見出し画像

【レオマブ考察】さらざんまい11皿目まで(ネタバレ)

ついに最終回!個人的にはレオマブ救済エンドに大満足であった。軍服はご褒美
レオマブに関しては前回までの希望的観測(という名の妄想)と方向性は同じだったので、救いのある結末で本当によかったと思っている。
10皿目までの考察はこちら 細かいモチーフ考察はこちら

11皿目のレオマブ登場場面は少ないものの、これまでの不明点がいくつか回収されたのと、今後の展開についても示唆的なところがあった。前回までと同様、ネタバレと妄想をまき散らしていきたい。解釈違いも大いにあると思うが、ご容赦願いたい。


1.復活したレオマブから考える「ア」

待望のレオマブ復活である。復活までの経緯をおさらいしておこう。

悠の過去消去を食い止めるため、カズキが悠と最初にであった過去に戻り、ミサンガを渡そうとする3人。その際、黒ケッピとケッピが対峙。3人のことをカワウソ(概念:ゾンビポジション)が妨害する。それをさらに食い止めるのが、ケッピ体内から復活したレオマブである。

前回レオマブ消滅時に残った標章がケッピから排出され、軍服姿のレオマブが復活。「欲望を手放すな!」と言いつつ、幼カズキ(=ゴール)への道を拓く。このときの二人は手をつないでいる。

これだけで大満足なのだが、2皿目の伏線回収であることを確認しておきたい。2皿目の花やしきで、花やしきスタッフが
「つないだ手は愛の証、決して離されませんよう!」
と叫んでいたのを覚えておいでだろうか。
これで前回までの考察がつながった…と私は個人的に大変胸アツだったのだが、やはりレオマブは、欲望と「胸の痛み(絶望)」を経由して、「愛」でつながったわけである。


序盤の二人はこんな不自然な、触れているようで触れていないような手の置き方をしていた。やはり互いに「つながりたい」欲望を抱えながら、言えずにいたのだろう。絶妙な距離感と不安定さである。それに比べて今回の恋人つなぎの安定感たるや…これが「愛」…「愛」なのだ。レオマブにとって理想的な救済ラストで涙が止まらない。(ちょっと落ち着いたほうがいい)
さて、肝心の「ア」である。レオマブが道をひらく際、「ア」の光を集めて、それによって道を照らしていることがわかる。

レオマブは今や二人で「愛によるつながり」を体現する存在である。彼らがまとう光なら、それは「愛」でしかない。そして愛のちからで、欲望はつながり、明日を招来する。「アス」につながる「アイ」なのだ。「ア」は愛であり、明日(未来)である


2.先駆者としてのレオマブ

これまでさんざん考察されていると思うが一応。
レオマブは前史も含めて、カズキたち三人の先駆者的位置づけにあると思うのである。逆に、レオマブは彼らを見て「かつての自分」を見せつけられているようで、心の痛い部分をかきむしられてもいる。いくつか確認していこう。

①エンタが撃たれた直後のマブ
撃たれたエンタが「嘘でも、(カズキを)嫌いなんて言えるかよ…」と告げる場面である。この場面、レオマブももちろん立ち会っている。そしてマブは「助けを呼べ…まだ間に合うかもしれない」と以下の表情で言うのである。

今思えば、マブにとっては、蘇生時にカワウソに言った
「私はレオが嫌いです」
の真逆の現象が目の前に繰り広げられているのだ。エンタはマブが隠してしまった「つながりたい」欲望を表明できている。それができなかった自分への後悔がよぎったから、思わず「個人の感情」で「助けを呼べ」と言ってしまったのだ。この時、レオは希望の皿を奪取できたことに夢中で、マブの変化に気が付いていない。このやろう、すれ違いかよ…泣くしかない(今更)

②エンタ蘇生のため皿を奪いに行くカズキとレオ
「それでも、僕はつながりをあきらめたくないんだ」というカズキに対し、レオは「どこまでも愚かだな」という場面である。


かつてレオはマブにかばわれ、マブを蘇生させることをカワウソに願った。それはマブとのつながりを保持するためだったにもかかわらず、マブは蘇生後つながりを断つように「嫌い」と言ったのである。一方的につながりたくても、つながれないんだ…孤独なんだ…とレオは苦い記憶を反芻する
このカズキとエンタの様子を見た直後、マブに遭遇し「お前は俺のマブじゃない…!」と言い放つレオの切なさよ。

このように、レオマブは先んじてカズキたちの展開を経験しているのだが、それは微妙にずれていく。ずれを突き付けられるたび、レオマブの心は荒れる。そして痛む。しかし、それがあったからこそ、彼らは「愛」に到達できた。レオマブにとって、カズキたちとのつながりは必要なものであり、ある意味「希望」だったともいえるかもしれない。
もちろん、カズキたちより先に「愛」に到達できたからこそ、レオマブは幼少カズキへの道を照らせたのである。互いに「つながり」の障害になっていたレオマブとカズキ陣営だが、最後には相互扶助できたのは大変よろこばしいことだ。


3.サラとレオマブの関係は?


