マガジンのカバー画像

川崎ゆきお超短編小説 コレクション 5

1,185
運営しているクリエイター

#自我

精神逃げ

精神逃げ

「僕は何処にいるんでしょうねえ」
「ここにいるじゃないか」
「しかし、たまに分からなくなります。自分の存在が」
「存在か」
「はい」
「それを言い出すと余計に分からなくなるよ」
「でも、存在感が」
「存在感」
「はい、ここにいるという」
「いるじゃないか」
「そうなんですが、もっとはっきりとしたものとして」
「君は見えているよ。確かにいるよ」
「本当でしょうか」
「幽霊がいるとして、それは半透明だ

もっとみる