漫画の本質とは何か?
漫画の本質って何か、という問題にも関わりますね。
普通は絵が大事と考えがち。でも、コミPo!のようなアプリもあり、またシンプルなマルチョンの絵でも大友克洋先生のような描き込んだ絵でも、同じ漫画。上下や優劣はありません。
ではストーリー? でもこれも、原作者にアウトソーシングが可能。
そうなると、漫画の本質はコマ割りと演出、ということになります。1コマ漫画もありますから、演出こそが漫画の本質だと、考えます(絵の個別性はまた別の議論です)。
プロの写真家が、どんな角度やレンズにするかコンセプトを決めれば、シャッターはアシスタントが押しても良いのと同じでしょう。
実際、さいとう・たかを先生などは、アニメスタジオのような分業が進んでいます。アニメなら監督とキャラクターデザインは別人のことが多いですね(兼ねることもありますが)。
漫画家は、監督・脚本・演出・主演・助演・大道具・小道具・衣装・照明・音響などを兼ねることも多い、特殊な職業。
ただ、脚本は原作者に、背景や仕上げはアシスタントにと分業するなら、最後に残るのが演出。
下手な義太夫を、大家が店子にムリヤリ聞かす『寝床』という落語にあります。この中で大家が「義太夫ってのは昔の名人上手がこしらえた物で、台本を素読みにしても泣けるもんだ」と語る場面があります。
素晴らしい内容でも、名人が演じれば場面が浮かぶ感動を生み、下手クソが演じると眠くなったり苦痛だったり。でも、台本を読むと普通に感動的ですから、要は演じる人間の技量が問題。
そこで、声が美声なら良いかといえば、違います。浪曲界には「名人に美声無し」という格言さえあります。
名人と呼ばれる人は、天性の美声に恵まれず、そこを補うために表現力を工夫するからこそ名人になるという本質を指摘した、最高の格言だと思います。
ルイ・アームストロングのダミ声は、あの声だからこそ伝わるものがありますよね。漫画で言えば、絵は下手でも演出が上手いようなものかと。
本講座では、コマ割りと演出に先ず時間を割きます。それができれば、良きアイデアや原作があれば作品が描けますから。その上で、キャラクターの立て方や、ストーリーの整え方を学びます。原作者や脚本家、あるいは小説を目指す人にも充分に得るものがあるでしょう。
※本記事はMANZEMi_pod(@MANZEMI_bot)のツイートをまとめたものです。
MANZEMIの講座紹介
◉漫画ネーム講座(全10回)
画力ではない漫画の本質を学ぶための入門講座です。コマ割り・演出論、キャラクター論、ストーリー論を中心に学びます。
◉ネーム添削会(全10回)
ネームでプロになれるかどうかが決まると言っても過言ではありません。本講座ではネームをつくる力を実践形式で鍛えていきます。自分の強みや弱みを発見したい人にもオススメです。
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