軍服レオマブは、ケッピ王子復活時に二人に傅いている。
まあサラがケッピの「カップルゥ~」なのだから、そうなるだろう。サラは王妃になるわけなのだから…
これまで、スピンオフ漫画「ふたりはさらざんまい(以下ふたさら)」とのつながりがかなり考察されてきたと思うのだが、私なりになんとか納得できそうなものを考えてみた。かなり苦しい。飛ばしてもらって構わない。

①8皿目でレオマブが黒ケッピ幽閉犯だと言い出すサラ
ケッピが冷凍される直前の場面である。
サラはレオマブを監視していたといい、彼らが黒ケッピ幽閉犯だとケッピに報告する。もしも、もしもだ。「ふたさら」の後の場面がコレなのだとしたら、サラは記憶を喪失しているとしか思えない。育ての親を忘却しているのだ。
すると…『竹取物語』をなぞっているとも言えるか。
・レオマブは皿にのったサラを発見して育てる→サラが王子のもとに去る夢を見る→(河童王国に去ったサラは地上の記憶を喪失する)
・翁媼は竹の中にいた姫を発見して育てる→姫が月に去る→月に去る姫は地上の記憶をすべて忘れる
するとサラは何かの罪で人間界に堕とされたのか…あるいは、カワウソの罠に嵌って落とされたか。サラ救出のためにケッピもレオマブも地上に降りてきたのだとしたら、つじつまが合うか。この場合、レオマブがサラを忘却している理由が見当たらないが…う~む…


②サラの皿が、王冠が2つになる場面

ケッピ復活シーンは、あたかもケッピサラの戴冠式のようになっている。割れていたサラの皿がそれぞれ王冠になるのである。

そして戴冠した二人はくっついて、「ア」の星座(=おそらく河童王国)に帰っていく。(ちなみにこの時、最初の大きな流れ星がケピサラ、そのあと2つの流れ星が行くので、これがレオマブだと思われる)
皿は「生命の器」だとすれば、生命の器の片割れを持つケピサラがひとつになったことで、新世代の河童が誕生する暗喩かもしれない。

これもまたもしも、もしもだが。「ふたさら」が本編終了後の時間軸なのだとしたら、ケピサラの子供が「ふたさら」におけるサラで…という可能性もあるのだろうか。しかしそうするとレオマブがサラを知らないことの説明が難しい。「ふたさら」のレオマブはカワウソの使い走りをしてる感じもないので、やはり時間軸は離れていると思うのだが…うーん

結論としてはよくわからない。
DVD特典のドラマCDの解釈や、コメンタリーを待ちたい。とりあえず軍服レオマブが最高だ。それだけは強調しておきたい。


4.「かいそう」から考える、カズキたちに起こったこと


レオマブの結末を考えるにあたり、カズキたちが最終回で辿った道のりを無視するわけにはいかない。かなり難解なのだが、なんとか考えてみよう。
さて、1皿目を思い出しておきたい。
この世界には、現実フィールドの裏側に「欲望フィールド」があり、それは河童化することにより到達できるものであった。それに加えて、今回は過去改変のためのフィールドが出てきた(白黒:過去/カラー:現在)

その設定から「未来漏洩」するターンを考えてみよう。「これからおこります」という表示とともに、3時間前からカウントダウン。未来と言いつつ、それは白黒から始まる。そして、最後にカズキが「もう会いたくない!」と言い捨てるところはカラーで終わるのである。カウントダウンもゼロになる。
つまりこれは「未来」といいつつ、現在につながる「未来」なのではないかと思うのである。現在というのは、吾妻橋の上で3人が倒れている、あのシーンではないかと思う。

1皿目~9皿目でカズキたちの身に起こっていたことを、仮にフィールド①での出来事としよう。未来漏洩の出来事をフィールド②での出来事とする。対比するとなかなかおもしろい。

フィールド①
サッカー関連でもともとつながりがあった3人(遥とのミサンガ/エンタとのゴールデンコンビ)→春河のケガでカズキがサッカー離脱→カパゾンビ討伐+サッカーのつながりで再度仲良くなる(7皿目、3人でサッカー練習まで)→悠が兄についていく決意をして離脱→モメてエンタ負傷→悠少年院へ

フィールド②
同じサッカーチーム?でつながり仲良くなる(ゴールまでボールをつなぐ)→カズキがケガで離脱(悠のせいでケガした?)→悠が裏切りチームを離脱→モメてエンタ負傷?→悠少年院へ

こんな感じではなかろうか。そして、フィールド①と②がつながるかのように、悠が幼少悠を撃とうとするとき、カズキは足を負傷する。(図らずも、春河の事故に対するカズキの贖罪がここで達成されたのかもしれないが、ラストシーンで空を見上げる春河の傍らに車いすがないので、事故自体なかったことになる?)

