どころか女っ気がなく、自分よりも女性耐性が低そうであり、男気溢れるリーダーであることがわかったのである。そして彼もまた芸能界の中で、自分と同じようにもがいていることも知った。ここに、大和の複雑な感情が生まれることになる。
芸能界にいてもまっすぐさを失わない楽への、劣等感や憧憬、と同時に純粋な好意も抱いているはずた。共通点の多い楽に親しみを感じつつも、どうして自分とはこんなに違うのかという思いが強まったと思うのである。


これが決定的なものとして立ち現れてくるのが第3部なのだが、長くなってきたので次回に回したいと思う。そして、TRIGGERを通してしかまだ大和を見ていない楽もまた、3部に至り、大和個人に対して自らの心を動かしていくのが、大変面白いところなのである。

二階堂大和が3部で秘密を打ち明けられたのは、三月とナギ、千の功績だと考えるのが一般的だろう。しかし、1部の時点からじわじわと大和の心を変えて行ったのは、八乙女楽だということを強調しておきたい。そして、TRIGGERの危機に際して、アイナナが貢献できたのもまた、リーダー二階堂大和が八乙女楽を憧憬し、歩み寄ったからなのである。

ということで、次回は2部後半から、二階堂大和と八乙女楽について考察していきたい。星巡りイベントが始まるので、また時間を要してしまうかもしれないが、お許しいただきたい。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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