また、吾妻橋の上で転がる三人の周りには、警察が。これが乱闘事件としてカウントされるのならば、悠がエンタを負傷させたとして、数年間少年院に入っていてもしくはない。誓・レオマブ・ケッピの存在が消えただけで、流れとしては①②は同じような感じなのだ。
この「未来漏洩」したあと、河童状態の3人は水中から地上に上がる。吾妻橋の3人の周りには、大量の水

もしや、フィールド②の記憶を水中で「かいそう」して、吾妻橋に戻ってきたのではないのか。なんども出てくる「かいそう」のシーンが水中なのは、この暗喩だったのか。つまり彼らが見た「未来」とは、ミサンガを手にした幼少カズキが見た「未来」である。

そして少年院から出てきた悠のターン。
蕎麦久は健在。悠はそこには戻らず「俺の人生は終わった」として川に飛び込む。そこに来るのがカズキとエンタ。二人の服装に注意したい。

制服のネクタイの色が変わっている。つまり高校生になっている。少なくとも2年…いや3年たっている?再び彼らは陸上に上がる。今度こそ「かいそう」を終えた彼らは、真実「未来」へと歩みだすということではないのか。

つまりCパートの時空(出所後の悠)はフィールド②の延長にあり、フィールド①は「現実世界の裏」の話だったという種明かしではないのか?まるっと欲望フィールドで起こったことが、現実フィールドの出来事と同調していた可能性…ちょっと苦しいだろうか。う~ん。欲望と現実フィールドが表裏一体ならあり得ると思うのだが。
また、悠が川に飛び込んだのに「海藻」にならなかったのは、「回想」でつながった友人とのきずながあったから…ということかもしれない。


5.「車夫」になるレオマブ

それそろ長すぎるので自重したいが、最後にこれだけは。レオマブ最終カットである、「車夫」場面ご褒美ご褒美ただのご褒美なのだが、一応どういうことなのか考えておきたい。

さて、思い出したいのは、欲望フィールドにカズキたちを誘う際のケッピである。

そう、彼もまた車を引いていた…
人力車は欲望フィールドと現実世界をつなぐものだと仮定しよう。
そして、項目2でも述べたが、レオマブは最後の欲望フィールドでカワウソの闇を「愛」の光で切り裂き、カズキたちを幼少カズキ(=ゴール)のもとへと導いた。その結果、カズキたちは水中の「かいそう」をくぐりぬけ、現実世界の吾妻橋に戻れている。いろんな意味で彼らを「つないで」いる。

レオマブが来ている法被は「かっぱ屋」の名前が書かれている。笠はなんとなく河童のお皿にも思える。二人が立つのは、浅草寺の門の前。ケッピの時と条件的にはほぼ同じである。
カワウソの呪縛から解放され、河童に戻ったレオマブは、ケッピ王子がしていた「欲望フィールドと現実フィールドをつなぐ」役割を委譲されたのではないか。

欲望には希望と絶望が融合し、それがつながり、愛を生む…ということなら、人は欲望を手放せないし、欲望フィールドは失われない。河童になる可能性だってずっとあり続ける。そして河童側としても、しりこだまエネルギーはある程度搾取しなければ絶滅である。現実フィールドと欲望フィールドは表裏一体、持ちつ持たれつなのだ
一連の出来事で私が改めて思ったのは、希望と絶望のバランスが大切なのだということ。希望だけでも生きていけない、絶望だけでも生きていけないということをこのアニメは言いたかったのではないか。それを体験して「愛」を獲得したレオマブがその門番をし続けるというのは、大変良い結末だと思うのだがいかがだろうか。
おそらく彼らはしりこだまのエネルギーを搾取する際に、欲望を「愛」に変え、カパゾンビにあらたなつながりをもたらす(=消滅させないでエネルギーだけ取る)くらいできるのではないか。希望の皿の上位互換である。もちろん河童は人類の味方とはならないが(だってエネルギー源なんだから)、バランスはとっていけそうではないか。欲望希望絶望がまざった「愛」の方が、ただの欲望よりエネルギー源としてうま味が多そうだし。

何が言いたいかというと、「愛」で繋がったレオマブは、誰かの「愛」も繋いで、「明日」にも繋いでいくと……そういうことじゃないかと思うのである。「愛」か「欲望」か、じゃない。欲望も絶望も含めて「愛」なんだから。
そうすると続編に関しても、欲望と絶望の均衡が崩れて、何かしらが起きれば…というところでもあるので、我々視聴者の希望もつながったといえるか(誰がうまいこと言えと…)


だいぶ長くなってしまった。言いたいことは言えた気がする。まさに欲望のままに書き散らした。後悔はしていない。
11皿目でカワウソ(cv黒田さん)まで歌ってくださったこと、レオマブに軍服を着せてくださったこと、手をつながせてくれたこと、最後が離別エンドではなく共存救済エンドだったこと。いろいろな方に感謝したい。良いものを見せてもらった。
DVDBOX、予約しました

長文にお付き合いいただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?